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コラム

学習塾の開業融資で失敗しないための事業計画書の書き方

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学習塾の開業融資で失敗しないための事業計画書の書き方

学習塾の創業融資で失敗しない事業計画書の書き方|生徒数・単価の見積もり方

学習塾を開業するとき、多くの方が日本政策金融公庫の創業融資を検討します。しかし「事業計画書に何を書けばいいか分からない」「生徒数や単価の見積もりに自信が持てない」という声は少なくありません。審査に落ちてから慌てて書き直すのではなく、最初から審査官が見ているポイントを押さえておくことが、開業準備をスムーズに進める近道です。本記事では、学習塾特有の落とし穴を踏まえながら、失敗しない事業計画書の書き方を整理します。

学習塾の創業融資はどこから借りる?基本の制度と限度額

個人事業主・法人を問わず、学習塾の開業資金の主な選択肢は日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、教室の賃借費用や内装費、教材・タブレット等の設備費、開業後数ヶ月分の運転資金までをまとめて計画に組み込めます。無担保・無保証人での借入が原則可能で、事業の実績がなくても事業計画書と自己資金をもとに審査される点は、学習塾のような新規開業でも変わりません(本記事執筆時点=2026年7月の情報です)。

事業計画書で審査官が見ているポイント

学習塾は在庫を持たないビジネスのため、審査官は「どうやって生徒を集め、どのくらいの期間で黒字化するか」という収益の組み立てを特に注視します。具体的には次の3点です。

  • 生徒数・月謝単価の根拠が、周辺相場や競合の状況と照らして無理のない数字になっているか
  • 開業から満席(定員充足)までの立ち上がり期間が現実的に見積もられているか
  • 講師人件費・教室賃料など固定費が、想定生徒数の段階でも払い続けられる水準か

【数字で見る】生徒数・月謝単価の見積もり方

個別指導塾を例にすると、事業計画書では「開業◯ヶ月目に生徒数◯名、月謝単価◯円」という形で、月次の生徒数推移を段階的に示すのが基本です。開業直後から満席想定で計画を組むと非現実的だと判断されやすいため、次のような立ち上がりの目安を示すと説得力が増します。

  • 開業1〜3ヶ月目:体験授業・口コミ経由での緩やかな入会(定員の1〜2割程度)
  • 開業4〜6ヶ月目:チラシ・地域広告の効果が出始める時期(定員の3〜5割程度)
  • 開業7ヶ月目以降:紹介・継続率の積み上がりで定員に近づく想定

単価は「近隣の学習塾の月謝相場」を必ず調べたうえで設定し、自塾が高め・安めに設定する理由(少人数制、講師の実績、教材費込みなど)を一言添えると、単なる希望的観測ではないことが伝わります。

自己資金はいくら必要か

公庫の創業融資には、自己資金の額や割合について制度上の固定要件はありません。ただし自己資金の額は審査で重視される判断材料であり、多いほど有利に働きやすいのは事実です。開業前に自費で購入した教材・什器・広告費なども「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあるため、領収書は必ず保管しておきましょう。自己資金は面談時点で口座に確認できる状態にしておくことが基本です。

運転資金として計上できるもの・できないもの

学習塾の事業計画書でよくある誤りが、運転資金の範囲の見誤りです。講師の給与や教室の家賃・水道光熱費など、事業運営に必要な経費は運転資金として計上できます。

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学習塾特有の落とし穴

学習塾の創業融資でつまずきやすいポイントを整理すると、次の3つに集約されます。

  • 生徒数の過大見積もり:「知人の子どもも通わせてくれるはず」といった楽観的な想定だけで生徒数を積み上げると、根拠が薄いと判断されやすい。近隣相場・競合塾の状況など客観的な材料で裏付ける
  • 教室賃料と黒字化までの期間のミスマッチ:好立地ほど賃料は高くなるため、賃料に見合う生徒数に到達するまでの期間を運転資金でカバーできるかを必ず確認する
  • タブレット・教材費など初期投資の見落とし:映像授業やICT教材を導入する場合、初期費用だけでなくランニング費用(教材使用料等)も資金使途に含めて計画する

事業計画書のチェックリスト

  • 生徒数・月謝単価の根拠(近隣相場・競合状況)を明記したか
  • 開業から満席までの立ち上がり期間を段階的に示したか
  • 講師人件費・教室賃料などの固定費を、立ち上がり期の生徒数でも払える計画になっているか
  • 運転資金に生活費を含めていないか
  • 自己資金を面談時点で口座に確認できる状態にしているか

よくある質問

Q. 学習塾の創業融資はいくらくらい借りられますか?

A. 制度上の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)ですが、実際にいくら借りられるかは事業計画の内容・自己資金・面談の結果によって決まります。教室規模や賃借費用に見合った金額を積み上げて計画することが大切です。

Q. 自己資金が少ない場合、学習塾の創業融資は難しいですか?

A. 制度上、自己資金の額や割合に決まった要件はありません。ただし自己資金は審査の重要な判断材料であるため、開業前に準備した教材費・什器費などの「みなし自己資金」も含めて、できる範囲で自己資金を積み上げておくと安心です。

Q. 事業計画書の生徒数はどう決めればよいですか?

A. 希望的な数字ではなく、近隣の学習塾の相場・競合状況、開業からの立ち上がり期間を踏まえた段階的な数字で示すことが重要です。開業直後から満席想定にしないことがポイントです。

まとめ

学習塾の創業融資で失敗しないためには、生徒数・月謝単価の根拠を客観的な材料で裏付け、立ち上がり期間を現実的に見積もった事業計画書を作ることが欠かせません。運転資金の範囲や自己資金の考え方といった基本を押さえたうえで準備を進めれば、審査官にも伝わりやすい計画書に仕上がります。数字はいずれも本記事執筆時点(2026年7月)の情報のため、実際の申請にあたっては最新の公庫情報もあわせて確認してください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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