
はじめに:会社員から起業家へ──融資を獲る鍵は“事業計画書”
起業を成功させる上で、融資を受けるかどうかはとても大きな分かれ道です。
そしてその扉を開くのが、事業計画書。具体的に言うと、「数字・根拠が備わっていて審査担当者に納得感を与える文書」がカギになります。
この記事では、起業1年前の会社員の方に向けて、融資に強い事業計画書の書き方やポイント、よくある質問まで、全体像を丁寧にお伝えします。難しく見えるかもしれませんが、構造に沿ってコツコツ準備すれば、決して難題ではありません。安心してくださいね!
目次
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事業計画書って何?役割と全体像
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融資審査で見られる計画書のポイント
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構成パターン:融資向け事業計画書の基本フォーマット
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数字と根拠を書き込む5つのコツ
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売上・利益・資金繰りモデルをどう作るか
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記載時のよくあるミスとその防止策
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融資審査で伝える「人となり」の書き方
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金融機関別のチェックポイント比較
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FAQ:よくある疑問にズバリ回答
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まとめ:事業計画書は「対話」の入口
1. 事業計画書って何?役割と全体像
事業計画書は、「この計画は現実的で、返済もできそうだ」と審査担当者に納得してもらうツールです。
単なる企画書ではなく、資金調達のための戦闘指令書と考えてください。
主な役割は:
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「理念→市場→収益モデル」の流れを明確に伝える
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売上・費用・利益の予測を根拠付きで示す
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審査担当者と信頼関係を築く材料になる
2. 融資審査で見られる計画書のポイント
金融機関は主に以下の3点を評価します:
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収益性:ちゃんと利益が出るのか
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返済力:利益+自己資金で借りたお金を返せるか
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実現性:その市場や体制で本当に出来るのか
これらを文章・図表・数字で説得することが大切です。
3. 構成パターン:融資向け事業計画書の基本フォーマット
以下がよく使われる構成です。会社員からの起業で融資を狙うなら、まずはこの流れを押さえましょう。
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タイトル&概要
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代表プロフィール(自分の強み・経験)
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市場分析(ターゲット・競合・市場規模)
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商品・サービス内容
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集客・販売戦略
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収支計画(売上・費用・利益)
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資金調達と使途
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融資申込額と返済スケジュール
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リスクと対策
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成長戦略・将来展望
4. 数字と根拠を書き込む5つのコツ
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市場規模:公的データやリサーチ企業の調査を使う
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顧客単価と購入頻度:実例やアンケートを引用
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集客コスト:広告単価相場やSNS予算を具体的に
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費用は見積り根拠付きに:家賃・社員人件費・外注費など必ず明記
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利益とその使い道:経費・税金・返済後の余剰資金まで落とし込む
5. 売上・利益・資金繰りモデルをどう作るか
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売上=客数 × 客単価 × 利用頻度の式で構成する
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月次・年次シミュレーションでキャッシュフローを見える化
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最悪シナリオも検討して返済不能時の手当てを書いておく
こうした数値モデルをエクセルなどでグラフ化すると説得力が増します。
6. 記載時のよくあるミスとその防止策
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数字が丸めすぎ(例:一年後の売上1,000万円→“約1,000万円”では不安に映る)
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専門用語多用で読みにくくなる
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改ページが見づらいレイアウトになっている
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誤字脱字・表記ゆれ(「万円」と「万」などに注意)
防止策は「第三者チェック」と「見本フォーマット」をうまく使うことです。
7. 融資審査で伝える「人となり」の書き方
審査担当は、あなたの事業に対する覚悟や姿勢も見ています。
人となりが伝わる記述が効果的です。
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過去の苦労や工夫のエピソード
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なぜその業種を選んだのか
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顧客を大切にする姿勢の具体例
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事業を通じて社会にどう貢献するか
こうしたストーリーを書き添えることで、事業計画書は単なる数字資料ではなく、“人としての熱さ”が感じられる資料になります。
8. 金融機関別のチェックポイント比較
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公的融資(公庫・地方自治体):社会性・創業意欲・実現性重視。書式有
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地方銀行:担保・保証・自己資金の比率重視
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信用金庫:地元コミュニティとの関係と人間的信頼がキモ
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消費者金融系ビジネスローン:スピード重視。数字より手続き重視
それぞれの特徴を踏まえ、目的に応じて使い分けましょう。
9. FAQ:よくあるご質問にズバリ回答
Q1. 「事業計画書に何枚まで」というルールありますか?
A. 目安はA4で10~15ページ程度。量よりも中身の濃さと読みやすさが大切です。
Q2. プロが作ったテンプレートを使っても大丈夫ですか?
A. はい。ただし、「中身の中身」を自分の言葉と根拠で埋めることが大前提です。
Q3. 自己資金が少ない場合、書き方にコツはありますか?
A. 資金使途を明確にし、創業後の黒字化計画をリアルに書くことで「返済に支障がない」筋道を示しましょう。
Q4. 副業からスタート予定ですが、その収入も含めた方がいい?
A. はい。安定的な収益源になるなら、「土台の証拠」として事業計画書に明記しましょう。
Q5. 経験が浅い業界でも書けますか?
A. はい。ただし、業界の勉強やネットワークづくりをしていることを示すことで、実現性に説得力が出ます。
10. まとめ:事業計画書は“融資の対話”への入口
事業計画書は、「金融機関の担当者との対話」を始めるきっかけです。
数字と根拠がきちんと整理され、あなたの熱意と実現性が伝わる構成になっていれば、融資の扉は十分に開くことができます。
今から始める準備が、1年後の安心と自信につながります。
「どう書けばいいか迷った」「第三者にチェックしてほしい」などありましたら、いつでもご相談ください。一緒に歩んでいきましょう。
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無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























