出資金のすべて〜会社設立を考える人のための実践ガイド
はじめに：出資金は「会社の血液」
会社設立を考えるとき、「出資金」という言葉は必ず耳にしますよね。
でも、実際には「資本金との違いは？」「いくら用意すればいい？」「誰に出してもらう？」と疑問が尽きないものです。
ズバリ言います。
出資金は、会社を動かすための“血液”です。血液が足りなければ、体（＝会社）は動きませんし、出所が不透明だと、金融機関や取引先からの信頼も得られません。
この記事では、これから本格的に起業準備を進める方に向けて、出資金の基本から実務的な注意点まで、分かりやすくお話しします。
目次
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出資金とは何か？
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出資金と資本金の関係
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出資者は誰になるべきか？
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出資割合と議決権の関係
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出資金の払い込みと証明方法
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出資金の集め方：家族・友人・投資家
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出資金にまつわる注意点（トラブル事例）
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出資金と信用力の関係
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出資金と融資・補助金の相乗効果
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FAQ（よくある質問）
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まとめ
1. 出資金とは何か？
基本的に出資金とは、会社を設立する際に株主（合同会社では社員）から集める元手資金のことです。
借入金と違って返済義務がないのが最大の特徴。
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株主にとっては「投資」
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会社にとっては「自由に事業で使える資金」
この資金で、設備を買い、人を雇い、広告を打つわけです。
つまり、出資金は会社のスタートダッシュを決める重要な要素です。
2. 出資金と資本金の関係
出資金と資本金は、ほぼ同じ意味で使われることが多いですが、正確には以下のような関係です。
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資本金：会社設立時の登記に記載される額
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出資金：出資者が実際に払い込んだお金
例えば、出資金として1,000万円集めたが、そのうち800万円を資本金として登記し、残りを資本準備金とするケースもあります。
3. 出資者は誰になるべきか？
出資者は、単にお金を出すだけでなく、会社の意思決定に関わる重要な存在です。
株式会社では議決権を持ち、合同会社では社員としての権限を持ちます。
ポイント
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信頼できる人物か？
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会社の方向性を共有できるか？
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長期的に付き合えるか？
4. 出資割合と議決権の関係
株式会社では原則、1株＝1議決権。
特別決議（定款変更など）には、議決権の3分の2以上が必要です。
たとえば創業社長が経営権を安定的に握るには、最低でも3分の2の株式を確保することが望ましいです。
5. 出資金の払い込みと証明方法
会社法改正により、発起設立では銀行の払込金保管証明書は不要になりました。
代わりに、発起人代表者の通帳コピーでOKです。
手順の一例
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発起人代表の銀行口座に全員分の出資金を振込
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振込明細と通帳コピーを保管
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登記申請書に添付
6. 出資金の集め方：家族・友人・投資家
家族・友人からの出資
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贈与か貸付かを明確に
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贈与の場合は贈与税に注意（年間110万円まで非課税）
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貸付の場合は自己資金として認められないケースも
投資家（エンジェル投資家など）
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契約書を必ず作成
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出資比率の交渉に注意
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将来的な株式譲渡のルールを事前に決定
7. 出資金にまつわる注意点（トラブル事例）
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出資者間の意見対立による経営権争い
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出資金を私的に流用 → 信用失墜、融資ができない
8. 出資金と信用力の関係
出資金は単なる元手資金ではなく、金融機関や取引先からの「本気度」を測る指標です。
自己資金割合が高いほど、融資審査にも有利です。
9. 出資金と融資・補助金の相乗効果
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創業融資：自己資金の2〜3倍が目安
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補助金：原則返済不要、出資金と合わせて運転資金を厚くできる
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助成金：人を雇う予定があるなら要チェック
10. FAQ（よくある質問）
Q1. 出資金はいくらが妥当？
A. 最低資本金制度は廃止され、1円でも設立可能ですが、実務上は100〜300万円以上を推奨します。理由は融資や信用面のためです。
Q2. 出資金は現物でもいい？
A. 可能です（現物出資）。ただし、評価額や登記書類が増えるため専門家への依頼が望ましいです。
Q3. 出資後に返してもらえる？
A. 原則不可。出資は返済不要のお金であり、株式譲渡や減資手続きが必要です。
Q4. 共同出資のメリットは？
A. 資金面の負担軽減や経営ノウハウの補完。ただし、意思決定のスピード低下や対立のリスクあり。
11. まとめ
出資金は、会社設立の基盤であり、信用力の源です。
「とりあえず最低限」で済ませると、後々の資金繰りや融資審査で苦労します。
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誰から、どのくらい、どのように集めるかを明確に
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出資者との関係は契約書で固める
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自己資金割合を高め、創業後の資金調達を有利に
準備段階から正しい知識と戦略を持ち、強い会社の土台を作りましょう。
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この記事を書いた人
中野裕哲／Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授（起業論、ゼミ等）
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援！「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル（事業計画＋融資＋補助金＋会社設立支援）＋起業後の総合サポート（経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関）など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫／Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫（旧国民金融公庫）に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。
