
起業1年後に備える!個人事業主と日本政策金融公庫の実務知識
こんにちは。起業コンサルタント、税理士、行政書士、特定社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの中野裕哲です。今回は、「日本政策金融公庫」と「個人事業主」をテーマに、起業を一年後に控えた会社員の皆さんへ、実務的なアドバイスをお届けします。
1. 日本政策金融公庫とは?基本の“き”から押さえよう
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)は、政府が全額出資する金融機関です。中小企業や個人事業主の創業や事業拡大を支援するために設立されました。
ズバリ言います。
「まだ実績のない起業予定者」にとって、最も頼りになる資金調達先の一つです。
起業初期は、民間の銀行や信用金庫などでは融資を受けにくいのが現実。なぜなら「実績がない」からです。でも、公庫は実績ではなく「事業計画と本人のやる気・能力」を見てくれます。
2. なぜ個人事業主に向いているのか?
創業初期の段階では、信用も担保も実績もないのが普通です。
そんなとき、日本公庫は以下のような制度でバックアップしてくれます:
- 創業前から申請可能
- 融資額も300万円〜1,000万円程度なら実績多数
また、創業に必要な設備資金や運転資金にも柔軟に対応してくれるので、幅広い業種の方に利用されています。たとえば、飲食店、美容サロン、ネットショップ、IT系フリーランスなど、さまざまな業種の方が利用しています。
3. 個人事業主が利用できる主な融資制度
■ 新規開業・スタートアップ支援資金
- 無担保・無保証人で最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)
- 自己資金要件なし
- 開業前から申請可能
- 保証協会を通さないため、審査は比較的スピーディー
■ 女性・若者/シニア起業家支援資金
- 女性、35歳未満、または55歳以上の方に優遇制度
- 金利優遇、借入限度額の拡大などメリットあり
■ 生活衛生改善貸付など業種特化型も
- 飲食業、美容室、宿泊業などには専門の枠もあります
- 衛生管理に関する講習の受講など、業界ごとの条件に注意
4. 審査で見られるポイントとは?
「公的だから簡単に通るでしょ?」と思っていませんか? 実はしっかり見られています。
(1) 創業動機と事業計画の説得力
「なぜこの事業をやるのか」「どこで売るのか」「どう儲けるのか」をしっかり言語化しましょう。
(2) 自己資金
自己資金ゼロでは審査が厳しいです。できれば全体の1/3以上が望ましいところです。
(3) 経歴とスキル
「この事業をやるにふさわしい人かどうか」が見られます。過去の勤務経験や資格、技術なども加点対象です。
(4) 信用情報(CICなど)
延滞歴や事故情報があると不利になることも。事前チェックが肝心です。
5. 創業計画書のポイントと書き方
公庫に提出する創業計画書は、以下の項目を押さえましょう:
- 事業概要
- 提供する商品・サービス
- 販売戦略(ターゲット、競合分析など)
- 売上・経費・利益の見通し
- 必要資金とその使い道
ここがズバリ審査の肝です! 書き方ひとつで印象が大きく変わります。特に数字部分は現実的かつ論理的に。売上予測に根拠があると強いです。
6. 融資申請の流れとスケジュール感
- 創業計画書の作成(1〜2週間)
- 日本公庫への事前相談(できれば面談)
- 書類提出
- 担当者との面談(審査ポイントの確認)
- 審査(通常2〜3週間)
- 契約・融資実行(口座振込)
トータルで1〜2ヶ月を目安に、余裕を持って計画しましょう。
7. よくある落とし穴とその対策
- 自己資金の出どころが不明 → 通帳コピーで確認を
- 数字が現実離れしている → 業界平均や根拠を調査
- 書類に矛盾がある → 第三者にチェックしてもらいましょう
- 面談で受け答えが曖昧 → 想定問答を事前に準備
FAQ:日本政策金融公庫と個人事業主の疑問解消
Q1. 起業前でも申し込めますか?
A. はい、開業6ヶ月前から申請可能です。
Q2. 自己資金が少なくても通りますか?
A. 可能性はありますが、自己資金が多いほど信頼性は高まります。
Q3. 保証人や担保が必要ですか?
A. 「新規開業・スタートアップ支援資金」を利用すれば原則不要です。
Q4. クレジットの延滞が昔ありました。影響ありますか?
A. あります。CICなどで確認し、改善できる部分は早めに対処しましょう。
Q5. 面談では何を聞かれますか?
A. 「事業の内容」「売上見込み」「資金の使い道」などです。落ち着いて自分の言葉で説明できればOKです。
まとめ:一歩踏み出すための資金計画を
個人事業主として起業する際、日本政策金融公庫の活用は非常に現実的で心強い選択肢です。
大切なのは、「夢」と「数字」を両立させること。
創業計画書をしっかり作り、自分のビジョンを伝えましょう。そして、足元の信用情報や自己資金も万全に整えておくことが、スムーズな融資獲得への近道です。
不安な方はぜひ、専門家にご相談ください。あなたの夢のスタートを、全力で応援しています!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。