
測量機の導入に使える補助金を金額で比較|建設業向け4制度の上限額と対象条件
トータルステーションやGNSS測量機、3Dレーザースキャナーの入れ替えを検討すると、1台あたり数百万円の見積りが出てくることも珍しくありません。「補助金が使えるらしい」と聞いて調べ始めたものの、出てくる情報は制度名と最大金額ばかりで、「自社の場合は結局いくら出るのか」がわからない、という声をよくいただきます。
この記事では、建設業・測量業の会社が測量機を導入するときに候補になる補助金を、「いくらまで出るのか」という数字を軸に整理します。あわせて、金額だけを見て制度を選ぶと足をすくわれるポイント(カタログへの製品登録状況、共同申請の必要性、オーダーメイド性の要件)にも踏み込みます。なお、補助金の要件・金額は年度ごとに変わるため、本記事は2026年7月時点の情報にもとづく整理としてお読みください。実際の申請時は必ず最新の公募要領をご確認ください。
測量機の導入で候補になる補助金は4つ
測量機まわりの投資で候補に挙がる制度は、大きく次の4つです。どれか1つが正解ということはなく、 「何を買うのか」「何人の会社か」「投資の主役は機械かソフトか」で選ぶ制度が変わります。
- 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型):カタログに登録された省力化製品を選んで導入する制度。測量機はこの枠で語られることが最も多い制度です。
- 中小企業省力化投資補助金(一般型):自社の現場に合わせた省力化の仕組みを組む制度。金額は大きい一方、要件も重くなります。
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金):点群処理ソフトや施工管理システムなど、ITツールの導入が主役の場合の制度です。
- 小規模事業者持続化補助金:従業員20人以下(製造業その他の場合)の小規模事業者が、販路開拓とあわせて取り組む場合の制度です。
制度別に「上限いくらか」を並べて見る
まず、それぞれの補助上限を確認します。ここで大切なのは、下に並ぶ金額はいずれも「条件を満たした場合の最大値」であって、申請すれば誰でもこの額が出るわけではないという点です。
- 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型):上限1,500万円
ただしこれは大幅賃上げ計画を盛り込んだ場合の最大値です。実際の上限は従業員規模によって変わります。 - 中小企業省力化投資補助金(一般型):上限1億円
測量機1台の投資額から考えると、この上限に届くケースはまれです。上限の大きさより、後述する要件を満たせるかどうかが判断の分かれ目になります。 - デジタル化・AI導入補助金:通常枠で上限450万円
複数の事業者が連携して共通基盤を導入する枠では上限3,000万円まで設定されていますが、1社単独の測量ソフト導入で使う枠ではありません。 - 小規模事業者持続化補助金:上限250万円
これも特例を使った場合の金額です。販路開拓が主題の制度である点にも注意が必要です。
参考までに、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠を候補に挙げる情報もあります。こちらは補助下限が100万円、上限は従業員5人以下で750万円、6〜20人で1,000万円、21〜50人で1,500万円、51人以上で2,500万円(大幅賃上げ特例を適用するとそれぞれ850万円/1,250万円/2,500万円/3,500万円)と、規模によって段階が分かれます。補助率は中小企業者で2分の1(小規模事業者や再生事業者などは3分の2)です。ただしこの枠は「新しい製品・サービスを開発する」ことが主題なので、既存の測量業務を効率化するための機械更新には筋が合いにくい点は押さえておいてください。
カタログ注文型は「製品が登録されているか」がすべての前提
測量機の補助金として最もよく紹介されるのがカタログ注文型です。ただし、この制度には他の制度にはない独特の前提が2つあります。
1. カタログに登録された製品しか買えない
カタログ注文型は、公的に登録された省力化製品の中から選んで導入する制度です。裏を返すと、欲しい機種がカタログに載っていなければ、そもそもこの制度は使えません。建設・測量分野は、当初は登録済みの製品カテゴリが限られており、実際に申請できる機種が絞られる時期がありました。近年は現場施工で使う製品の登録も広がってきていますが、「測量機だから使えるはず」と考えるのではなく、検討している機種そのものが登録されているかを最初に確認するのが順序です。
2. 販売事業者との共同申請が前提
カタログ注文型は、原則として中小企業が単独で申請する制度ではなく、販売事業者と共同で申請する設計になっています。つまり、どの販売店から買うかが制度を使えるかどうかに直結します。付き合いのある販売店がこの制度の登録事業者でない場合、購入先の見直しから検討することになります。見積りを取る段階で、補助金の利用を前提にしている旨を伝えて確認しておくと手戻りが減ります。
なお、この制度では労働生産性(付加価値を従業員数で割ったもの)を年平均3.0%以上伸ばす計画が求められ、計画が未達の場合には減額の規定があります。導入後も複数年にわたる効果報告の義務があるため、「買って終わり」ではない点も見込んでおいてください。
一般型は「測量機を1台買うだけ」では対象になりにくい
上限1億円という数字から一般型に目が向きがちですが、ここには見落とされやすい要件があります。一般型の対象になるのはオーダーメイド性のある設備で、次のいずれかに当てはまる必要があります。
- 省力化に役立つ汎用設備を複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出す場合
- 導入する環境に応じて、周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能などが変わる場合
逆に言えば、汎用設備を単体で導入するだけの事業は対象外です。一般型には「単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れる」という要件もありますが、測量機がこの金額を超えていても、それだけでは足りません。「トータルステーションを1台買い替える」という計画そのままでは、要件を満たしにくいということです。
一方、ICT建機や施工管理システムと組み合わせて測量から施工までのデータの流れを作り替える、といった構成であれば、オーダーメイド性を説明できる余地が出てきます。一般型は3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、賃上げ目標が未達の場合は返還が発生しうる制度でもあります。金額の大きさに引かれて安易に選ぶと、制度選びで迷いにくくなります。
投資の主役がソフトなら、制度の選び方が変わります
点群処理ソフトや施工管理システムなど、ソフトウェアの導入が主役になる場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補になります。この制度は、事務局に登録されたITツールを、登録された支援事業者(ベンダー等)の支援を受けて導入することが前提です。ソフトウェアの購入費に加え、クラウド利用料(最大2年分)や設定・研修などの導入関連費も対象になります。
ここでの判断軸はシンプルで、「機械の導入による省力化」が主役なら省力化投資補助金、「ツール導入による業務の作り替え」が主役ならデジタル化・AI導入補助金に寄ります。測量機とソフトをセットで検討している場合は、投資額の内訳を出して、どちらが主役かを先に決めると制度選びで迷いにくくなります。
また、従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者で、測量サービスの新しい打ち出しなど販路開拓とセットで考えられる場合は、小規模事業者持続化補助金も候補です。ただしこの制度は販路開拓が主題で、商工会・商工会議所の支援を受けて進める設計です。設備投資そのものが目的だと、筋が合わないことがあります。
数字を見るときに間違えやすい3つのポイント
- 上限額は「最大値」であって「もらえる額」ではありません。従業員規模や賃上げ計画の有無で実際の枠は変わります。自社の規模でいくらの枠になるのかを、公募要領で確認してください。
- 補助率を掛けた後の金額で考えてください。補助率が2分の1の制度で500万円の測量機を導入する場合、補助されるのは最大でも250万円程度で、残りは自己負担です。上限額だけを見ると、実際の負担額を見誤ります。
- 補助金は原則として後払いです。採択されても、まずは自社で代金を全額支払い、実績報告と検査を経てから入金されます。入金までの数カ月をどう乗り切るかを、資金繰りの計画に織り込んでおく必要があります。手元資金で足りない場合は、金融機関へのつなぎ資金の相談も早めに進めておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 中古の測量機でも補助金の対象になりますか?
制度によって扱いが異なり、中古品は条件が付く、あるいは対象外になることがあります。カタログ注文型は登録された製品を購入する設計なので、中古品の購入とは前提が合いません。検討している場合は、申請前に公募要領で対象経費の範囲を確認してください。
Q. 交付決定の前に発注してもよいですか?
多くの補助金では、交付決定の前に発注・契約・支払いをしたものは対象外になります。「先に買っておいて、後から申請する」という進め方は避け、必ず手続きの順序を確認してから発注してください。納期の都合で急ぎたい場面ほど、ここでの勇み足が起きやすいところです。
Q. 複数の補助金を同じ測量機に使えますか?
同じ経費に対して複数の制度から重複して補助を受けることは、原則としてできません。ただし、測量機は省力化投資補助金、ソフトウェアはデジタル化・AI導入補助金、というように経費を切り分けて別々に申請する形であれば、成立する余地があります。経費の切り分け方は制度ごとのルールに左右されるため、計画段階で確認しておくことをおすすめします。
まとめ
測量機の導入に使える補助金は複数ありますが、上限額の大きさで選ぶと判断を誤りやすい領域です。カタログ注文型は検討中の機種が登録されているか、販売事業者と共同申請できるかが入口の条件になります。一般型は上限1億円と大きい一方、汎用設備を単体で導入するだけでは対象外で、オーダーメイド性を説明できる構成が必要です。ソフトが主役ならデジタル化・AI導入補助金、小規模で販路開拓とセットなら小規模事業者持続化補助金と、投資の中身によって筋の通る制度は変わります。
まずは「何を、いくらで、どういう体制で買うのか」を固めたうえで、自社の従業員規模での上限額と補助率を公募要領で確認するのが近道です。制度の選択で迷う場合や、後払いまでの資金繰りに不安がある場合は、補助金と資金調達の両方を見渡せる専門家に早めに相談することをおすすめします。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























