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コラム

創業 融資 いくら 借り れる|目安金額と審査基準を専門家が解説

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「創業融資はいくらまで借りられるのか」「希望額をいくらで申し込むのが現実的か」「自己資金100万円なら、いくらまで通る可能性があるか」――起業準備中の方から最も多く寄せられる質問の一つです。

本記事では、創業融資の借入可能額について、制度上の上限・実態としての目安・審査で重視される要素を整理します。「絶対にいくら借りられる」と断定はできませんが、自社の状況からの目安を立てる手がかりになる情報をまとめます。

制度上の融資上限

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金

  • 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)が制度上の上限
  • 対象:新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内
  • 担保・保証人:原則として無担保・無保証人で利用できる枠がある

ただし、これはあくまで「制度上の最大額」であり、実際にはこの金額まで借りられるケースは稀です。

信用保証協会付き融資(制度融資)

信用保証協会の保証付き融資では、自治体の制度融資メニューによって上限が異なります。創業者向けの保証メニューでは、おおむね2,000万〜3,500万円程度を上限とするケースが多いです。

実態としての借入額の目安

実際に創業者が借りているのは、制度上限よりかなり小さい金額です。借入額は次の要素で決まります。

1. 自己資金の額

創業融資では「自己資金の○倍まで」という明文ルールはありませんが、実態としては自己資金の2〜3倍程度が借入額の目安になることが多いです。

  • 自己資金100万円:借入額の目安は200〜300万円程度
  • 自己資金300万円:借入額の目安は600〜900万円程度
  • 自己資金500万円:借入額の目安は1,000〜1,500万円程度
  • 自己資金1,000万円:借入額の目安は2,000〜3,000万円程度

これはあくまで目安で、業種・経営者の経歴・事業計画の質によって変動します。同業経験が長く、事業計画が緻密で、取引先が既に内定している場合は、自己資金の3倍を超える借入が認められることもあります。

2. 事業の必要資金

「いくら借りられるか」より前に、「いくら必要か」を事業計画から逆算する必要があります。必要資金は設備資金と運転資金に分けて積み上げます。

  • 設備資金:機械装置・什器・内装工事・敷金保証金など
  • 運転資金:仕入・人件費・家賃・広告費など、当面(6ヶ月〜1年程度)の必要額

必要資金を正確に積み上げて、自己資金との差額が借入希望額になります。

3. 業種ごとの借入額の傾向

業種により設備投資の規模が大きく違うため、借入額の相場も変わります。

  • 飲食店(個人経営):500万〜1,500万円程度(内装・厨房設備が中心)
  • 美容院・サロン:500万〜1,000万円程度
  • 士業・コンサル(在宅):100万〜500万円程度
  • EC事業:200万〜800万円程度
  • 小売店:500万〜2,000万円程度
  • 製造業:1,000万〜5,000万円程度(機械装置が中心)

これらは中央値の目安であり、規模・立地・業態により幅があります。

審査で重視される要素

借入可能額を左右する審査要素は次のとおりです。

1. 自己資金

自己資金の額・源泉が審査で最も重視される要素です。「給与から毎月コツコツ積み上げてきた預貯金」は最も評価が高く、「直前に親から振り込まれた現金」は自己資金として認められないことがあります。

2. 経営者の経歴

同業界での勤務経験、関連業務での実績、資格、人脈などが評価されます。「未経験で飛び込む業界」より「経験がある業界」のほうが借入額が大きくなる傾向です。

3. 事業計画の質

事業計画書の論理性・数字の根拠が高ければ、希望額に近い金額が認められる可能性が上がります。逆に、計画が雑だと希望額より大きく減額されることがあります。

4. 返済原資の確保

「貸したお金を返してもらえるか」が金融機関の最終判断軸です。事業計画の黒字化時期と返済原資(営業利益+減価償却)が無理なく確保できることが必要です。

5. 個人の信用情報・借入状況

個人のクレジット履歴、住宅ローン・自動車ローン・カードローンの残高なども審査要素になります。個人借入が多すぎると、返済余力が圧迫されて借入額が抑えられます。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫の法人営業の小峰を中心とした所属専門家チームが一丸となって、幅広い起業支援・経営支援を行っております。
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借入希望額を決める3ステップ

ステップ1:必要資金を積み上げる

設備資金・運転資金の内訳を、見積書ベースで1円単位まで積み上げます。「概算で○万円」ではなく、項目別の根拠を準備します。

ステップ2:自己資金との差額を算出

必要資金合計から自己資金を引いた金額が、本来必要な借入額です。「借りられるだけ借りる」のではなく、必要額に絞ることが基本です。

ステップ3:自己資金の○倍を意識して調整

差額が自己資金の3倍を超える場合、希望額を見直すか、自己資金を積み増す検討が必要です。希望額が大きすぎると、減額されたり否決されたりするリスクが上がります。

希望額を上げるための工夫

1. 自己資金を積み増す

申込までに数ヶ月〜半年の時間が取れるなら、自己資金を増やすことが最も効果的です。給与から毎月積み立てる、副業収入を全額自己資金に回す、保険積立を解約するなど、増やせる手段はいくつかあります。

2. 同業経験を強調する

創業計画書の経営者略歴で、同業経験・関連スキル・人脈を具体的に書きます。経験が事業計画と整合していれば、審査評価が上がります。

3. 取引先・販路を具体化する

創業時点で内定している取引先・契約済みの先・既存顧客などを書き出し、開業初日からの売上見込みを示します。

4. 事業計画書の質を高める

市場分析・競合分析・差別化要素・数値根拠を論理的に積み上げます。専門家のサポートを活用するのも一つの選択肢です。

5. 信用保証協会付き融資との併用

公庫だけでは希望額に届かない場合、信用保証協会付きの民間融資(制度融資)を併用する選択肢があります。協調融資の形で実行されることもあります。

「借りすぎ」は本末転倒

「借りられるだけ借りる」のは、創業期の典型的な失敗パターンです。必要以上に借入すると、次のような弊害があります。

  • 月額返済額が大きくなり、創業初期の資金繰りを圧迫する
  • 無駄な利息支払いで、総コストが上がる
  • 追加融資が必要になった時に、新規借入の枠が小さくなっている
  • 過剰な手元資金で、緊張感のない経営になる

必要額を超えた借入は、将来の追加融資や事業拡張時の選択肢を狭めます。事業計画から逆算した必要額に絞るのが基本です。

よくある失敗

  • 「制度上限まで借りられる」と勘違いする:7,200万円は最大値であり、実際の借入額は自己資金や事業計画に応じて決まる
  • 自己資金を直前に親族から借りて偽装する:通帳の入出金履歴で発覚し、信頼を大きく失う
  • 希望額を明確な根拠なく設定する:「とりあえず1,000万円」では審査で減額される
  • 運転資金を計算に入れ忘れる:設備資金だけ計算して、開業後の運転資金が足りなくなる
  • 借りすぎて月額返済が苦しくなる:「念のため多めに」が原因で資金繰りを圧迫

よくある質問

Q. 自己資金100万円で1,000万円借りられますか?

制度上は否定されませんが、実態としては難しいケースが多いです。自己資金の2〜3倍が目安となるため、100万円なら200〜300万円程度が現実的な範囲です。同業経験が長く事業計画が緻密な場合は、それを超える可能性もあります。

Q. 自己資金ゼロでも借りられる融資制度はありますか?

「絶対に借りられる」とは断定できませんが、自己資金ゼロでの創業融資はかなり難しいのが実情です。一般的な目安として、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が求められます。自己資金が少ない場合は、まず数ヶ月〜半年で自己資金を積み上げてから申請するのが現実的です。

Q. 借入額が多いほど審査は厳しくなりますか?

はい、借入額が大きくなるほど審査は慎重になります。希望額が自己資金の3倍を大きく超える場合、計画の妥当性・返済原資の確保が厳しく見られます。

Q. 公庫と制度融資を併用すれば、希望額に近づきますか?

協調融資として両方を併用するケースはあります。ただし、両方とも審査があり、合計の借入額が自己資金や事業計画に対して過大であれば、いずれも減額または否決される可能性があります。

まとめ

創業融資の借入可能額は、制度上限ではなく、自己資金・経営者の経歴・事業計画・返済原資の組み合わせで決まります。重要なのは次の3点です。

  • 必要資金を事業計画から積み上げ、自己資金との差額を借入希望額にする
  • 自己資金の2〜3倍程度を一つの目安として、希望額を現実的に設定する
  • 「借りられるだけ借りる」ではなく、必要十分な額に絞る

「自社の事業計画で、どれくらいの借入希望額が妥当か」「自己資金との関係で現実的なラインはどこか」と迷う場合は、一度専門家に相談すると、事業計画と必要資金の組み立てを整理しやすくなります。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

中野裕哲紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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