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コラム

飲食店のデリバリー対応に使える補助金|受注・調理・配達の工程別に選ぶ制度と対象外になる経費

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デリバリーを始める飲食店が補助金でまかなえる費用・まかなえない費用

デリバリーや宅配に対応しようとすると、注文の受け方、容器や包装、そして配達手段まで、思っていた以上に費用がかさみます。「飲食店が使える補助金」を調べてみたものの、制度名がずらりと並ぶ一覧記事ばかりで、自分の店のどの費用がどの制度に当てはまるのか分からない、という方は少なくありません。

ここで先にお伝えしたいのは、デリバリー対応はひとつの補助金でまるごとまかなえる投資ではないということです。受注・調理/包装・配達という3つの工程は、補助金の制度設計上それぞれ別の目的として扱われるため、見るべき制度も変わります。この記事では、開業してまもない小規模な飲食店を想定し、工程ごとに検討できる制度と、逆に対象外になりやすい費用の線引きを整理します。なお本記事は2026年8月時点で公表されている公募要領等をもとにしており、制度内容は変更される場合があります。

デリバリー対応を3つの工程に分解して考えます

デリバリーの立ち上げ費用を補助金に当てはめるときは、まず投資を次の3つに仕分けしてみてください。ひとまとめに「デリバリー導入費用」と考えていると、どの制度にも当てはまらない書き方になってしまいます。

  • 受注:自社注文サイト、モバイルオーダー、POSレジや受注管理との連携
  • 調理・包装:デリバリー用のメニューを回すための厨房設備、包装資材や容器のデザイン・試作
  • 配達:配達用のバイク・軽自動車、配達代行サービスの利用料

この3つのうち、補助金と相性が良いのは前の2つです。最後の「配達」がもっとも通しにくい、という点が意外と知られていません。

受注まわりはデジタル化・AI導入補助金が軸になります

ネット注文の受付やモバイルオーダー、受注データとPOSレジの連携といったIT寄りの投資は、 デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が中心的な選択肢になります。補助上限は通常枠で450万円、インボイス枠で350万円、複数の事業者が連携して共通基盤を導入する枠では3,000万円が上限とされています。

この制度で注意したいのは、 事務局に登録されたITツールを、登録済みのIT導入支援事業者の支援を受けて導入することが前提になっている点です。「良さそうなサービスを自分で見つけて契約する」という進め方だと、そもそも申請の土俵に乗りません。デリバリー用のシステムを比較検討する段階で、そのベンダーが登録事業者かどうかを確認しておくと手戻りが減ります。

また、対象はソフトウェアやクラウド利用料が中心で、タブレットなどのハード単体の購入は対象になりません。類型によっては対象ソフトとセットでレジ・券売機等が対象になる場合がありますが、ハードだけを買い替えたいという動機で申請する制度ではない、と理解しておくのが安全です。

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調理・包装まわりは「何のための投資か」で制度が変わります

デリバリー用の容器や包装のデザイン・試作、宅配向けの販促は、小規模事業者持続化補助金の守備範囲に入りやすい領域です。補助率は3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3)で、補助上限は基本50万円。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円がそれぞれ上乗せされ、両方の要件を満たす場合は最大250万円までとされています。新商品開発費という区分があり、包装パッケージの試作に伴う原材料費・設計費・デザイン費が例示されています。

一方、人手をかけずに注文をさばく仕組みそのものに投資したい場合は、中小企業省力化投資補助金(一般型)も選択肢になります。こちらは補助上限1億円と規模が大きく、既存業務の省力化・自動化が主軸の制度です。あわせて中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)という、あらかじめ登録された製品から選ぶ類型もありますが、補助上限は事業者の規模や制度改定によって変わりますので、申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。

配達用のバイク・軽自動車は原則として対象外です

ここが多くの方の想定と食い違うところです。小規模事業者持続化補助金では、自動車・フォークリフト・キッチンカー等の車両は原則として補助対象外として扱われています。「デリバリーを始めるのだから配達用のバイクが一番の出費なのに」と感じられるかもしれませんが、車両は事業以外にも使える汎用性の高い資産とみなされやすく、補助金全般で通りにくい費目です。

そのため、配達手段については補助金をあてにせず、自己資金や融資、あるいは配達代行サービスの活用で組み立てておくほうが計画は安定します。補助金は「受注の仕組み」と「商品を作って売る力」の部分に充てる、と割り切って設計する考え方が現実的です。

「デリバリーは新事業だから新事業進出枠」は通りにくい理由

投資額が大きくなりそうな場合に、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠を検討される方がいます。ただ、デリバリー対応をこの枠で通すのは、想像以上にハードルが高いと考えておいたほうがよいでしょう。理由は3つあります。

ひとつめは要件です。公募要領では、既存事業と同一の市場、既存製品の増産、単なる製法変更、単なるメニュー追加、単に商圏が違うだけといったものは「新事業進出」に該当せず対象外と整理されています。既存店のメニューをそのまま宅配に乗せる形は、この「単なるメニュー追加」に近い読み方をされる可能性があります。

ふたつめは金額です。この枠には補助下限750万円が設定されています。補助率は中小企業者で2分の1(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は3分の2)ですので、下限に届くには相応の事業規模が必要になります。小規模なデリバリー立ち上げの投資額とは、そもそも桁が合わないケースが大半です。

みっつめは事業者要件で、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外とされ、最低1期分の決算書が必要になります。加えて、付加価値額の年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金を毎年地域別最低賃金プラス30円以上とする、といった基本要件もあり、未達の場合は返還が生じます。開業まもない店舗が最初に狙う制度としては、負担が重いと言わざるを得ません。

申請前につまずきやすい3つのポイント

1つめは、発注のタイミングです。多くの補助金で、交付決定日より前に行った発注・契約・支払は対象外とされています。採択通知が届いただけでは事業を始められない制度もありますので、「先にデリバリーを始めてから、後で使える補助金を探す」という順番では間に合いません。

2つめは、経費区分ごとの上限です。小規模事業者持続化補助金の第20回公募では、ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限が30万円(税込)と定められ、ウェブサイト関連費のみの申請は不可とされています。広報費についても同じく30万円(税込)が上限で、単独申請はできません。「デリバリー用の自社注文サイトを作りたい」という動機だけで持続化補助金に申し込もうとすると、申請そのものが成立しないことになります。

3つめは、スケジュールの逆算です。小規模事業者持続化補助金の第20回公募は、申請受付が2026年11月5日から12月15日17時まで、採択発表は2027年3月頃が予定されています。さらにこの制度は商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要で、その発行受付締切は2026年12月4日とされています。窓口の混雑を考えると、開店準備と並行して逆算で動き始める必要があります。

よくある質問

Q. デリバリー代行サービスの手数料は補助対象になりますか。
継続的に発生する運営費・手数料は、多くの制度で補助対象外として扱われる傾向があります。対象になりやすいのは初期の導入・構築にあたる費用ですので、月々の手数料は自店の損益計画側で見ておくのが安全です。

Q. 複数の補助金を同時に使えますか。
同一の経費に対して国の複数制度から重ねて受け取ることはできません。ただし、受注システムはデジタル化・AI導入補助金、包装の試作は小規模事業者持続化補助金、というように経費を明確に分けられる場合は、それぞれの制度で検討する余地があります。線引きの説明ができる形で計画を組み立ててください。

Q. 小規模事業者持続化補助金の「小規模事業者」に自分の店は入りますか。
飲食店は商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)に区分され、常時使用する従業員が5人以下であることが目安とされています。役員・個人事業主本人・同居の親族従業員などは人数に含まれません。判断に迷う場合は商工会・商工会議所の窓口で確認するのが確実です。

まとめ

デリバリー対応で補助金を活かす鍵は、投資を受注・調理/包装・配達の3工程に分けて、それぞれに合う制度を当てはめることです。受注まわりはデジタル化・AI導入補助金、包装や販促は小規模事業者持続化補助金が軸になり、配達用の車両は原則として補助対象外と考えておくと計画が崩れません。

また、新事業進出枠のような大型の制度は、要件・下限額・事業者要件のいずれの面からも小規模なデリバリー立ち上げとは噛み合いにくい制度です。無理に大きな枠を狙うより、確実に通る経費を積み上げるほうが結果的に早く投資を回収できます。制度の要件や金額は改定されますので、申請を検討される際は必ず最新の公募要領をご確認のうえ、判断に迷う点は専門家にご相談ください。

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弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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