
整骨院を開業するための創業融資完全ガイド
整骨院(接骨院)を開業するには、物件取得費・内装工事費・施術機器の購入費など、まとまった初期費用がかかります。柔道整復師として独立を考えたとき、多くの方が最初にぶつかるのが「開業資金をどう調達するか」という壁です。本記事では、整骨院開業に必要な資金の目安から、創業融資の種類、審査を通すためのポイントまで、これから独立する方に向けてわかりやすく整理しました。資金計画の全体像をつかむための土台としてご活用ください。
なお、制度の金額や要件は変更されることがあるため、申請前には日本政策金融公庫など公式の最新情報を必ずご確認ください(本記事は2026年6月時点の情報をもとにしています)。
整骨院の開業にかかる資金の目安
整骨院の開業資金は、物件の規模や立地、居抜きか新規内装かによって大きく変わりますが、おおむね500万円〜1,500万円程度が一つの目安です。内訳を分解すると、自分の事業にいくら必要かが見えてきます。
主な初期費用の内訳
- 物件取得費:保証金・敷金・礼金・仲介手数料など。家賃の6〜12か月分が目安
- 内装・外装工事費:施術スペース、待合室、受付の整備。坪単価で変動し、数百万円規模になることも
- 施術機器・備品:電気治療器、低周波・干渉波機器、ウォーターベッド、施術ベッド、ロッカーなど
- 広告宣伝費:ホームページ制作、チラシ、看板、Web広告など
- 運転資金:開業後しばらくの家賃・人件費・水道光熱費をまかなう資金
特に整骨院で見落とされがちなのが運転資金です。整骨院の保険診療は「受領委任払い」の仕組み上、施術した分の保険請求がいったん保険者を経由するため、入金までおおむね2〜3か月のタイムラグが生じます。開業直後は売上が立っていても手元の現金が不足しやすいため、運転資金は厚めに見積もることが重要です。
整骨院開業で使える創業融資の種類
整骨院の開業資金は、自己資金だけでまかなうケースは少なく、多くの方が創業融資を活用します。代表的な選択肢を見ていきましょう。
1. 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
創業期の資金調達でまず候補になるのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資です。これから開業する方や開業して間もない方を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」があり、民間の金融機関に比べて創業者でも利用しやすいのが特徴です。
この制度は、2024年3月に廃止された「新創業融資制度」を統合する形で現在の主力制度となったもので、旧制度の無担保・無保証人といった特徴を引き継いでいます。融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、原則として無担保・無保証人での借入が可能です。税務申告2期を迎えていない方の場合は、原則0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。また、元金返済の据置期間を最大5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払いとなるため、入金タイムラグのある整骨院の開業初期でも資金繰りに余裕を持たせやすいのが利点です。なお、旧「新創業融資制度」の廃止にともない自己資金要件は撤廃されましたが、実務上は自己資金がまったくない状態だと審査は厳しくなる傾向があります。金利・限度額などの条件は制度改定で変わるため、申請前に公庫の公式サイトで最新の内容を必ずご確認ください。
2. 制度融資(信用保証協会+地方自治体+金融機関)
各都道府県・市区町村が用意する制度融資も有力な選択肢です。信用保証協会が保証人となることで、創業者でも民間金融機関から借りやすくなる仕組みで、自治体によっては利子や保証料の一部を補助してくれる制度もあります。お住まいの自治体の窓口や商工会議所で確認してみてください。
3. 公庫と制度融資の「協調融資」
必要資金が大きい場合は、日本政策金融公庫と民間金融機関の両方から同時に借り入れる「協調融資」という方法もあります。1か所からの借入額を抑えつつ、必要額を確保できる点がメリットです。
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融資審査で重視されるポイント
創業融資は「これから事業を始める人」への融資のため、過去の実績ではなく事業計画の説得力と返済の見通しが審査の中心になります。整骨院開業で特に押さえておきたい点を挙げます。
自己資金をどれだけ用意しているか
自己資金要件は撤廃されましたが、自己資金は「計画的に開業準備を進めてきた証拠」として依然として重視されます。目安として、必要資金の1〜3割程度を自己資金で用意できていると、審査での説得力が増します。コツコツ貯めてきた通帳の履歴は、計画性の裏付けとして評価されやすいポイントです。
事業計画書の具体性
整骨院の事業計画書では、売上の根拠を具体的に示すことが大切です。1日の施術可能人数、客単価(保険診療+自費メニュー)、稼働日数から月間売上を積み上げ、無理のない数字で組み立てましょう。「立地の人口・競合状況」「自費メニューの設計」「リピート施策」まで触れられていると、計画の現実味が高まります。
柔道整復師としての実務経験
勤務整骨院での施術経験や、施術以外の運営に関わった経験は、開業後の事業運営力を示す材料になります。経歴と開業する事業の一貫性を、計画書の中で自然に伝えましょう。
整骨院開業の融資でよくある質問(FAQ)
Q. 自己資金ゼロでも整骨院の創業融資は受けられますか?
制度上は自己資金がなくても申請自体は可能ですが、実務上は審査が厳しくなる傾向があります。少額でも自己資金を用意し、計画性を示せるようにしておくのが現実的です。
Q. 施術機器のリース費用も融資の対象になりますか?
購入する設備資金は融資の対象になりますが、リースは毎月の費用(経費)扱いとなり、設備資金としての借入とは性質が異なります。購入とリースのどちらが資金繰り上有利かは、事業計画と合わせて検討するとよいでしょう。
Q. 開業前と開業後、どのタイミングで申請すべきですか?
創業融資は開業前でも申請できます。物件契約や内装工事の前に資金の見通しを立てておくと、無理のないスケジュールで準備を進められます。
まとめ
整骨院の開業には500万円〜1,500万円程度の資金が必要となり、その多くを創業融資でまかなうのが一般的です。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」や自治体の制度融資を軸に、自己資金と事業計画書の説得力を高めることが、融資成功のカギになります。特に整骨院は保険診療の入金タイムラグがあるため、運転資金を厚めに確保しておくことが安定したスタートにつながります。資金計画や事業計画書の作り込みに不安がある場合は、創業融資に詳しい専門家に早めに相談することをおすすめします。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























