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コラム

飲食店の店舗改装で補助金を使う方法|持続化・新事業進出枠の使い分けと5つの落とし穴

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飲食店の店舗改装に補助金は使える?対象になる工事とならない工事の境界線

「そろそろ店内を改装したい。せっかくなら補助金を使えないだろうか」——飲食店を数年経営していると、内装の傷みや客席レイアウトの限界が見えてきて、こう考える場面が必ず訪れます。

ただ、ここで多くの経営者がつまずくポイントがあります。それは「店舗改装のための補助金」を探してしまうことです。結論から言うと、改装工事そのものを目的にした補助金は基本的にありません。それでも改装費が補助対象になるケースは確かにあります。違いは「その工事を、何のための投資として説明できるか」の一点です。

この記事では、飲食店の改装で補助金を使おうとしたときに実際につまずきやすい落とし穴を、制度の線引きに沿って整理します。制度名を並べるだけの情報では見えてこない「対象になる/ならない」の境目を、申請前に押さえておきましょう。なお、本記事の内容は2026年7月時点の情報です。

「店舗改装のための補助金」という制度は存在しません

まず前提を共有させてください。国の補助金は「設備を新しくしたい」「店をきれいにしたい」という事業者側の希望に応えるための制度ではありません。補助金にはそれぞれ政策目的があり、その目的に沿った投資だから支援される、という順序になっています。

つまり改装費は、単体では審査のテーブルに乗りません。「販路開拓のために店の見せ方を変える」「新しい業態に進出するために厨房と客席の構造を作り替える」といった目的があり、その手段として工事が必要になる。この筋道が立って初めて、改装費が対象経費として検討できる状態になります。

この前提を外したまま「改装に使える補助金はどれか」と探し始めると、制度名は見つかっても申請が通らない、という結果になりがちです。順番としては、制度を探す前に「今回の改装は何のための投資なのか」を言葉にするほうが先です。

飲食店の改装費が補助対象になりうる2つのルート

そのうえで、飲食店の改装が補助金につながる現実的なルートは大きく2つあります。投資の規模も目的もまったく違うので、自店がどちらに当たるかを見極めてください。

ルート1:小規模事業者持続化補助金(販路開拓の一環としての改装)

小規模事業者持続化補助金は、自社で作った経営計画に基づく販路開拓の取り組みを支援する制度です。補助上限は250万円(特例を使った場合)で、商業・サービス業に当たる飲食店の場合は従業員5人以下が対象になります。

この制度で改装を扱うときの考え方は「売り方を変えるための工事」です。たとえばテイクアウト需要を取り込むために受け渡しカウンターを設ける、新しい客層に向けて店内の雰囲気と動線を作り替える、といった形であれば、販路開拓の手段として説明できます。

逆に、老朽化した内装を元の状態に戻すだけの修繕は、販路開拓とは結び付きません。同じ「改装」でも、売り方がどう変わるのかを説明できるかどうかで扱いが分かれます。

ルート2:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠(業態転換に伴う建物費)

もう一つが、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠です。既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠で、複数ある枠のなかでこの新事業進出枠だけは建物費が対象経費に含まれます。改装が大がかりになる場合の選択肢です。

補助上限は従業員規模によって変わり、1〜20人の事業者で2,500万円(大幅賃上げ特例の適用時は3,000万円)です。補助率は中小企業者で原則2分の1となっています。ただし後述するとおり補助下限が750万円と高く、規模の大きい投資を前提にした制度です。

この枠で問われるのは「申請者にとっての新規性」です。日本初・世界初である必要はありませんが、既存事業と同じ市場での単なるメニュー追加や、商圏が違うだけの出店は対象になりません。既存店の改装を「業態転換」として説明できるかどうかが分岐点になります。

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申請前に知っておきたい5つの落とし穴

ここからが本題です。制度の存在を知っていても、次の5点を見落としたまま動き出すと計画が崩れます。

落とし穴1:上限250万円は「特例を使った場合」の金額です

持続化補助金を紹介する情報の多くは「上限250万円」と書いていますが、これは特例を使った場合の金額です。無条件で250万円まで出る制度ではありません。改装費の総額から逆算して資金計画を組むと、想定していた補助額に届かない事態になりかねません。制度の上限額は「最大でここまで」という数字として受け止めてください。

落とし穴2:増築・増床は対象外になりやすい

持続化補助金では、建物の増築・増床や「不動産の取得」に当たる工事は対象外になりやすい取り扱いです。同じ工事に見えても、既存の店舗内で設備や内装を組み替えるのか、床面積そのものを増やすのかで判断が変わります。

飲食店の改装は「ついでに席数も増やしたい」という話になりやすいところです。工事の見積もりを取る段階で、対象になりうる部分とそうでない部分を切り分けておかないと、後から補助対象経費が想定より小さくなります。

落とし穴3:交付決定の前に発注すると、その工事は対象外です

これが実務でもっとも多い事故です。補助金は、交付決定の前に契約・発注・購入したものを対象外とするのが原則です。新事業進出枠の公募要領でも明記されています。

改装工事は、業者の手配や工期の調整が先に動きやすい性質があります。「繁忙期を避けたいので先に工事日程を押さえた」「見積もりのついでに契約書を交わした」——この段階で発注済みと見なされると、採択されても補助金は下りません。制度を使うと決めたなら、交付決定を待ってから発注する。この順序は動かせないものと考えてください。

落とし穴4:新事業進出枠には補助下限750万円がある

建物費が対象になると聞くと新事業進出枠は魅力的に見えますが、この枠には補助下限750万円が設定されています。補助率2分の1で計算すると、少なくとも1,500万円規模の投資でなければ土俵に乗りません。

「客席とトイレを改装したい」といった数百万円規模の話でこの枠を狙うのは、そもそも制度の想定外です。また、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が必要になります。開業直後の店舗では使えない点にも注意してください。

落とし穴5:「きれいにする」だけの計画は通りません

ここまでの4点を裏返すと、結局は計画の中身に行き着きます。持続化補助金は販路開拓が主題であり、通常の営業活動の範囲と見なされる取り組みは対象外になりやすい設計です。新事業進出枠でも、事業計画は申請者自身が作成することが求められ、外部への丸投げは不採択・取消の対象とされています。

「内装が古くなったから新しくする」は、事業者にとっては切実でも、計画としては説明が足りません。改装によって誰に何を売れるようになるのか、その結果として売上や付加価値がどう変わるのか。ここを自分の言葉で書けるかどうかが、実質的な分かれ目になります。

改装と一緒に検討されることが多い制度

改装のタイミングは、店舗のオペレーション全体を見直す機会でもあります。工事そのものとは別に、次の制度が候補になることがあります。

  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):補助上限1億円。既存現場の省力化・自動化が主軸の場合に検討します。改装に合わせてセルフオーダーや自動精算の仕組みを入れるようなケースです
  • 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型):補助上限1,500万円。カタログに掲載された既製の省力化機器を導入する場合の選択肢です
  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金):補助上限3,000万円。予約管理やPOSなど、ITツールの導入が主体になる場合に検討します

いずれも「改装費が出る制度」ではありませんが、改装と同じ時期に設備・システムへの投資を予定しているなら、投資の目的ごとに制度を分けて考えると整理しやすくなります。なお、これらの制度と持続化補助金・新事業進出枠を同一の経費に重ねて使うことはできません。国の制度との二重受給は認められていないため、どの投資をどの制度で申請するかは最初に切り分けてください。

まとめ:制度を探す前に、改装の目的を言葉にする

飲食店の店舗改装と補助金の関係を、あらためて整理します。

  • 改装工事そのものを目的とした補助金はありません。販路開拓や新事業進出の手段として位置づけられて初めて、対象経費として検討できます
  • 小規模事業者持続化補助金は「売り方を変えるための工事」に向きます。上限250万円は特例適用時の金額で、増築・増床は対象外になりやすい取り扱いです
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠は建物費が対象になりますが、補助下限750万円・創業1年未満は対象外という制約があります
  • 交付決定の前に発注した工事は対象外です。改装は業者手配が先行しやすいので、もっとも注意が必要な点です
  • 審査で見られるのは工事の内容ではなく、その改装で事業がどう変わるのかという計画です

補助金の要件や公募スケジュールは年度ごとに変わります。実際に申請する際は、必ず最新の公募要領で対象経費と締切をご確認ください。自店の改装計画がどの制度に乗るのか、そもそも制度を使える投資なのか。判断に迷う段階でご相談いただければ、投資の目的の整理からお手伝いできます。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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