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コラム

制度融資 デメリット|メリット・デメリットと賢い使い方

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制度融資とは何か(おさらい)

制度融資とは、地方自治体・信用保証協会・民間金融機関の三者が連携して中小企業・個人事業主に提供する融資制度です。自治体が制度を設計し、信用保証協会が保証し、民間金融機関が実際に融資を実行します。

自治体が利子補給や保証料補助を用意していることが多く、創業期や信用力の乏しい事業者でも比較的利用しやすい設計になっています。日本政策金融公庫の融資とは別の枠組みで、両者の併用も可能です。

制度融資の主なメリット

デメリットを正しく理解するためには、まず制度融資のメリットを押さえておくことが大切です。

創業期でも融資を受けやすい

信用保証協会の保証付きで、業歴や担保が乏しい事業者でも審査通過の余地が広がります。多くの自治体に創業者向け特別枠が用意されています。

自治体の支援で実質負担を抑えられる

信用保証料の一部または全額補助、利子補給による金利負担軽減など、自治体の支援策によって実質負担を抑えられます。地域により公庫融資より低コストで借りられるケースもあります。

返済期間が長く設計しやすい

運転資金で5〜7年、設備資金で7〜10年の返済期間が一般的で、月々の返済負担を抑えやすい設計が可能です。

地域金融機関との取引実績を作れる

制度融資をきっかけに地域の銀行・信用金庫・信用組合との関係が始まり、その後の追加融資や経営相談につながりやすくなります。

制度融資の主なデメリット

ここからが本題です。制度融資の利用前に必ず知っておきたいデメリットを7点に整理します。

デメリット1:融資実行までに時間がかかる

制度融資は自治体・信用保証協会・金融機関の三者を経由するため、申込から融資実行までの期間は1〜2か月が一般的です。書類の不備や混雑期にあたるとさらに長引くこともあります。

急ぎの資金需要がある場合、制度融資だけを当てにする計画は危険です。資金が必要なタイミングから逆算して、少なくとも2〜3か月前には動き出すことをおすすめします。

デメリット2:信用保証料の負担がある

信用保証協会の保証を利用するため、信用保証料の負担が発生します。保証料率は事業者の信用力に応じて9段階に分かれ、おおむね年0.45〜2.20%の範囲で設定されます。

創業直後で財務情報の乏しい事業者は、保証料率が高めに設定される傾向があります。自治体の保証料補助で軽減できる場合もありますが、ゼロにならないケースも多いです。

デメリット3:信用保証協会の保証枠を消費する

信用保証協会の保証には事業者ごとの上限枠(普通保険で2億円、無担保保険で8,000万円)があります。創業期に制度融資で枠を使い切ると、その後の追加融資で保証枠が逼迫し、選択肢が狭まる可能性があります。

デメリット4:申請書類が多く準備に時間がかかる

自治体・金融機関・信用保証協会のそれぞれが要求する書類を揃える必要があります。創業計画書・資金計画書・本人確認書類・許認可証など、漏れなく準備するには相応の時間と労力がかかります。

デメリット5:審査が二段階で行われる

制度融資では、金融機関の融資審査と信用保証協会の保証審査の両方を通過する必要があります。どちらか一方で落ちると融資は実行されません。両者が見るポイントは似ていますが、視点が異なるため、両方の納得を得られる事業計画書の作り込みが求められます。

デメリット6:代位弁済が発生すると信用情報に長期的な悪影響

万一返済不能となり、信用保証協会が金融機関に代位弁済した場合、その情報は信用情報機関に登録され、長期間(おおむね5〜10年)にわたって新規借入が困難になります。事業の継続だけでなく、個人としての住宅ローン・自動車ローンの取得にも影響します。

デメリット7:自治体ごとに制度内容が異なる

制度融資の対象要件・融資限度額・金利・保証料補助の内容は自治体により大きく異なります。同じ「制度融資」という名称でも、隣接自治体で条件が大きく違うことも珍しくなく、情報収集の手間がかかります。

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公庫融資との比較で見る制度融資の位置づけ

制度融資のデメリットを評価するには、もう一つの主要選択肢である日本政策金融公庫の融資との比較が有効です。

融資実行までのスピード

公庫融資は3〜4週間、制度融資は1〜2か月が目安です。急ぎなら公庫融資が有利です。

コスト

公庫融資は信用保証料が不要、制度融資は信用保証料が必要です。ただし自治体の利子補給・保証料補助で実質コストが公庫融資を下回るケースもあります。

融資限度額

公庫融資(新規開業資金)の限度額は7,200万円が目安、制度融資は自治体により異なります(東京都の創業融資制度では最大3,500万円が目安)。

無担保・無保証人

公庫融資は無担保・無保証人で利用できる枠があります。制度融資は信用保証協会の保証付きが前提で、原則経営者保証がつきます。

追加融資のしやすさ

公庫融資は公庫が独自に枠を持っているため、制度融資の保証枠を温存できます。両制度を組み合わせて利用するのが現実的です。

制度融資のデメリットを軽減する5つの工夫

1. 公庫融資と併用して保証枠を温存する

創業期に必要資金を全額制度融資でまかなうのではなく、公庫融資と組み合わせて借入分散すれば、信用保証協会の保証枠を温存できます。

2. 自治体の保証料補助・利子補給を最大限活用する

事業所所在地の自治体が提供する補助制度を必ず確認し、活用できる支援は漏らさず申請しましょう。窓口担当者に「使える補助制度はすべて教えてほしい」と明確に伝えることが大切です。

3. 早めに動き出す

融資実行まで1〜2か月かかることを前提に、資金が必要なタイミングから逆算して2〜3か月前には準備を始めます。資金ショート寸前で動き出すと選択肢が一気に狭まります。

4. 創業計画書を金融機関・保証協会の両方を意識して作る

金融機関は返済能力、信用保証協会は事業の実在性・継続性を重視します。両者の視点を踏まえ、売上根拠・利益計画・自己資金の準備状況を具体的に示しましょう。

5. 信用情報を事前に確認する

クレジットカードや住宅ローンの延滞は、信用保証協会の審査で大きなマイナス要因になります。CIC・JICCで自分の信用情報を事前に取り寄せ、問題があれば対策を講じてから申し込みましょう。

制度融資が向いている事業者・向いていない事業者

向いている事業者

  • 創業期で、長期返済の融資を低コストで受けたい事業者
  • 地域金融機関とのリレーションを作りたい事業者
  • 自治体の利子補給・保証料補助を活用したい事業者
  • 融資実行までの期間に余裕がある事業者

向いていない事業者

  • 1か月以内に資金が必要な事業者
  • 信用情報に重大な事故情報がある事業者
  • 追加融資の余地を残しておきたい事業者で、保証枠を慎重に使いたい場合
  • 事業所所在地の自治体に手厚い制度がない事業者

よくある質問

Q. 制度融資と公庫融資、両方申し込んでもバレませんか?

「バレるか」という発想ではなく、両方申し込むことは正当な選択肢の一つです。同時申込や時期をずらしての併用は問題ありません。ただし両方で同じ資金使途を申請すると重複扱いになるため、それぞれの資金使途を明確に分けることが大切です。

Q. 信用保証料は返ってきますか?

繰上返済をした場合、未経過期間に対応する保証料の一部が戻る制度があります。ただし全額ではなく、保証協会の規定に基づく計算となります。詳しくは保証協会へ確認してください。

Q. 経営者保証は必ず必要ですか?

原則として経営者保証付きで提供されますが、2024年以降「経営者保証改革プログラム」により、一定要件を満たす場合に経営者保証を外せる選択肢が広がっています。最新の運用は信用保証協会・金融機関に確認してください。

まとめ

制度融資のデメリットは、融資実行までの期間、信用保証料の負担、保証枠の消費、書類準備の煩雑さなど、いずれも事前に把握していれば対策可能なものです。一方で創業期の事業者にとって、自治体の手厚い支援を受けながら長期で借りられるメリットは大きく、無視できる選択肢ではありません。

賢い使い方は、公庫融資と制度融資を併用し、それぞれの強みを活かすことです。早めに動き出し、自治体の支援策を最大限活用し、信用情報を整えたうえで申請することで、デメリットの多くは軽減できます。判断に迷う場合は、融資支援に詳しい専門家へ早めに相談しましょう。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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