
ロイヤリティ収入は融資審査でどう評価される?加盟金との違いと事業計画の書き方
ロイヤリティ収入を融資審査でどう説明するか、加盟金との違いから整理する
フランチャイズ本部を経営していると、加盟金とロイヤリティという2種類の収入を、資金調達の場面でどう説明すればよいか迷う場面があります。加盟金は開業時に一度受け取る収入である一方、ロイヤリティは加盟店の営業が続く限り継続的に発生する収入です。この記事では、既存のロイヤリティ収入を融資審査に向けてどう説明するかという観点から、性質の違い、事業計画での見せ方、加盟店数の増減の扱い方、決算実績との整合について整理します。
加盟金・ロイヤリティ収入の性質の違い(一時金と継続収入)
加盟金は、新たに加盟する店舗から開業時に一度だけ受け取る収入です。金額はあらかじめ定められていることが多く、契約成立のタイミングで発生します。これに対してロイヤリティは、加盟店の営業が続く間、月々あるいは一定期間ごとに繰り返し発生する収入です。売上に連動する形で算定される場合もあれば、定額で設定されている場合もあります。
この違いが融資審査で意味を持つのは、収入が「その時点限りのものか」「今後も一定の水準で続くと見込めるものか」という見方の違いにつながるためです。加盟金は加盟契約の件数によって年ごとに増減しやすい一方、ロイヤリティは既存の加盟店との契約が続く限り、比較的安定して発生する性質を持ちます。事業計画の中でこの二つを区別して説明できているかどうかが、まず整理の出発点になります。
本部の売上構成を事業計画に落とし込む際は、加盟金とロイヤリティを分けて記載し、それぞれの収入がどのような性質を持つのかを見出しや項目として区別しておくと、審査する側にとっても収入構造を追いやすい書き方になります。年ごとの加盟金収入の増減がロイヤリティ収入の水準に直接影響するわけではない点も、区別して説明できる部分です。
融資審査で継続収入がどう評価されるか(事業計画の具体性・返済原資との関係)
審査では、直近の業績、今後の事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合性、信用情報などをもとに判断されます。このうちロイヤリティ収入の説明にもっとも関わるのは、事業計画の具体性です。継続収入があること自体よりも、その収入の水準をどのような根拠で見込んでいるかが問われます。
具体的には、ロイヤリティの算定方法(売上に対する料率なのか、定額なのか)、現在契約している加盟店の件数、既存契約の更新状況といった要素を、数字の出どころまで示せているかが説明の厚みにつながります。「継続的な収入があるので安定しています」という言い方だけでは、計画の具体性としては弱く見られやすく、料率や件数の内訳まで踏み込んで書くことで、返済原資としての説明に近づきます。
💬 執筆者の小峰から一言
信用金庫で融資を出す側にいたころ、フランチャイズ本部からの相談も扱いました。V-Spiritsの創業融資支援712件(2026年6月時点)のうちフランチャイズ支援は85件です。加盟金という一時金より、ロイヤリティという継続収入をどう数字で説明できるかで、計画書の印象が変わる場面を見てきました。
資金使途と調達額の整合という評価軸との関係でも、ロイヤリティ収入を根拠に調達額を組み立てるなら、その内訳がどこまで数字で裏づけられているかが見られます。信用情報や自己資金といった他の評価軸と並べて、事業計画の具体性を厚くする材料の一つとしてロイヤリティ収入を位置づける書き方になります。
加盟店数の増減が事業計画に与える影響の説明の仕方
ロイヤリティ収入は加盟店舗数に連動する部分が大きいため、加盟店数の増減が事業計画にどう影響するかを説明できるかどうかも論点になります。ここで扱うのは、あくまで既存の加盟店との契約状況をもとにした収入の見込みであり、新たな加盟店をどう増やすかという話とは切り分けて考えます。
加盟店数が増加基調にある場合は、その根拠(既存店舗の契約更新実績や、直近の契約件数の推移など)を示すことで、ロイヤリティ収入の見込みに説得力を持たせやすくなります。逆に減少局面にある場合は、その影響を事業計画上どう見込み、収入の変動にどう対応する計画になっているかを説明する必要があります。増減のどちらであっても、数字の根拠を示さずに「今後も安定して推移する見込みです」とだけ書くと、事業計画の具体性としては弱く見られやすい点に変わりはありません。
ここで扱うのは、あくまで既存の加盟店との契約に基づく収入の見込みを事業計画上どう説明するかという論点であり、本部が今後どのような形で契約数を伸ばしていくかという展開そのものの計画は、この記事の範囲外です。融資審査で問われるのは、現時点で成立している契約関係から、ロイヤリティ収入をどのような根拠で見込んでいるかという点に絞られます。
決算実績との整合
すでに数年にわたって本部を経営している場合、決算書や試算表は実在する評価材料として扱われます。事業計画に書いたロイヤリティ収入の見込みと、実際の決算の数字が計画どおりに推移していれば、それは計画の実現可能性を裏づける材料になります。逆に、計画と実績の間に乖離が続いている場合は、その理由を説明できるかどうかが問われる材料にもなります。決算実績は、プラスにもマイナスにも働きうる材料として、両方向から見られるものと理解しておくとよい位置づけです。
ロイヤリティ収入について決算実績との整合を説明するときは、直近の決算における実際のロイヤリティ収入の水準と、事業計画上の見込みとの差がどの程度か、差がある場合はその要因(加盟店数の変動、契約条件の見直しなど)を数字とあわせて示す形になります。この整合が取れているほど、事業計画の具体性という評価軸での説明はしやすくなります。
創業から日が浅く、決算をまだ一期も迎えていない場合は、試算表や月次の売上推移が決算実績と同じ役割を果たします。この場合も、ロイヤリティ収入の月々の推移と、事業計画上の見込みとを突き合わせて説明できる形にしておくと、決算実績がある場合と同じ考え方で整理できます。代表者が本部の経営以外に別の会社を経営している場合は、その会社の決算書もあわせて確認の対象になることがあるため、本部単体の数字だけで完結させずに整理しておく形になります。
まとめ
加盟金とロイヤリティ収入は、一時金と継続収入という性質の違いを持つため、融資審査に向けた説明の仕方も分けて考える必要があります。審査では、斯業経験、自己資金、事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報などをもとに判断され、ロイヤリティ収入はこのうち事業計画の具体性を厚くする材料として位置づけられます。
実務としては、ロイヤリティの算定方法や現在の加盟店件数、契約更新の状況、加盟店数が増減した場合の影響、そして決算実績との整合を、それぞれ数字の出どころまで整理しておく形になります。制度や審査の運用は変わることがあるため、この記事の内容は執筆時点の情報として捉え、個別の状況については申込先や専門家に確認しながら進めることができます。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
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