マネージャークラスを育てるコツとは？現場で活躍できるリーダーに育てるための５つの視点

起業したばかりの頃は「自分がすべて動けばいい」と思っていた社長さんも、事業が成長してくると「人を育てる」ことの重要性に気づくはずです。特に、会社の要となるマネージャークラスの育成は、事業を次のステージに進めるカギになります。

今回は、「どうすればマネージャーを育てられるのか？」というテーマについて、実務経験に基づいた５つのコツをお伝えします。

コツ①：プレイヤーからマネージャーへ“役割の違い”を伝える

まず押さえておきたいのは、プレイヤーとマネージャーでは求められる能力がまったく違うということです。優秀な営業マンが必ずしも良いマネージャーになるとは限りません。

プレイヤーは「自分の成果」に集中する立場ですが、マネージャーは「部下の成果を最大化すること」がミッションです。
ズバリ言いますと、「自分がやったほうが早い」と思う気持ちを手放さないと、マネジメントはできません。

ですから育成の第一歩は、「役割の違い」を丁寧に伝え、頭の切り替えをサポートすることです。

コツ②：任せて、失敗させて、振り返らせる

マネージャーを育てるうえで大切なのは、「任せて、失敗させて、振り返らせる」プロセスです。
完璧なマネージャーを育てようと、つい口を出しすぎたり、失敗を未然に防ごうとしがちですが、それでは人は育ちません。

もちろん放任するのではなく、任せる範囲を少しずつ広げていくこと。そして、失敗してしまったときは一緒に振り返り、「なぜそうなったか？」「次に活かせることは？」を考える場をつくることが大切です。

この経験が、彼らの自信と判断力を育ててくれます。

コツ③：評価制度を整え、役割に見合った責任と報酬を与える

「がんばっても報われない」と感じたら、どんな人でもやる気を失います。
ですから、マネージャークラスの育成には、公平で納得感のある評価制度が欠かせません。

ポイントは、「管理職だから成果評価だけでなく、組織づくりや部下育成にも評価を配点すること」。
たとえば、「チームの離職率」「部下の成長度」など、マネジメント業務に合った評価軸を設けると、マネージャー自身も自分の役割に真剣に向き合うようになります。

そしてもちろん、責任に見合った報酬も必要です。「給与は感謝のバロメーター」とも言われますから、気持ちよく働いてもらうには、報酬面での見直しも検討しましょう。

コツ④：思考を言語化させ、意思決定の精度を高める

マネージャーは判断を求められる場面が多いため、「なぜそう考えたのか？」を言葉にする練習が不可欠です。

よくあるのが、「なんとなくこう思ったから」「感覚的にそう感じた」という抽象的な説明。
こうした場面では、「その判断の背景にあるデータや経験を言語化してもらう」ことで、思考が整理され、再現性のあるマネジメントに繋がります。

日報や1on1ミーティングの中で、「なぜそう判断したのか？」を問いかける習慣をつけていくと、自然と論理的思考も身につきます。

コツ⑤：経営者のビジョンと価値観を伝える

最後のポイントは、マネージャーに「経営者の想い」をしっかり伝えることです。
ズバリ言いますと、マネージャーは“経営の代弁者”です。部下にとっては、社長以上に身近な存在となり、日々の判断や行動を左右する立場になります。

ですから、「自社はなぜこのビジネスをしているのか？」「どんな社会を目指しているのか？」といった理念やビジョンを共有しておくことが不可欠です。

理念に共感したマネージャーは、ただの指示役ではなく、「自ら考え、動く存在」に育っていきます。

まとめ：マネージャーは“未来の幹部候補”

会社の未来を担うマネージャーを育てることは、時間も手間もかかります。ですが、その先にあるのは「社長が現場を離れても回る組織」です。

育成のコツは、丁寧に、粘り強く、そして失敗を恐れず向き合うこと。
あなたの会社にも、頼もしいマネージャーが育ち、共に未来をつくる日がきっとやってきますよ。