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コラム

社員が次々辞めていく会社で起きていること:原因の特定と止血の手順

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社員が次々辞めていく会社で起きていること:原因の特定と止血の手順

「一人辞めたと思ったら、また一人」「気づけば数か月で何人もいなくなった」——社員が次々と辞めていく状況は、経営者にとって精神的にも実務的にも大きな負担です。残った社員の負荷が増え、それがさらに次の退職を呼ぶ。この連鎖が始まると、会社は急速に消耗していきます。

ただし、社員が立て続けに辞めていく会社には、ほぼ共通した「構造」があります。逆に言えば、その構造を見つけて手を打てば、退職の連鎖は止められる可能性が高いということです。この記事では、中小企業の経営者・人事担当者に向けて、社員が次々辞めていく会社で実際に起きていることを整理し、原因の特定から「止血」までの手順を、優先順位をつけて解説します。なお、労働法や雇用関連の制度は変更されやすいため、制度面の対応を行う際は執筆時点ではなく最新の情報をご確認ください。

社員が次々辞めていく会社で実際に起きていること

退職が連鎖する会社では、表面的な「退職者が増えた」という事象の裏で、次のような状態が進行していることが多くあります。

残った人に負荷が集中している

一人が抜けると、その仕事は残った社員に振り分けられます。人員補充が間に合わなければ、残った人の残業が増え、休みが取りづらくなります。負荷が増えた社員は「自分もこのままでいいのか」と考え始め、次の退職予備軍になります。これが繰り返されるのが連鎖退職の基本構造です。

辞める理由が「個人の事情」で片付けられている

退職時の面談で語られる理由は、「家庭の事情」「キャリアアップ」など当たり障りのないものになりがちです。本音が共有されないまま「あの人個人の問題だった」と処理してしまうと、組織の側にある共通要因が見過ごされます。結果として、同じ理由による退職が後を絶ちません。

エース・中堅から先に抜けていく

市場価値の高い社員ほど次の選択肢を持っているため、見切りをつけるのも早い傾向があります。会社を支えていた中核人材が抜けると、業務が回らなくなるだけでなく、残った社員の「この会社は大丈夫なのか」という不安を一気に高めます。

なぜ辞めるのか:原因の特定が最初の一歩

止血の前に、まず「どこから血が出ているのか」を特定する必要があります。原因が分からないまま施策を打っても、的外れになりやすいためです。中小企業の連鎖退職でよく見られる原因は、おおむね次のいずれかに集約されます。

  • 労働環境(長時間労働・休みづらさ):慢性的な人手不足で負荷が高止まりしている
  • 人間関係・職場の雰囲気:特定の上司・部署との関係、ハラスメント的な空気
  • 評価・処遇への不満:頑張っても報われない、評価基準が不透明
  • 仕事の将来性・成長実感の欠如:この先のキャリアが描けない
  • 採用時のミスマッチ:入社前に聞いていた話と実態が違った

原因を特定するには、退職者の本音に近づくことが欠かせません。退職が決まった社員への面談は、引き止めの場ではなく「正直な理由を聞かせてもらう場」と位置づけると、組織の課題が見えやすくなります。あわせて、在職している社員の声を匿名で集める(簡易なアンケートや1on1)ことで、まだ顕在化していない不満を早期につかめます。

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止血の手順:何から手をつけるか

連鎖退職は「火事」に近い状態です。原因を完全に解明してから動くのでは間に合わないこともあります。次の優先順位で、止血と原因究明を並行して進めます。

ステップ1:これ以上の流出を止める(残る人へのケア)

まず守るべきは、今いる社員、特に中核人材です。負荷が集中している社員に対して、業務の一時的な再配分、応援体制、優先順位の見直しなどで「これ以上潰れない」状態をつくります。経営者が状況を把握し、手を打とうとしている姿勢を見せること自体が、残る社員の不安を和らげます。

ステップ2:辞める理由の共通項を洗い出す

直近の退職者の理由を並べ、共通点を探します。「同じ部署から続いている」「入社1年以内が多い」「特定の時期に集中している」といったパターンが見えれば、原因の所在が絞り込めます。ここで見つかった共通要因が、次に手を入れるべき優先課題です。

ステップ3:最も影響の大きい要因から1つずつ改善する

原因が複数あっても、すべてを同時に変えることはできません。退職への影響が大きく、かつ着手しやすいものから手をつけます。たとえば「特定の上司との関係」が共通項なら配置やマネジメントの見直し、「負荷」が共通項なら人員配置や業務削減、「評価不満」が共通項なら評価基準の説明と見直し、といった具合です。

ステップ4:入り口(採用)のミスマッチを断つ

退職の連鎖を本当に止めるには、出口(退職防止)だけでなく入り口(採用)の見直しが欠かせません。求人票や面接で伝えている情報と、実際の職場の実態がずれていると、採用してもまた早期に辞めるという悪循環が続きます。「ほしい人材像」を明確にし、実態をそのまま伝える採用に変えることが、定着する組織への転換点になります。

こうした「採用の入り口」から「定着の仕組み」までを一本の線でつなぎ直す作業は、社内のリソースだけでは手が回らないことも多いものです。外部の専門家に伴走してもらいながら型をつくる選択肢もあります。

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やってはいけない対応

退職者を一方的に責める

「裏切り者」「根性がない」と退職者を責める空気は、残る社員にも伝わります。「自分も辞めたら同じように言われるのか」という不信感が、かえって本音の共有を妨げ、静かな退職予備軍を増やします。

とりあえずの引き止めで時間を稼ぐ

条件提示だけで強引に引き止めても、根本の不満が残っていれば再び離職に向かいます。引き止めが必要な場面もありますが、原因への対応とセットでなければ一時しのぎに終わります。

原因究明を後回しにして採用だけ急ぐ

抜けた穴を埋めようと採用を急ぐ気持ちは自然ですが、辞める原因がそのままなら、新しく入った人も同じ理由で辞めていきます。穴を掘りながら水をかけるような状態を避けるためにも、原因への対処を並行させることが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 退職が続いていますが、何から始めればいいですか?

A. まずは今いる中核社員が潰れないようにケアしながら、直近の退職者の理由に共通点がないかを洗い出してください。「最も影響が大きく、着手しやすい要因」を1つ決めて改善に動くのが現実的です。

Q. 退職理由が本当のところわかりません。どうすれば本音が聞けますか?

A. 退職面談を「引き止めの場」ではなく「今後の改善のために正直に教えてほしい場」と明確に位置づけると、本音が出やすくなります。在職者には匿名アンケートや1on1を併用すると、まだ表に出ていない不満を早めにつかめます。

Q. 中小企業でも離職率は改善できますか?

A. 改善に取り組む余地は十分にあります。「中小だから仕方がない」と捉えるのではなく、原因を特定して優先順位をつけて手を打つことで、流出を抑えられたケースは少なくありません。ただし「離職ゼロ」を保証できるものではなく、継続的な取り組みが前提になります。

まとめ

社員が次々辞めていく会社には、「残る人に負荷が集中する」「辞める理由が個人事情で片付けられる」「中核人材から抜ける」という共通の構造があります。止血の基本は、(1)残る人を守る、(2)辞める理由の共通項を洗い出す、(3)影響の大きい要因から改善する、(4)採用の入り口のミスマッチを断つ、という順序です。

退職の連鎖は、放置すれば加速しますが、構造を理解して優先順位をつければ止められます。「どこから手をつけるべきか」「自社の原因はどこにあるのか」と迷ったら、採用・定着の両面を見られる専門家に早めに相談することで、立て直しのスピードを上げられます。

中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

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