
いまさら聞けない「殿」「様」「御中」ってどう使い分ければいいの?──書き言葉で信頼を育む敬称の使い分け
手紙やメール、書類を送るとき、「殿」「様」「御中」のどれをつければいいかわからない―そんなお悩みありませんか?小さな違いが誤解を生んでしまうこともあるため、正しい使い方を知っておくことは、ビジネスの信頼にもつながります。
今回は、3つの敬称の由来と使い分け、間違いやすいポイント、実務で使う場面などを、実例を交えてわかりやすく整理しました。
① なぜ敬称が大切なのか?
敬称は相手への敬意と丁寧さを表す表現です。
-
間違えると印象が悪くなる
-
丁寧さを伝えられず、信頼に影響する
-
社会的慣習として使い分けが求められる
ちなみに、中野裕哲として常にお伝えしたいのは、「小さな配慮が相手との信頼関係に繋がる」ということ。書類1枚でも、この使い方で安心感が伝えられます。
② 「殿(どの)」の使い方
-
企業や団体の担当者個人に宛てるときに使う
例: -
比較的古くからある形式で、敬語ではないが格式を保った表現。
-
現在でも行政など、書面・ビジネス文書の場面では「殿」がよく用いられます。
×注意点:
-
カジュアル・親しい相手には使いづらい
-
社外メールでは「様」に替えたほうがやわらかい印象に
③ 「様(さま)」の使い方
-
相手が個人・法人を問わず広く使える丁寧敬称。
例: -
名刺交換後やメール、案内状などでも最も無難でポピュラーな選び方。
-
様を使うと「敬意・丁寧さ」が伝わり、ビジネスでも安心感があります。
☑ポイント:
-
文頭やビジネスメールの宛名に適する
-
「殿」が硬すぎる、相手との距離が近いほど「様」が無難
④ 「御中(おんちゅう)」の使い方
-
組織や部署宛てに送るときに使います。
例: -
宛名に人名を入れない場合は御中がぴったりです。
-
公的文書や企業間文書でもよく使われます。
×注意点:
-
氏名+御中はおかしい(重複表現になる)
-
個人名が分かっている場合は「様」を使いましょう
⑤ 3つの使い分けまとめ
宛先タイプ | 敬称 | 例文の宛名 |
---|---|---|
個人(企業内担当者) | 様または殿 | △△株式会社 営業部 田中太郎 様 |
氏名明記+堅い形式 | 殿 | △△株式会社 設計部 鈴木次郎 殿 |
組織や部署宛て | 御中 | △△株式会社 総務部 御中 |
⑥ よくある使い方の迷いと解決策
Q1:「社長」の場合は?
→ 「様」が無難です。
「社長 殿」でも間違いではありませんが、メールや案内状では「社長 様」のほうが柔和です。
Q2:「御中」と「様」を両方使ってもいいか?
→ 気持ちは分かりますが、ダブります。
「部長 様」または「部署名 御中」だけにしましょう。
Q3:内勤担当者にも「殿」はOK?
→ 形式上は間違いではありませんが、「様」のほうが安心感がある印象です。
Q4:メールの件名に「様」や「御中」は必要?
→ 宛名行だけで充分です。件名では不要にし、本文で敬語を使いましょう。
⑦ 敬称を通して相手との信頼を築く3つのポイント
-
相手との距離感に合わせて使い分ける
初対面・社外なら「様」、実務向けに硬めにするなら「殿」。 -
部署宛ては「御中」がスマート
決済依頼や事務連絡、資料送付など、部署単位のやりとりに便利。 -
敬称とセットで「敬語の文体」も整える
敬称だけではなく、本文も「御社」「ご担当者様」などを整えて信頼感アップ!
■まとめ:敬称は丁寧さの“第一歩”
-
「殿」:格式高く、形式重視の書類に(やや古くさい、偉そうな印象になりがち)
-
「様」:汎用性が高く、親しみやすく丁寧な印象に
-
「御中」:部署・組織宛てに的確
どれを使っても相手に失礼にならない配慮があればOK。大切なのは「相手に敬意と安心感を伝える」ことです。
書き方をちょっと意識するだけで、信頼につながるビジネスマナーになります。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。