
【ジム開業】創業融資の事業計画書で会員数・月会費を決める手順を徹底解説
ジムの創業融資に通る事業計画書|会員数と月会費の根拠ある立て方
スポーツジムやフィットネスジムの開業で創業融資を申し込むとき、審査の結果を大きく左右するのが事業計画書です。なかでも「会員数」と「月会費」の設定は、売上計画の土台になる部分で、ここに根拠がないと計画全体の説得力が一気に下がってしまいます。
この記事では、これからジムを開業する方に向けて、創業融資の事業計画書で会員数と月会費をどう設定し、どう根拠づけるかを、ステップとチェックリストの形で整理します。金利や制度の数字は執筆時点(2026年)の情報をもとにしていますので、実際の申請時は日本政策金融公庫の最新情報をご確認ください。
なぜジムの事業計画書は「会員数×月会費」がカギなのか
ジムの売上は、大まかにいえば「会員数 × 月会費」に、パーソナルトレーニングや物販などの付帯収入を足したもので構成されます。つまり、会員数と月会費の設定が、そのまま売上計画の骨格になります。
創業融資の審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。実績がない分、計画の数字にどれだけ現実的な根拠があるかが問われます。「なんとなく会員300人、月会費8,000円で月240万円」といった希望的な数字ではなく、「なぜその会員数と月会費になるのか」を説明できることが大切です。
ステップ1:会員数の見積もりを根拠づける
会員数は、次の順番で積み上げると根拠を示しやすくなります。
- 商圏の人口を調べる:出店予定地から半径2〜3キロメートル(駅前や24時間型なら徒歩・自転車圏)にどれくらいの人口がいるかを把握します。自治体の統計や国勢調査のデータが使えます。
- ターゲット層を絞る:年齢層・性別・想定するライフスタイルから、商圏人口のうち何%が見込み客になり得るかを考えます。
- 設備のキャパシティと稼働率から上限を確認する:マシン台数・スタジオ面積・営業時間から、無理なく受け入れられる会員数の上限を出します。稼働率は控えめに見積もるのが安全です。
この3つを掛け合わせると、「商圏人口のうち現実的に獲得できる会員数」の目安が見えてきます。さらに、開業初月からいきなり満員になることはまれなので、「開業3か月目・6か月目・12か月目」と、会員数が段階的に増えていく前提で計画を作ると、より現実的な見積もりになります。
ステップ2:月会費の設定を根拠づける
月会費は、思い込みで決めるのではなく、業態と競合をふまえて設定します。ジムといっても業態によって価格帯は大きく異なります。
- 24時間型・セルフ型:スタッフを絞って運営コストを抑えるぶん、月会費は比較的手頃な価格帯に設定される傾向があります。
- パーソナルジム:マンツーマン指導の価値を提供するため、月あたりの単価は高めになります。
- 総合型・スタジオ併設型:設備やプログラムの充実度に応じた価格帯になります。
大切なのは、出店予定エリアの競合ジムの料金を実際に調べ、「自店はどの価格帯で、なぜその価格なのか」を説明できるようにすることです。競合より高く設定するなら、その価格に見合う強み(設備・立地・指導内容など)をセットで示す必要があります。入会金やキャンペーン価格を使う場合は、通常価格と分けて計画に反映しておきましょう。
ステップ3:会員数×月会費を売上・収支計画に落とし込む
会員数と月会費の根拠が固まったら、売上計画に落とし込みます。月ごとの会員数の推移に月会費を掛け、パーソナルや物販などの付帯収入を加えて、月次・年次の売上を組み立てます。
あわせて、家賃・人件費・水道光熱費・広告費・設備の返済など、事業を回すために必要な支出(運転資金)も月ごとに見込みます。人件費は事業活動に必要な経費として運転資金の対象になります。収入と支出を並べて、いつ黒字化し、いつ資金が底をつきそうかが見える形にすると、返済可能性を判断しやすい計画になります。
ジムの創業融資で知っておきたい制度の基礎
個人事業主・中小企業の創業時の代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月に「新創業融資制度」が廃止され、現在はこの制度が主力となっています。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、原則として無担保・無保証人での借り入れが可能です。
2026年6月1日現在の基準利率は、創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき年3.45〜5.15%です。創業期に利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払いとなるため、会員数が増えるまでの開業初期の資金繰りに余裕を持たせられます。申請から融資実行までは書類提出後おおむね3週間〜1か月が目安で、書類準備を含めると合計2か月程度を見ておくと安全です。数字は執筆時点の情報のため、申請時は最新の条件をご確認ください。
審査で説得力を高めるための3つのポイント
1. 自己資金を整理しておく
創業融資では、制度上、自己資金の額や割合の決まりはありません。ただし、自己資金の額は審査の重要な判断材料になり、多いほど計画の実現性を示しやすくなります。面談時点で口座に確認できる形にしておきましょう。開業前に自費で購入した設備や備品などは、みなし自己資金として一定範囲で評価されることがあるため、領収書を保管しておくと安心です。
2. 業界未経験なら体制で補う
フィットネス業界の未経験から開業する場合は、事業計画書のなかで経験不足をどう補うかがポイントになります。より説得力を持たせるには、事業経験者を役員として迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整えることが有効です。
3. 数字の根拠をそろえる
会員数・月会費・売上のいずれについても、「なぜその数字なのか」を商圏データや競合調査とひもづけて示せるようにしておきます。根拠資料がそろっているほど、面談での説明もスムーズになります。
事業計画書 作成チェックリスト
- 商圏人口とターゲット層から会員数の見込みを積み上げているか
- 設備のキャパシティ・稼働率をふまえた無理のない会員数になっているか
- 月会費を業態・競合をふまえて設定し、価格の理由を説明できるか
- 会員数が段階的に増える前提で月次の売上計画を作っているか
- 運転資金(家賃・人件費・広告費・返済など)を月ごとに見込んでいるか
- 自己資金を面談時点で確認できる形に整えているか
よくある質問(FAQ)
Q. 会員数はどのくらい多めに見積もってよいですか?
A. 多めに見積もるほど売上は大きく見えますが、根拠のない会員数は計画の信頼性を下げます。商圏人口・稼働率から積み上げ、開業初期は控えめに、段階的に増える前提で作るのがおすすめです。
Q. 月会費は競合より高くしても大丈夫ですか?
A. 高く設定すること自体は問題ありませんが、その価格に見合う強み(設備・立地・指導内容など)を計画の中で説明できることが前提です。価格の根拠を示せるかどうかが重要です。
Q. 自己資金が少なくても申し込めますか?
A. 制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。ただし自己資金は審査の重要な判断材料になるため、少ない場合は事業計画の説得力や体制づくりで補う工夫が必要です。
まとめ
ジムの創業融資では、会員数と月会費の設定が事業計画書の説得力を大きく左右します。会員数は商圏人口・ターゲット・キャパシティから積み上げ、月会費は業態と競合をふまえて根拠づけ、そのうえで段階的な売上計画と運転資金の見込みに落とし込むことが基本です。制度や金利は変わりやすいため、申請時は最新の情報を確認し、事業計画書の作り込みや資金計画に迷うときは、創業融資に詳しい専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























