借用証書で資金トラブルを防ぐ！起業前に知っておくべきお金の約束

こんにちは！起業コンサルタント（R）・税理士・行政書士・FPの中野裕哲です。今回も実務に即した大事なお話をお届けします。

さて、起業準備で避けて通れないのが「お金の問題」。特に、家族や友人からお金を借りるケース、ありますよね。そこで、今回はその借入の場面で絶対に知っておきたい【借用証書】について、わかりやすくご説明します。

ズバリ言います。借用証書を「書くか、書かないか」で、将来の安心度が大きく変わります。

1. 借用証書ってそもそも何？

借用証書とは、お金を借りた人（借主）が、誰から、いくら借りたか、いつまでにどう返すかを明記した“お金の約束に関する証文”です。

これは民法上の「金銭消費貸借契約（きんせんしょうひたいしゃくけいやく）」と呼ばれる契約で、口頭でも成立しますが、万一のトラブルを防ぐためにも、文書にしておくのが鉄則です。

2. 借用証書が必要なシーン

起業前後には、こんな場面で借用証書の出番があります：

• 家族や友人からの借入
• 知り合いからの出資ではなく一時的な借入による資金援助
• 銀行融資までの“つなぎ資金”としての兄弟からの借入

とくに、親や兄弟からの借入でも「ちゃんと書類にしておこう」とする姿勢が大切。信頼関係があるからこそ、あえて文書化することで、後々の誤解や揉め事を避けられるのです。

3. 借用証書の基本的な書き方

押さえるべき６つのポイント：

1. 借主・貸主の氏名と住所
2. 借入金額とその受領方法（現金／振込など）
3. 借入日と返済期日
4. 利息がある場合はその利率
5. 分割返済なら返済スケジュール
6. 万一返済できない場合の措置（遅延損害金など）

さらに、署名と実印、印紙（※書面の場合）を貼付しておくと、より確実です。

4. 借用証書にまつわるよくある誤解

誤解1：「親しい間柄だから口約束でOK」

→いえいえ、それがトラブルの元！むしろ親しい関係こそ、文書で明確にしておきましょう。

誤解2：「契約書を作ると相手を疑っているみたいで気まずい」

→「お互いの安心のため」と伝えれば問題ありません。文書化は誠実さの証です。

5. 借用証書と贈与税の関係

ここ、意外と見落としがちですが重要なポイントです。

たとえば、親からまとまったお金をもらって、それを借入とせずに「贈与」とみなされた場合、年間110万円を超えると贈与税の課税対象になります。

つまり、きちんと借用証書を交わしておけば、「これは借金ですよ」と説明ができる。税務署対策としても大きな意味があります。

6. 借用証書の実例テンプレート（簡易版）

借用証書

私は、下記の通り金銭を借用いたしました。

借入金額：金○○○○円也（￥○○○,○○○）
借入日：令和○年○月○日
返済期日：令和○年○月○日
返済方法：○○○銀行口座へ一括振込
利息：年利○％（利息なしの場合は「なし」と記載）
遅延損害金：年○％

上記の通り相違ありません。

令和○年○月○日

借主住所：
借主氏名：（実印押印）
貸主住所：
貸主氏名：（実印押印）

収入印紙貼付

※正式な契約内容は個別の状況に応じて専門家に相談を！

よくある質問（FAQ）

Q1：借用証書って手書きじゃないとダメ？ →パソコン作成でも問題ありません。ただし、署名は手書きが基本です。

Q2：収入印紙って絶対に必要？ →借用証書の金額によって印紙税が発生します。借入額が1万円超なら、200円の印紙が原則です。

Q3：返済が遅れたらどうなる？ →借用証書に遅延損害金の記載があれば、それに従って対応が求められます。

Q4：口約束でも法的効力はあるの？ →ありますが、証拠が残らないため、文書化しないと裁判では非常に不利です。

まとめ：起業家にとっての「お金の約束」は信頼の証

起業という人生の大きな挑戦において、資金調達は避けて通れない道。そして、誰かからお金を借りるなら、借用証書を作ることは“信頼”と“誠意”のあらわれです。

文書化しておけば、トラブルも未然に防げるし、万が一のときにも冷静に対応できます。

さあ、今日からは「ちゃんと書く」習慣を身につけましょう。あなたの起業が安心してスタートできますように！全力で応援しています。

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