
中古トラック購入に創業融資は使える?運送業で独立する人の資金調達ガイド
中古トラックの購入資金は創業融資で借りられる?運送業の資金調達Q&A
運送業で独立するとき、最初の大きな出費になるのがトラックの購入費用です。「新車は高いので中古トラックで始めたいが、中古車の購入資金でも融資は受けられるのか」という疑問は、開業準備中のドライバーの方から特によく聞かれます。
結論からお伝えすると、中古トラックの購入費用も、事業に必要な設備資金として創業融資の対象になり得ます。本記事では、運送業での独立を準備している方に向けて、日本政策金融公庫の創業融資の基本と、中古トラック購入ならではの疑問をQ&A形式で解説します。数字は2026年7月執筆時点の情報です。
結論:中古トラックの購入費も「設備資金」として融資対象になり得る
創業融資における資金使途は、大きく「設備資金」と「運転資金」に分かれます。トラックなどの車両購入費は設備資金にあたり、事業に必要な支出であることを見積書などで示せれば、中古車であっても融資の対象として申請できます。
ただし、「中古だから無条件で通る」わけでも「必ず希望額を借りられる」わけでもありません。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。中古トラックの場合は、購入先の販売店から見積書を取得し、車両の金額根拠を明確にしておくことが準備の第一歩です。
運送業の創業でまず検討したい制度|新規開業・スタートアップ支援資金
創業時の資金調達の代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月までの名称は「新規開業資金」で、2024年4月に現在の名称へ改称・拡充されました。なお、かつて創業者向けの無担保・無保証の特例として知られた「新創業融資制度」は2024年3月に廃止されています。古い解説記事ではこの廃止済み制度が紹介されていることがあるため、注意してください。
制度の概要は次のとおりです(2026年7月執筆時点)。
- 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
- 担保・保証人:創業期(新たに事業を始める方・税務申告2期未了の方)は原則として無担保・無保証人で利用可能
- 基準利率:無担保・創業期の場合で年3.45〜5.15%(2026年6月1日現在)。創業期の方が利用する場合、原則0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります(適用可否は制度・審査・条件により異なります)
- 返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は原則10年以内(据置期間はいずれも5年以内)
トラック購入費は設備資金として最長20年以内の返済期間を希望することができ、元金返済を据え置く期間(利息のみ支払う期間)も希望することで、売上が安定するまでの開業初期の資金繰りに余裕を持たせる設計も可能です。
中古トラック購入と創業融資のQ&A
ここからは、運送業の開業準備で実際によく出る疑問に答えていきます。
Q1. 中古トラックでも設備資金として認められますか?
A. 事業に必要な車両であれば、中古トラックの購入費も設備資金として申請できます。ポイントは金額の根拠です。販売店の見積書を取得し、車種・年式・価格が分かる形で創業計画書の設備資金に計上します。走行距離や年式によっては修繕・整備の費用が発生しやすいため、購入後の維持費も収支計画に織り込んでおくと、計画全体の説得力が高まります。
Q2. 軽貨物と一般貨物(緑ナンバー)では必要な融資額はどう変わりますか?
A. 事業形態によって初期投資の規模が大きく変わります。軽バン1台で始める貨物軽自動車運送事業は、車両1台分の購入費と当面の運転資金が中心です。一方、一般貨物自動車運送事業(いわゆる緑ナンバー)は、許可の取得にあたって一定台数の車両確保が求められるなど、車両・人件費・駐車場を含めた初期投資が大きくなりやすく、その分必要な融資額も大きくなります。どちらの形態で始めるかによって資金計画の前提が変わるため、事業形態を決めてから融資額を組み立てる順序で進めましょう。許可・届出の要件の詳細は、管轄の運輸支局や専門家に確認してください。
Q3. 自己資金はいくら用意すればよいですか?
A. 現行の制度では、自己資金の額や割合について決まった要件はありません。ただし、自己資金の額は審査の重要な判断材料であり、多いほど有利になりやすいのが実情です。また、開業前に自費で購入した備品や資格取得の費用などは、「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあります。領収書を必ず保管しておきましょう。
Q4. トラックはリースと購入(融資)のどちらがよいですか?
A. リースは初期費用を抑えられる一方で、次のようなデメリットもあります。
- 連帯保証人が必要になる
- 車両の所有権が持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
融資で購入すれば車両は自社の資産になり、事業の実情に合わせて売却や入れ替えの判断もしやすくなります。どちらが有利かは資産計上の考え方や資金繰りの状況によっても変わるため、賃貸借費用の負担も含めて税理士や金融機関に相談しながら判断することをおすすめします。
Q5. 申し込みから融資実行までどのくらいかかりますか?
A. 書類提出後おおむね3週間〜1か月程度が目安です。創業計画書・自己資金のエビデンス・トラックの見積書などの準備期間を含めると、合計で約2か月を見ておくと安全です。「開業日から逆算していつ申し込むか」をスケジュールに落とし込んでおきましょう。
Q6. 一度審査に落ちると、次回の審査に影響しますか?
A. 日本政策金融公庫は個人信用情報機関に加盟していますが、審査に落ちたこと自体が信用情報に記録されることはありません。一方で、公庫内には審査に落ちた記録が残ります。そのため次の審査では、落ちたことを考慮に入れた形になるため、慎重に扱われる可能性があります。
審査で見られるポイントと準備の進め方
運送業の創業融資では、次のような点を意識して準備すると計画の説得力が高まります。
- 運送業での実務経験:ドライバーとしての勤務経験や配送業務の経験は、事業の実現性を裏付ける材料になります。職務経歴を整理して計画書に反映しましょう。
- 売上の根拠:委託元との契約予定・単価・稼働日数など、売上見込みの根拠を具体的に示します。希望的観測ではなく「誰から、どの単価で、どれくらいの仕事を受けるか」を数字で説明できる状態が理想です。
- 車両費用の妥当性:中古トラックの見積書に加え、燃料費・保険料・整備費などの維持費も収支計画に含め、車両にかかるお金の全体像を示します。
- 資金使途の整理:設備資金(車両など)と運転資金(燃料費・人件費など)を分けて計上し、それぞれ事業に必要な支出であることを説明できるようにします。
審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。裏を返せば、計画書の作り込みが結果を左右するということです。
まとめ|中古トラックの購入費は設備資金として申請できる。準備は見積書と計画書から
中古トラックの購入資金は、事業に必要な設備資金として創業融資の対象になり得ます。まず検討したいのは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」で、融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)、設備資金の返済期間は20年以内、創業期は原則無担保・無保証人で利用できます(2026年7月執筆時点)。
準備のポイントは、販売店の見積書で車両金額の根拠を示すこと、維持費まで含めた収支計画を作ること、そして軽貨物か一般貨物かという事業形態に合わせて資金計画を組み立てることです。制度や金利は変わりやすいため、申請時には日本政策金融公庫の最新の公式情報をご確認ください。自分のケースでいくら借りられそうか、計画書をどう作ればよいか迷う場合は、創業融資の専門家に早めに相談することで、準備の遠回りを避けられます。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























