
お金が無くなる7つの原因|中小企業・経営者が知るべき資金繰りの落とし穴
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V‑Spiritsグループの元信金マンこみねっちです。
このコラムでは、実際にあった事例や融資相談でリクエストが多かった内容をシェアしていきますね。
目次
はじめに
会社を経営していくうえで、お金が無くなるというのは本当に非常事態です。しかし、多くの経営相談を受けていて感じるのは、「原因を把握できている方」が意外と少ないということ。いわば、「気づいたら手元に現金が残っていない」という状態です。
実際に起こる事例として、「設備投資をした」「たくさん仕入れた」「掛売りを多くした」…など、単独でも資金を大きく削る要因ですが、複数が重なると資金繰りは一気に厳しくなります。今回ご紹介するのは、典型的な“お金が無くなる7つの原因”です。経営者として、まずは「どこが弱いか」を確認しておきましょう。
「自分だけは大丈夫」と思っていても、気付けば現金が乏しくなっていることがあります。だからこそ、先に知っておくことが大切です。では、一つずつ見ていきましょう。
① 設備投資
機械購入、内外装工事、ソフトウェア導入などの設備投資は、言わずもがな“お金が出ていく”大きな要因です。100万円を超える単価というのも珍しくありません。
しかし、設備投資をしたからといって必ず見合ったリターンが返ってくるわけではありません。導入後に稼働率が低かったり、使い勝手が悪かったり、あるいは市場環境が変わって予想より早く古くなってしまったりと、期待通りに機能しないケースも多く見られます。
このため、設備投資を行う際には「何のためにこの設備を入れるのか」「どのくらいで回収できるのか」「資金繰りにどれだけ余裕があるのか」を慎重に見極めることが欠かせません。たとえば、投資額を少し減らして、試用導入で様子を見るという選択肢もあります。
また、設備を入れたからといって、すぐ売上が倍になるわけではありません。投資後のメンテナンス、人材教育、販促など隣接するコストがかかるため、トータルで見た資金計画を立てておくことが重要です。
② 在庫
小売・卸売・製造など、仕入が先行する形態では、売れる前からお金が出ていく構造になっています。仕入→在庫→販売という循環が滞ると、そこが落とし穴になります。
在庫が滞留してしまったら―大量の仕入代金が既に支払われているのに、売上となっていない状態になります。言い換えれば、キャッシュは既に現金出してあり、入金は先。「貸し倒れリスク」も含んでしまうという構図です。
だからこそ、在庫の「回転数」「仕入~販売までのスピード」「滞留リスク」「過剰発注の控制」などを常にチェックしておくべきです。余分な仕入れを控え、滞留在庫は早めに値下げ・流通先変更・返品条件を交渉するなど、改善策を持っておくことが大切です。
また、在庫の保管コスト・保険料・劣化や陳腐化のリスクも忘れてはいけません。在庫管理が甘いまま新商品を発注し続けると、見えないコストが積み重なり、いつの間にかキャッシュを圧迫してしまうことがあります。
③ 掛売り
掛売り、つまり商品を販売してから入金までタイムラグが発生する形態は、手元のお金がどんどん目減りしやすい要因です。売ったという実感はあるものの、現金がまだ入ってこない。これが“資金が無くなる”構図です。
例えば、入金まで90日~120日という取引先条件を設けている企業があります。この間に仕入・人件費・経費など支出が積み重なれば、「売ったけど手元に現金がない」という逆転状態になります。
そんな時こそ、「前金をもらう」「部分入金を契約条件にする」「回収期間を短くする」などの交渉が有効です。掛売りをしているならば、回収条件を見直し、取引先の信用調査を継続的に行うことをおすすめします。
さらに、回収予定日をカレンダー管理し、期日を過ぎたらすぐアラートを出す仕組みを持つと、入金遅延の予兆を早期に捉えやすくなります。回収サイクルを意識することは資金繰り改善の大きな一歩です。
④ 税金
税金は毎月出るものではありませんが、まとまった出費として一度に支払いがやってくるため、忘れた頃に「キャッシュが足りない!」という事態を引き起こしがちです。法人税・事業税・消費税・住民税など、多くの種類があります。
これらをきちんと計画に組み込んでいないと、支払い時期に資金が足りず納税が滞ったり、加算税・延滞税が発生したり、信用リスクを抱えたりします。だからこそ、税金支払い時期をカレンダーに組み込み、回収→支払のサイクルをあらかじめ計算しておくことが望ましいです。
さらに、税務対策として「納税準備金を月次で積む」「税金支払いの直前まで使える手元流動性を確保する」「節税対策を講じておく」など、事前に準備する姿勢が重要です。
⑤ 売上回収の長期化
特に建設業・製造業・プロジェクト型ビジネスなどでは、契約から完成・納品・検収・請求・入金まで数ヶ月を要するケースがあります。つまり、売上が入金されない期間が長くなるということです。
これによって、その間の支出(人件費・仕入代金・光熱費など)は発生し続けるのに収入が追いつかず、先にキャッシュが出てしまう「時間差負荷」が生まれます。これが“お金が無くなる”根本的な構図です。
対策としては、契約時に「前金」「中間金」「完成後の支払い」などのミールストーンを設ける、売上回収スケジュールを契約書に明記する、あるいは請求プロセスを迅速に進めるといった方法があります。
また、回収予定表を管理し、予想外の遅れが出た時は即座に代替策(ファクタリング・短期借入)を検討できる体制を整えておくことが、資金枯渇の防止につながります。
⑥ 借入返済
融資を受けている場合、当然ではありますが返済が発生します。毎月の返済額が大きければ大きいほど、月々キャッシュアウト(現金流出)が増え、資金繰りが圧迫されやすくなります。
特に数千万円規模を借り入れている場合、元金・利息ともに負担が重く、売上が少し落ちただけで返済に詰まるというリスクがあります。また、据置期間が短い・金利が変動している・返済開始が早いといった条件も負荷を高めます。
借入する際には「返済期間」「返済額」「金利」「返済開始時期(据置期間)」「返済スケジュールへの月次キャッシュフロー影響」まで含めて、シュミレーションを必ず実施すべきです。返済負担が重すぎると判断するなら、借入条件の見直し・リスケジュール交渉・返済据置の検討が必要です。
また、借入をして「借入=安心」と思ってしまうのも危険です。借りた時点で安心材料にはなりません。返済をスタートしてからのキャッシュフローがどう推移するかが、経営者にとって本当の勝負です。
⑦ 掛売りの入金遅れ
掛売りをして回収まで時間差があるというだけでもリスクですが、予定日に入金が遅れる、あるいは最悪の場合「回収不能(焦げ付き)」になるという可能性もあります。入金遅れが続くと、仕入代金・人件費・経費など支払い期日が迫る中、手元のキャッシュが枯渇するリスクを抱えます。
この現象は“連鎖倒産”や“キャッシュショート”の典型的な原因です。だからこそ、取引先の信用管理、入金遅延時の対応策を事前に備えておくことが重要です。例えば「支払い条件を短くする」「与信限度を設定する」「保険をかける」「入金保証を活用する」などが考えられます。
また、入金予定表を月次・週次で管理し、遅延が出たら早期にアクション(督促・代替債務交渉・ファクタリング)を取れるような仕組みを持つことが、手元資金を守る鍵になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. お金が無くなる原因はこの7つだけですか?
いいえ、これらは典型的な原因の“7つ”ですが、もちろん他にも「取引先の倒産」「為替変動・原材料価格高騰」「社員離職による生産停止」「急な法令改正・行政対応コスト」など様々な原因があります。ただ、まずはこの7つを押さえておけば、資金繰り改善への第一歩になります。
Q2. 設備投資を控えたほうがいいですか?
設備投資を控えることが必ずしも正解ではありません。設備によっては大きな成長機会を生む場合もあります。ポイントは「タイミング」「資金余裕」「見込みリターン」「返済計画」が整っているかを確認してから実施することです。
Q3. 在庫が滞留した場合、何をすればいいですか?
まずは滞留在庫を洗い出し、「なぜ売れないか」「いつまでに売り切るか」「代替用途はないか」を整理しましょう。そして、仕入れを抑え、販促強化・値下げ・流通チャネル変更などの対策と併せて、在庫回転率を改善することが鍵です。
Q4. 借入返済が厳しい時はどうしたらいいですか?
まずは返済額・返済期間・金利・据置期間などを整理し、返済シュミレーションを行ってみましょう。返済が重すぎると感じたら、金融機関・取引銀行・専門家(税理士・中小企業診断士)に早めに相談し、リスケジュールや返済条件の変更を検討することをおすすめします。
Q5. 掛売りの入金遅れを防ぐポイントはありますか?
はい、主な方法として「取引先の与信管理」「支払い条件の短縮」「前金・中間金の設定」「入金保証・ファクタリングの活用」があります。また、取引先が複数ある場合には、入金が偏らないよう分散化を図ることもリスク対策になります。
まとめ|まずは気づくことが大切です
「お金が無くなる」という事態は、突然ではなく、日々の小さな“資金のズレ”が積み重なった結果であることが多いです。本記事で紹介した7つの原因を自身の事業に落とし込み、「どこが弱いか」「改善すべきか」をまずは確認してみましょう。
そして、原因を知ったうえで「資金繰り表を作る」「日常の現金出入りを把握する」「回収条件を見直す」「費用発生を先延ばしにしない」などのアクションを一つずつ実践していくことが、経営の安心感につながります。
もし「原因がたくさんあり過ぎて、どこから手をつけたらいいかわからない…」という方は、専門家(税理士・中小企業診断士・金融機関担当者)に相談することも有効です。お気軽にご相談くださいね。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 融資担当営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。成績ばかりを追い、取引先を理解できず苦戦するが、企業の本質を知ることの重要性に気づく。以後、信頼関係を築き、資金繰りや融資支援に注力。経営難の企業に融資の基本を伝え、3ヶ月で1.5億円の資金調達を実現。この経験を原点に、中小企業の資金繰り支援を使命とし、日本の企業成長に全力を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























