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コラム

動物病院のレントゲン更新と補助金|同等品入れ替えが対象外になる4つの境界線

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動物病院のレントゲン更新に補助金が使えない4つの落とし穴と、対象になる組み立て方

開業から十年ほど経った動物病院で、そろそろレントゲンを入れ替えたい。フィルムや読み取り装置の維持に手間がかかり、デジタル化もあわせて進めたい。そんな相談を受けるとき、最初にお伝えしているのは「更新という言葉のままでは、どの制度の入口にも立てない」ということです。

補助金の制度側には「レントゲンの更新」という区分がありません。制度が見ているのは買う機械の名前ではなく、その投資で院内の何が変わるのかです。ここを整理しないまま見積を取り、機器商社から「この機種は補助金の対象です」と案内されるまま申請の準備を進めると、途中で組み立てが崩れます。

この記事では、レントゲンの入れ替えが制度の手前で止まりやすい箇所を4つに分けて説明し、そのうえで対象になりうる形に組み直す視点を整理します。数字や要件は2026年8月時点で公表されている内容にもとづくもので、公募回によって変わります。申請前には必ず最新の公募要領でご確認ください。

落とし穴1:同じ性能の機械への入れ替えは「省力化投資」として組めない

人手が足りない現場の投資として最初に候補に挙がるのが、中小企業省力化投資補助金(一般型)です。補助上限は1億円で、対象経費の主軸は機械装置・システム構築費とされています。ここだけを見ると、撮影装置の入れ替えも入りそうに読めます。

ところがこの制度には、対象設備にオーダーメイド性を求める判定基準があります。対象になるのは、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせてより高い省力化効果を生む場合か、導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合のいずれかです。単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外と明記されています。

この制度には単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れるという要件もありますが、金額の条件を満たしただけでは足りません。撮影装置を1台、同等の機能のものに置き換えるだけの計画は、金額が大きくてもこの基準の側で落ちます。

なお、省力化投資補助金にはカタログ注文型という別の型もあります。こちらは事務局に登録された製品を選んで導入する設計で、既製品をそのまま入れる投資に向いています。撮影装置の入れ替えを検討する段階でこの型が候補になるかは、対象として登録されている製品の中に該当する区分があるかどうかで決まります。補助上限は2026年に見直しが入っており、公表されている金額は公募回によって変わります。金額を前提に計画を立てる前に、最新の公募要領で確認してください。

落とし穴2:「新しい検査ができる」だけでは革新的新製品・サービス枠に届かない

次に候補になるのが、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠です。この枠が支援するのは、自社の技術力等を活かして顧客等に新たな価値を提供する新製品・新サービスを開発する取組で、単なる設備・システム導入、既存製品・サービスの生産プロセス改善は対象外とされています。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

相談の場では、今も「ものづくり補助金」という呼び方で話が始まります。ただ2026年度からは新事業進出補助金と統合され、公募要領上の名前は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に変わりました。旧称のまま検索すると統合前の解説にたどり着き、枠の名前も上限額も違う情報を前提に見積を組んでしまうことがあります。制度名は現行の表記で確認していただくと安全です。

あわせて、同業で既に相当程度普及している開発も対象外です。デジタル撮影への切り替えは獣医療でも広く進んでおり、装置を新しくして画質が上がった、撮影の待ち時間が短くなった、という説明だけでは、この枠が求める開発の水準には届きません。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

落とし穴3:ソフト側で制度を選ぶと、撮影装置本体が置いていかれる

画像の保存や閲覧の仕組みまでまとめて入れ替える計画なら、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が候補に入ります。通常枠の補助上限は450万円で、対象経費はソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、設定・研修・マニュアル作成・保守サポート等の導入関連費です。事務局に登録されたIT導入支援事業者の支援を受けて申請する前提で、ツールも登録品が前提になります。

ここで起きやすいのが、制度に乗る部分と乗らない部分が見積の中で分かれてしまう事態です。この制度の対象はソフトやサービスが中心で、機器そのものは対象になりにくい設計です。画像を扱う仕組みは制度に乗せられても、撮影装置の本体は別の資金で用意することになります。ソフト側だけを見て制度を決めると、投資額の大きい側が丸ごと自己負担で残ります。

落とし穴4:投資額が制度のレンジから外れている

制度には上限額だけでなく下限額もあります。革新的新製品・サービス枠の補助下限は100万円で、機械装置・システム構築費は単価10万円(税抜)以上が条件です。補助率は中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者は3分の2とされています。

上限額も一律ではありません。革新的新製品・サービス枠の補助上限は従業員規模別で、1〜5人は750万円、6〜20人は1,000万円、21〜50人は1,500万円、51人以上は2,500万円です。獣医師と動物看護師あわせて数名という規模の動物病院であれば、この一番下の段が自院の上限になります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

解説記事で見かける上限3,500万円という数字は、従業員51人以上の規模で大幅賃上げ特例まで適用した場合の最大値です。数名規模の動物病院がこの額を前提に資金計画を立てると、実際の上限との差がそのまま自己負担になります。金額を見るときは、上限そのものより自院の従業員数がどの段に入るかを先に確かめていただくほうが、計画のずれが小さくて済みます。

「更新」を「工程の作り替え」として組み直す3つの視点

ここまでの4点は、いずれも同じ理由から来ています。制度は機械の新旧ではなく、投資で業務がどう変わるかを見ているためです。そこで、更新という枠組みを外して次の3つの視点で見積を組み直します。

1. 何台・何種類の機器がひとつの工程を作るかで見る

省力化投資として組むなら、撮影装置単体ではなく、撮影から画像の保存・閲覧・院内共有までを一続きの工程としてとらえます。複数の機器やシステムを組み合わせて構成が変わるのであれば、オーダーメイド性の判定基準に照らして説明できる余地が出てきます。

2. 減る作業を人の時間で書き出す

省力化投資補助金(一般型)は、3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画を求めます。画質が上がったという説明ではこの数字は作れません。現像や読み取りにかかっていた時間、再撮影の回数、画像を探す手間といった作業を、人の時間として書き出すところから始めます。

3. 新しい診療メニューを立ち上げるのかを切り分ける

撮影の環境を整えた先に、これまで外部に出していた検査を院内で完結させる、あるいは新しい診療の形を作るといった計画があるなら、開発の要素がある投資として別の枠が視野に入ります。逆にそこまでの計画がないのであれば、省力化の側で組むほうが素直です。どちらなのかを先に決めると、集める資料も計画書の書き方も変わります。

まとめ

レントゲンの入れ替えで補助金を検討するときは、機種の選定より先に、その投資が院内の何を変えるのかを言葉にするところから始まります。同等品への置き換えとして説明する限り、省力化投資としても新製品・新サービスの開発としても、制度の入口に立ちにくいためです。

撮影から画像を使うまでの一連の流れを工程としてとらえ直し、減る作業を人の時間で示す。そのうえで自院の従業員規模から上限額を確かめ、機器とソフトのどちらが投資の中心かを見極める。この順番で整理すると、どの制度で組めるのか、あるいは制度を使わずに進めるほうが早いのかが見えてきます。判断に迷う部分は、公募要領の確認とあわせて専門家にご相談ください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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