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コラム

資金繰りが悪化したら補助金と融資どちらが先か|今すぐ効くのは融資である理由と創業期に使える選択肢

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資金繰りが悪化したら補助金と融資どちらが先か|開業直後に順番を間違えないための判断軸

「今月の支払いが厳しい」「入金が遅れて手元資金が無くなってきた」——開業してまだ1〜2年の時期に資金繰りが苦しくなると、まず思い浮かぶのが「補助金がもらえないか」という発想ではないでしょうか。返済がいらないお金と聞けば、そちらに気持ちが向くのは自然なことです。

ただ、資金繰りの悪化という場面に限っていえば、 補助金と融資は同じ土俵の選択肢ではありません。この記事では、資金繰りが苦しくなったときにどちらを先に動かすべきかを、それぞれの「お金が手元に届くまでの時間」という軸で整理します。あわせて、補助金を諦めずに両方を活かす順番の考え方もお伝えします。なお、制度や金利は変わりやすいため、本記事は2026年7月時点の情報にもとづく整理としてお読みください。

結論:今の資金繰りに効くのは融資、補助金は間に合わないことが多い

先に結論をお伝えします。資金繰りの悪化が目の前にある状況では、まず融資を検討するのが基本の順番です。補助金は、今日・今月の支払いを乗り切るための手段としては設計されていません。

これは補助金が劣った制度だという意味ではありません。目的が違うのです。補助金は「これから行う前向きな投資」を後押しする制度で、資金繰りの穴を埋めるためのものではありません。困っている状況で補助金に時間をかけると、動けたはずの時間を失うことになりかねません。

なぜ補助金は「今の資金繰り」を救えないのか

補助金が緊急の資金繰りに向かない理由は、大きく3つあります。

1. 原則は後払い(精算払い)

多くの補助金は精算払い、つまり後払いです。事業者がいったん対象経費を全額支払い、実績を報告し、確認を経てから入金されます。つまり補助金を使うには、先に払えるお金が必要です。手元が苦しい状況とは、前提が逆なのです。「補助金が入れば楽になる」と考えて動くと、入金までの立替えでかえって資金繰りが厳しくなることさえあります。

2. 公募期間が決まっている

補助金には公募期間があり、締切を過ぎれば次の公募回を待つことになります。困ったタイミングで都合よく公募が開いているとは限りません。

3. 申請すれば必ず採択されるわけではない

補助金の多くは審査によって採択が決まります。要件を満たしていても、採択されるとは限りません。不確実なものを資金繰り計画の柱に据えるのは危険です。「採択されたら支払える」という計画は、不採択になった時点で崩れてしまいます。

採択されてから入金されるまでの流れも、交付決定・事業実施・実績報告・確定検査と段階が多く、実際に現金が入るのは相当先になります。今月の支払いに充てる手段としては、時間軸がまったく噛み合いません。

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V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

融資なら、手元に現金が入るまでどれくらいか

一方の融資は、手元に現金を入れるための仕組みです。日本政策金融公庫の場合、書類提出後おおむね3週間〜1か月程度で融資実行に至るのが目安です。ただし、創業計画書や自己資金のエビデンス、見積書といった書類を整える時間も必要なので、準備を含めると合計で2か月程度を見ておくと安全です。

「2か月もかかるのか」と感じるかもしれません。ですが補助金の時間軸と比べれば、桁が違います。そして重要なのは、資金繰りは苦しくなってから動くほど選択肢が狭くなるという点です。まだ手元に多少の余裕があるうちに相談を始めるほど、通る可能性も、条件面での選択肢も広がります。

開業から2年以内なら「創業期」の枠組みが使える場合があります

開業して間もない時期は、実績が乏しく資金調達が難しくなりがちです。そこで日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を「創業期の方」として、新規開業・スタートアップ支援資金をはじめとした各種創業融資で支援しています。開業1〜2年目であれば、まだこの枠組みの対象になる可能性があります。

創業期の方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、制度によって異なります。金利は、2026年6月1日現在の基準利率で、無担保・創業期(税務申告を2期終えていない場合)は年3.45〜5.15%です。あわせて、創業期の方が利用する場合は原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。ただし「雇用の拡大を図る場合」は対象者の区分ではなく引下げ幅が変わる条件であり、実際の適用可否は利用する制度・審査・条件によって異なりますので、詳細は申請先でご確認ください。

据置期間で当面の返済負担を抑えられる場合があります

資金繰りが苦しいときに「借りたら返済でもっと苦しくなるのでは」と心配される方も多いところです。ここで知っておきたいのが据置期間です。元金返済の据置は5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払いになります。手元のキャッシュフローに余裕を持たせながら立て直しを図る、という組み立てが可能です。返済期間は、新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の例では、設備資金が20年以内、運転資金は原則10年以内となっています。

補助金を諦める必要はありません。順番の問題です

ここまで融資を先にとお伝えしてきましたが、補助金を使うなという話ではありません。順番を分けて考えれば、両方を活かせます

  • 今の資金繰りの穴:融資で埋める。まずは事業を続けられる状態を確保します。
  • これから行う前向きな投資:補助金を検討する。設備投資や販路開拓など、投資の中身に合う制度があるかを探します。

資金繰りが安定してから補助金に取り組めば、後払いの立替えにも耐えられますし、事業計画にも腰を据えて向き合えます。逆に、苦しいまま補助金の申請に時間を注ぎ込むと、採択されても支払いができず、結局使えないという結末になりかねません。

なお、補助金の制度名は申請先や事業内容によって異なります。自社の投資内容にどの制度が合うかは、対象経費や要件を個別に確認する必要があるため、投資の中身が固まった段階で調べるのが効率的です。

動き出す前に確認しておきたい3つのこと

  • いつ、いくら足りないのかを数字にする。「なんとなく苦しい」のままでは、いくら借りるべきかも決まりません。今後数か月の入金と支払いを書き出し、どの時点でいくら不足するのかを把握してください。金融機関に相談する際も、この数字が出発点になります。
  • 資金使途は「事業に必要な支出」であることが前提です。運転資金とは事業を回すために必要な資金のことで、人件費は事業活動に必要な経費として運転資金の対象になります。一方、経営者個人の生活費(家賃・食費など事業と直接関係のない支出)は運転資金の対象になりません。生活費を運転資金として申請することは避けましょう。
  • 自己資金は面談時点で確認できる形にしておく。制度上、自己資金の額や割合の要件が決まっているわけではありませんが、自己資金の額は審査の重要な判断材料になります。原則として面談時点で口座に確認できる形にしておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 赤字でも融資の相談はできますか?

相談自体は可能です。赤字であることだけをもって一律に判断されるわけではなく、赤字になった理由や今後の見通しをどう説明できるかが論点になります。ただし審査の結果は個別の状況によって決まるため、必ず借りられるとお約束できるものではありません。数字と改善の見通しを整理したうえで、早めに相談することをおすすめします。

Q. 一度審査に落ちると、次回の審査に影響しますか?

A. 公庫内には審査に落ちた記録が残ります。そのため次の審査では、落ちたことを考慮に入れた形になるため、慎重に扱われる可能性があります。

Q. 否決された直後にすぐ再申請してもよいですか?

原因を修正せずに再申請しても、結果は変わりません。自己資金不足、事業計画の説得力不足、業界未経験への対策不足など、否決の理由を具体的に特定し、そこを改善したうえで再申請することが必要です。

まとめ

資金繰りが悪化したときに先に動くべきなのは、融資です。補助金は原則後払いで、公募期間があり、採択されるとも限らないため、目の前の支払いを乗り切る手段にはなりません。融資であれば、書類提出後おおむね3週間〜1か月、準備を含めて2か月程度で手元に現金を入れられる見込みが立ちます。開業から税務申告を2期終えていない時期であれば、創業期の枠組みを使える可能性もあり、据置期間を活用して当面の返済負担を抑える組み立ても考えられます。

そして補助金は、資金繰りが落ち着いてから、前向きな投資の場面で検討すれば十分に活かせます。大切なのは順番です。まずは「いつ、いくら足りないのか」を数字にすること。そのうえで、融資と補助金の両方を見渡せる専門家に早めに相談すると、限られた時間を有効に使えます。動けるうちに動くことが、選択肢を残すいちばんの近道です。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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