
【保存版】起業1年前の会社員が今すぐ始めるべき「公庫向け事業計画書」作成術
こんにちは、起業コンサルタント(R)、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、CFP®の中野裕哲です。
今回は「公庫向け事業計画書」をテーマに、これから起業を目指すあなたのために、丁寧に、そしてズバリとポイントをお伝えしたいと思います。
起業準備で「最も差がつく書類」とは?
起業を考えたとき、多くの方が気にするのが「資金」の問題。
中でも、日本政策金融公庫(通称「公庫」)の創業融資は、自己資金の少ない起業家にとって、大きな味方となる制度です。
ただし、この融資を通すには、“キモ”となる書類があります。
そう、それが「事業計画書(創業計画書)」です。
「1枚の紙に、夢と覚悟と数字を詰め込む。」
そんな表現がピッタリくる、まさに勝負の書類なのです。
なぜ、事業計画書が重要なのか?
ズバリ言います。審査担当者は、あなたの“人柄”と“数字”を見ています。
もっと言うと、「あなたがちゃんと返済できるか」
「夢だけで突っ走っていないか」
「冷静な準備と現実的な計画を持っているか」
――それを、たった1枚の書類で判断するのです。
だから、事業計画書は、ただの“申請書”ではなく、あなた自身のプレゼンテーションツールなのです。
公庫指定の「創業計画書」はこの1枚!
公庫が用意しているフォーマットは、A3サイズの「創業計画書」。
記入欄は多くありませんが、要点をまとめるには相応のスキルと戦略が必要です。
主な記入項目は以下の通り:
-
創業の動機
-
経営者の略歴(経験)
-
商品・サービスの内容
-
取引先と取引条件(見込み含む)
-
必要資金と調達方法
-
売上・利益の見通し
-
従業員の人数
この7項目を通して、「なぜ」「どうやって」「どこまで」やるのかを伝えます。
書き方のポイント:あなたの“信頼残高”を高めよう
審査担当者は、まず「信頼できるか」を見ます。
その信頼は、以下の3つから成り立ちます。
①経験と実績
過去にその業界でどれだけ実績があるか?
どのポジションで、何を担当して、何を改善してきたのか?
ポイントは「業務の中身と成果を定量化する」こと。
例)
×:10年間飲食業界に勤務
○:10年間飲食業界で勤務し、直近3年間は店長として売上前年比120%を3年連続達成
②数字の説得力
「どんな商品を、誰に、いくらで、月に何件売るのか」
→このロジックが組めない人は、融資が難航します。
特に、固定費と損益分岐点の計算は重要。
③自己資金の有無
起業には「自己責任」が伴います。
だからこそ、公庫は「自己資金を貯めた努力」も評価します。
目安は、借入額の1/3以上の自己資金。これが信頼の裏付けになるのです。
補足資料で、他と差をつけろ!
実は、創業計画書1枚では足りないことが多いです。
私がオススメしているのは、以下の3点を「補足資料」として添付することです。
-
詳細な事業計画書(WordまたはPowerPoint)
ビジネスモデルや市場調査、競合分析、販売戦略などを図解付きで説明 -
損益計算書(Excel形式)
月別の売上・原価・販管費などを記載。最低でも1年分 -
商品・店舗写真、HPのスクリーンショットなど
「イメージが湧く」ことは、審査で非常に大事です
この3つを添えるだけで、説得力と信用度がグンと上がります。
事業計画書で“落ちる”人の共通点
残念ながら、融資に落ちてしまう方には、ある共通点があります。
-
市場調査が不十分(ターゲットが不明確)
-
売上予測が感覚値(根拠がない)
-
原価や経費の見積もりが甘い
-
自己資金が極端に少ない
-
質問に答えられない(準備不足)
つまり、「計画が雑」だと判断されてしまうのです。
面談では何を聞かれるの?
事業計画書が通ると、次は面談です。
主に聞かれるのは次のようなこと:
-
なぜ起業するのか?(動機)
-
売上の根拠は?(客数×単価×頻度)
-
なぜこの場所を選んだのか?
-
仕入れ先・外注先はあるか?
-
競合との差別化は?
-
数ヶ月売上がゼロでも耐えられるか?
ここで一貫して大切なのは、事業計画書と口頭説明の整合性です。
書面と発言に矛盾があると、「信用を失う」ことになります。
事前にできる準備は?起業1年前から始める3ステップ
あなたがまだ会社員で、1年後の起業を考えているとしたら、次の3つの準備をオススメします。
ステップ①:自己資金を貯める
→最低でも100万円、できれば200万円以上が目標
→副業で稼ぐのもOK!預金通帳に「努力の証跡」を残す
ステップ②:数値感覚を磨く
→Excelで「月次損益表」を作ってみる
→1か月の売上、経費、利益を何パターンかで想定する
ステップ③:信用情報を整える
→CIC・JICCで個人信用情報をチェック
→スマホの割賦、カードの延滞などがあれば今すぐ解消!
まとめ:事業計画書は「信頼を築く第一歩」
最後に、私が何百人という起業家の事業計画書を添削・サポートしてきた中で感じたことをお伝えします。
「事業計画書を書くことで、自分自身がもっとも“覚悟”を持てるようになる」
起業は、誰にでもできる時代です。
でも、成功するには「計画」と「実行」、そして「信用」が不可欠。
だからこそ、今から「書く」ことで、1年後のあなたは、もっと強くなっているはずです。
さあ、一緒に一歩ずつ進んでいきましょう!
わからないことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























