
経営を任せられる幹部役員を育てるコツとは?現場と理念をつなぐ人材づくりの極意
起業してから数年が経ち、売上も安定。次のステージへ進むには、社長一人では限界がある──。そんなとき必要になるのが「経営の一端を担ってくれる幹部役員」の存在です。
しかし、「信頼できる人材がいない」「経営視点を持てる人が育たない」と悩む経営者は多いもの。
今回は、実務経験に基づき、幹部役員を育てる5つのコツをお伝えします。人に任せて伸ばす経営の第一歩として、ぜひ参考にしてください。
コツ①:理念と数字、両方で語る習慣を
幹部役員には、現場の統率だけでなく、経営理念と数字をバランス良く理解できる力が必要です。
つい「売上」「利益率」などの数字にばかり目が行きがちですが、それではただの“数字屋”に。逆に「想い」だけでは、組織が動きません。
日頃から、「なぜこの数字を追うのか?」「この指標がどんな意味を持つのか?」を、理念と結びつけて説明する習慣をつけましょう。
数字の裏側にある会社の哲学を共有することが、幹部役員の経営判断の軸を育てます。
コツ②:戦略だけでなく、実行まで任せてみる
幹部役員候補に対して、「戦略の検討」までは任せても、「実行」に関しては社長が細かく口を出してしまうケースがよくあります。
ですが、任せきらなければ育ちません。
たとえば、新しいプロジェクトを任せるなら、KPIの設定から進捗管理、メンバーアサイン、結果の分析・改善まで、すべて担当させてみること。
その際、定期的に報告とフィードバックの機会を設け、必要に応じて助言することで、実行力と判断力の両方が養われます。
コツ③:「自分の右腕」をつくる意識で接する
幹部役員候補は、単なる「現場責任者」ではなく、「経営を共につくる存在」です。
そのためには、「右腕」として自分の価値観や意思決定の背景、失敗談など、社長自身のリアルを共有することが必要です。
特に、普段表には出さない「迷い」や「プレッシャー」といった本音も話すことで、信頼関係が深まり、幹部候補も「自分も会社の未来を背負う立場なんだ」と腹をくくるようになります。
コツ④:短期成果ではなく“育成期間”を意識する
幹部育成は、目先の成果を期待してはいけません。むしろ、短期的には失敗も増えるかもしれません。
大事なのは、「3年スパンで育てる」という視点です。
その間、段階的に責任の範囲を広げ、「振り返り→改善→挑戦」のサイクルを地道に回していくことがカギです。
「うまくいかない時期こそ、次の成長のきっかけになる」──。この意識を持つことで、ブレない育成ができるようになります。
コツ⑤:役員同士の“経営チーム”をつくる
個別の幹部育成に加えて、「経営チーム」としての意識を高めることも重要です。
たとえば、年1回の経営合宿、週次での経営ミーティングなどを設け、「同じ方向を見る」「課題を共有する」機会を意図的につくります。
単に仕事の情報交換にとどまらず、「理念に基づいた判断ができているか」「本質的な課題は何か?」といった、深い対話を重ねることで、チームとしての一体感と判断力が養われていきます。
まとめ:幹部役員育成は「事業継続力」そのもの
幹部役員は、経営者と同じ視座で動ける“第二の頭脳”とも言える存在です。
会社の成長だけでなく、事業継続や多角化を目指すうえでも不可欠な人材となります。
時間はかかりますが、その分、経営者が現場から一歩引いて“経営に専念”できる土台が整います。
「育てた分だけ、会社が強くなる」──幹部役員の育成は、その未来への投資です。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。