
スタートアップ勤務経験が起業に役立つ理由5選
起業する前に、スタートアップで働いたことがある人とない人では、発想や行動、判断力に差が出ることが多いです。なぜかというと、スタートアップという環境は“成長の加速装置”のようなものだからです。以下、具体的にどのような面で役立つのか、5つの観点からお伝えします。
1. 不確実性への耐性と柔軟性が身につく
スタートアップでは、予期しないことが頻繁に起きます。市場の変化、資金調達の遅れ、アイデアの方向転換、関係者とのコミュニケーション課題など。
こういう環境に身を置くことで、「計画通りいかないのは当たり前」「状況に応じて素早く対応することが重要」という思考が育ちます。起業でも、不測の事態は必ず起きます。スタートアップ勤務経験があれば、こうした振る舞いや考え方が比較的自然に出せるようになるから、大きなアドバンテージです。
2. マルチタスク力と広い業務範囲を経験できる
スタートアップでは、人数が限られていたり、予算が厳しかったりするので、一人が複数の役割を兼ねたり、小さなタスクを幅広く任されることが多いです。営業マーケティングを少しやったり、顧客サポートを手伝ったり、企画からオペレーションまで追うことも珍しくありません。
この“複数業務をこなす経験”は、起業時に大きく役立ちます。最初のうちは人を雇えないケースが多いので、マーケティング・商品企画・運営・営業などを自分ごととして理解して動けることは、そのまま成果に直結します。
3. スピード感と実験的な思考 (“実行重視”) が養われる
スタートアップでは「仮説 → 小さなテスト → 改善」のサイクルが速いです。失敗を恐れず、まずやってみて反応を見て改善する「MVP思考」「リーンスタートアップ」的な動き方を経験できることが多いです。これは起業で非常に大切な思考です。
動きが早い分だけ、市場の機会を見つけたり、早めに修正できたりして、成功に近づくスピードが速くなります。頭で考えてばかりの起業では、このスピードで負けてしまうことも多いので、スタートアップで鍛えた“行動とフィードバックの高速ループ”が強みになります。
4. 小さな資源で最大成果を出す工夫力がつく
スタートアップは資源(人手・予算・時間など)が限られていることがほとんど。その中で、いかに効率よく成果を出すかという工夫をする必要があります。コストのかけ方、外注をどう使うか、ツールをどう活用するか。
起業でも最初は資源が限られていますから、この“限られたリソースで工夫する能力”は大きな武器になります。無駄な支出を抑えつつ、成果を最大化する方法を知っているかどうかで、スタートアップの初動が大きく変わることが多いです。
5. チーム運営・コミュニケーションスキルが磨かれる
スタートアップでは組織が小さく、人との距離も近いため、チーム内のコミュニケーションが非常に大切です。役割が曖昧なことも多く、その分自ら調整したり、巻き込んだりする機会が豊富です。
こうした経験を通じて「誰と何を共有すべきか」「意見が食い違ったときの話し合い方」「フィードバックの受け方・与え方」など、人間関係を円滑に運ぶスキルが養われます。起業後も従業員やパートナーと働く上で、このスキルは欠かせません。
スタートアップ経験を活かすために注意すべきこと
ただし、「スタートアップ経験がある=すべてOK」というわけでもありません。経験を活かすには、次の点にも注意が必要です。
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偏った経験をしていないか
スタートアップでマーケティングだけをやっていた等、業務が限定的だった場合、それしかできないと思い込むと他の分野で苦労することがあります。 -
過去のやり方が常に通用するわけではないことを知る
スタートアップ特有の文化や環境が変わると、同じスピード感や自由度が通用しない場面もあります。規模が大きくなると仕組み・プロセス・管理が必要になります。 -
改善サイクルを意識して振り返ること
やったことの良い点・悪い点を自分で振り返り、学びに変えていくこと。経験を“ただの経験”にしないための意識が要ります。
まとめ
スタートアップ勤務経験は、起業を考えている人にとって、本当に役立つ“実践の錬磨場”です。変化への対応力、複数業務をこなす力、実行スピード、資源活用の工夫、チーム運営の経験――これらは起業で必要とされる基盤そのものです。
もしあなたがこれから起業を考えているなら、自分のスタートアップ経験を振り返して、「どの部分が強みになりそうか」「どの部分を補う必要があるか」を整理してみることをおすすめします。その作業だけでも、起業の準備が一歩前に進みますから。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。