
日本政策金融公庫は信用情報を見ない?そのウワサ、ズバリ検証します!
はじめに:起業の夢と「信用情報」の壁
「起業したいけど、実は昔ちょっとクレジットカードの滞納があって…」
こんな不安を抱えている方、意外と多いです。特に会社員を辞めて独立しようという時、「日本政策金融公庫の融資を受けたいけど、信用情報が不安…」という声はとても多くいただきます。
この記事では、起業準備中の会社員の方向けに、「日本政策金融公庫(以下、公庫)」が本当に信用情報を見ないのか?見ているとしたら何を見ているのか?という“リアルな実務情報”を、中野流のわかりやすさで解説します。
「日本政策金融公庫」とは?おさらいしておきましょう
公庫は、政府100%出資の金融機関で、創業支援に非常に積極的です。特に「新規開業・スタートアップ支援資金」は、無担保・無保証人でも借りられる仕組みとして知られています。
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対象:開業前〜開業7年以内の個人・法人
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融資額:最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)
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金利:1.4〜2.9%前後(時期や条件による)
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保証人:原則不要
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担保:原則不要
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返済期間:通常5〜7年(最長20年)
この制度の魅力は、「信用力より“人柄と計画”で勝負できる」という点。だからこそ「信用情報は見られないのでは?」というウワサが生まれたわけです。
ズバリ回答!公庫は信用情報を“見る”のか?
結論から言います。
日本政策金融公庫も、信用情報はチェックします。
ですが、民間銀行と比べて…
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「どこで見ているのか」
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「どう評価しているのか」
が大きく異なるのが特徴です。
信用情報とは何か?おさらいしておきましょう
信用情報とは、以下のような内容が記録されている情報のことです。
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クレジットカードの利用履歴
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ローンの返済履歴(住宅ローン、マイカーローン、教育ローンなど)
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延滞履歴(61日以上は要注意)
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自己破産・任意整理などの債務整理記録
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携帯電話の割賦払いの遅延
情報は、「CIC」「JICC」「全国銀行個人信用情報センター(全銀協)」という3つの機関に記録されており、公庫はこれらの一部にアクセスしていると考えられています。
なぜ「公庫は信用情報を見ない」と言われるのか?
このウワサが広がった理由には、以下のような背景があります。
① 信用情報が悪くても通った事例がある
軽微な延滞履歴があっても、創業計画書がしっかりしていて、自己資金がきちんとあれば「融資OK」となったケースは実際にあります。
② 信用情報について面談で詳しく聞かれない
銀行などと違って、公庫は「あなたのCICを見ましたよ」とは基本的に言いません。面談ではあくまで、事業計画や人柄を中心に見られます。
③ 金融事故から5年以上経っていれば融資されるケースも
信用情報の「ブラック」状態は、通常5年〜10年で消えます。それを過ぎた方は、問題なく借りられることもあります。
信用情報が不安な人が気をつけるべき5つのポイント
① 開業前に信用情報を自分で取り寄せておく
CICやJICCの情報は、1回1000円程度で取り寄せ可能。自分の信用情報を知っておくことが第一歩です。
② 「軽微な遅延」は説明すれば大丈夫なこともある
「一度だけ引き落としができなかった」「忘れていただけ」など、継続的でない場合は、説明すればOKとなる可能性があります。
③ 家族名義の信用情報も注意
妻や両親の名義での借り入れを保証していた場合、自分の信用情報に影響が出ることも。過去の履歴を確認しておきましょう。
④ 債務整理の経験があるなら正直に説明を
過去に任意整理や破産をした場合、「なぜそうなったのか」「今はどうなのか」をきちんと説明しましょう。隠すのが一番NGです。
⑤ 収入証明・預金通帳で「現状の安定性」を示す
信用情報が不安な分、「今は安定している」ことを証明できる書類(給与明細・通帳の残高推移)が大きなプラス材料になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 信用情報に延滞があると、公庫融資は絶対に無理ですか?
A. 一概には言えません。軽微な延滞であれば通る可能性もあります。逆に、長期の滞納・債務整理などは厳しくなります。
Q. 公庫の審査担当者に、信用情報を聞かれないのはなぜ?
A. 公庫では面談の主眼を「事業の実現性」に置いているため、直接的に信用情報を突くことは少ないですが、内部では確認されている可能性はあります。
Q. 自己資金があれば信用情報の悪さはカバーできますか?
A. 一定程度カバーできます。とくに「毎月コツコツ貯めた」という通帳の記録は、評価されやすいです。
Q. 延滞履歴は何年で消えますか?
A. 通常、CICやJICCでは5年程度です。最後の支払日や契約終了日からのカウントです。
まとめ:信用情報が不安でも、あきらめないでください!
ズバリ言います。
日本政策金融公庫は、「人柄と計画」を見る金融機関です。
たとえ過去に信用情報でキズがあっても、
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今現在、誠実に生活していること
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起業に対して本気で準備していること
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数字で裏付けられた計画を作っていること
これらが揃っていれば、十分にチャンスはあります!
「どうせムリだ…」とあきらめる前に、まずは一歩踏み出してみてください。
私たちも、起業家の“再チャレンジ”を全力で応援しています。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























