
資金繰りが苦しいときに今すぐ動くべき順番|5つの対策と融資の使いどころ
「来月の支払いに間に合うか分からない」「売上はあるのに手元の現金が足りない」——開業してまだ日が浅い個人事業主の方から、こうした緊急のご相談を受けることが少なくありません。資金繰りが苦しいときにやってはいけないのは、焦って手当たり次第に動いてしまうことです。対策には「今日〜今週中にできること」と「外部からの資金調達が必要なこと」の2段階があり、順番を間違えると余計に苦しくなります。本記事では、資金繰りが苦しいときに今すぐ着手できる5つの対策を、動くべき優先順位とあわせて整理します。なお本記事は執筆時点(2026年7月)の情報にもとづきます。制度・金利は変わりやすいため、実際の利用時は必ず最新の公式情報をご確認ください。
結論:キャッシュアウトを止める→キャッシュインを早める→外部資金を確保する、の順で動く
資金繰り対策は、①支出を止める・遅らせる、②入金を早める、③それでも足りない分を外部資金で埋める、という順番で考えると迷いません。外部からの借入を先に考えてしまう方が多いのですが、借入は実行までに数週間かかることが多く、今日明日の資金ショートには間に合わないケースがあります。まずは自社の中でコントロールできる対策から着手しましょう。
対策1:資金繰り表を作り、いつ・いくら足りなくなるかを把握する
最初にやるべきは、向こう3〜6か月の入出金予定を一覧化することです。感覚だけで「苦しい」と捉えていると対策の優先順位を誤ります。月ごとの入金予定(売掛金の回収日)と出金予定(買掛金・家賃・人件費・返済など)を並べ、どの時点で資金がマイナスになりそうかを可視化します。不足が発生するタイミングが分かれば、そこから逆算していつまでに何をすべきかが見えてきます。
対策2:経費を削る(広告宣伝費・交際費・雑費から)
即効性が高いのは経費の見直しです。特に広告宣伝費・交際費・交通費・雑費などは事業の根幹に影響しにくく、削りやすい費目です。すべてを一律にカットするのではなく、「売上に直結していない支出」から優先的に見直すのがポイントです。数日〜数週間で効果が出やすく、追加の借入をせずに手元資金を増やせる対策のひとつです。
対策3:売掛金の回収を早め、買掛金の支払いを遅らせる交渉をする
入金(キャッシュイン)をできるだけ早く、支払い(キャッシュアウト)をできるだけ遅くするのが資金繰りの基本原則です。取引先に対して、売掛金の入金サイトを短縮できないか、買掛金の支払いを猶予してもらえないかを相談してみましょう。いきなり大幅な変更を求めるのではなく、まずは30日程度の調整から、相手にもメリットのある提案(発注量の維持など)を添えて交渉すると通りやすくなります。
対策4:使っていない資産を売却して現金化する
遊休不動産、使っていない設備・車両、在庫として滞留している商品などは、短期間で現金化できる対策です。特に開業時に見込みで購入した設備で稼働率が低いものがあれば、売却も選択肢になります。
対策5:それでも足りない分は融資で埋める(公的融資・制度融資の使い分け)
上記1〜4を行ってもなお資金が不足する場合は、外部からの資金調達を検討します。中小企業・個人事業主が使いやすい代表的な選択肢は次の2つです。
- 日本政策金融公庫の融資:政府系金融機関が直接貸し付ける制度。民間金融機関では対応が難しいケースにも積極的に取り組むのが特徴で、資金繰りが厳しい事業者向けの融資制度も用意されています。
- 制度融資(信用保証協会の保証付き融資):自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携する仕組みです。実際にお金を貸すのは民間金融機関で、信用保証協会は融資に保証を付ける役割を担い、自治体は利子補給や預託金の形で関与します。「信用保証協会が直接貸してくれる」わけではない点を押さえておきましょう。
いずれも申し込みから実行まで一定の審査期間が必要になるため、資金繰り表で「いつ資金が尽きるか」が見えた段階で、早めに相談を始めることが重要です。「今日中に現金が必要」という状況には制度融資は間に合わないことが多く、まずは対策1〜4で当面をしのぎながら並行して申し込みを進める、という組み立てが現実的です。
資金繰りが苦しいときにやってはいけないこと
- 複数の消費者向けカードローンやビジネスローンに同時に申し込む(信用情報に複数の申込記録が残り、その後の金融機関審査に影響することがあります)
- 資金使途を曖昧にしたまま、生活費と事業資金を区別せずに借り入れる
- 資金繰り表を作らないまま、場当たり的に借入先を増やす
よくある質問
Q. 資金繰りが苦しいことを金融機関に相談すると、今後の融資に不利になりますか
早期の相談自体が不利に働くわけではありません。むしろ資金がショートしてから相談するより、資金繰り表をもとに早めに状況を共有し、対策を一緒に検討してもらう方が、金融機関側も前向きな対応を取りやすくなります。ただし個別の審査結果は状況により異なるため、必ず改善するとは言い切れません。
Q. 赤字決算でも融資を受けられますか
赤字であることのみを理由に一律で融資を断られるわけではありません。赤字の原因(一時的な要因か構造的な要因か)や、今後の改善計画の説得力が審査で重視されます。詳細は個別の審査によります。
Q. 制度融資と日本政策金融公庫の融資はどちらを先に相談すべきですか
どちらが有利かは事業の状況(業歴・地域・業種・希望額)によって異なります。両方に相談して条件を比較検討することも可能です。急いでいる場合は、まず日頃取引のある金融機関や商工会議所・商工会に相談し、自社に合う制度を案内してもらうのが近道です。
まとめ
資金繰りが苦しいときは、①資金繰り表で不足のタイミングを把握する、②固定費を削る、③売掛金回収・買掛金交渉で入出金のタイミングを調整する、④遊休資産を現金化する、⑤それでも足りない分を融資で埋める、という順番で動くと対策の優先順位を見誤りません。融資は実行までに時間がかかるため、資金がショートする前の早い段階で相談を始めることが何より重要です。自社の状況でどの対策から着手すべきか判断に迷う場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























