
食品加工機械の導入に使える補助金とは|ものづくり・省力化補助金の選び方と申請の流れ
食品加工機械を新しく導入したいけれど、価格が高くて踏み切れない――そんな食品製造業・飲食店・小規模食品加工業の経営者の方は少なくありません。実は、食品加工機械の購入には国の補助金を活用できるケースがあります。なかでも代表的なのが「ものづくり補助金」と「中小企業省力化投資補助金」です。この記事では、起業直後の個人事業主や中小企業の方に向けて、食品加工機械に使える補助金の種類、選び方、対象経費、申請の流れ、採択のポイントまでをわかりやすく解説します。なお制度内容は変更されやすいため、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
食品加工機械の購入に補助金は使えるのか
結論から言えば、食品加工機械の購入には補助金を使える可能性が十分にあります。包装機・充填機・スライサー・真空包装機・食品加工ロボット・自動梱包装置など、生産性向上や省力化につながる設備は、国の補助金の対象になりやすい分野です。
ただし注意したいのは、「機械を買えば誰でももらえる」わけではないという点です。補助金は、設備投資によって生産性が上がる、人手不足が解消される、新しい商品・サービスが生まれる、といった事業計画とセットで評価されます。つまり「何のために、その機械を導入するのか」を計画書で示せることが前提になります。また、汎用的なパソコンや単なる買い替えだけでは対象になりにくい点も押さえておきましょう。
食品加工機械に使える主な補助金2つ
食品加工機械の導入で軸になる補助金は、大きく次の2つです。それぞれ目的が異なるため、自社の状況に合わせて選びます。
ものづくり補助金(2026年度から「新事業進出・ものづくり補助金」へ再編)
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者が革新的な新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する制度です。食品加工の現場では、新しい加工機械を導入して新商品を開発する、加工工程を高度化して品質を上げる、といった使い方が想定されます。
2026年度(令和7年度補正)からは、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」として再編される方向で調整が進んでいます。通常枠に加え、省力化(オーダーメイド)枠や新事業進出枠などに整理される見込みで、公募要領は2026年6月以降に順次公開される予定です。制度の過渡期にあたるため、申請を検討する際は統合後の最新の公募要領を確認することが欠かせません。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が、省力化につながる設備・システムを導入するための補助金です。食品加工の現場では、盛り付けや梱包、検品といった手作業を機械化・自動化したい場合に相性が良い制度です。
この補助金には、あらかじめ登録された製品から選ぶ「カタログ注文型」と、自社の工程に合わせて設備を組む「一般型(オーダーメイド)」があります。自動梱包装置や搬送ロボット、配膳・盛り付けの自動化設備など、現場の労働力不足を直接やわらげる投資に向いています。
ものづくり補助金と省力化補助金の選び方
2つの補助金は目的が違うため、「自社が何を実現したいか」で選ぶのが基本です。判断の目安を整理します。
- 新商品・新メニューの開発や、加工技術の高度化が目的 → ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり補助金)が向いています。革新性や付加価値の向上が評価されます。
- 人手が足りず、手作業を機械化・自動化したいのが目的 → 中小企業省力化投資補助金が向いています。省力化の効果(削減できる工数・人員)が評価の中心になります。
たとえば、新しい惣菜ラインを立ち上げて売上を伸ばしたいならものづくり補助金、既存の梱包・検品工程の人手を減らしたいなら省力化補助金、という整理になります。なお、同じ設備でも申請する補助金によって計画書で強調すべきポイントが変わるため、迷ったら早めに専門家へ相談すると遠回りを避けられます。
補助金の対象になる経費・ならない経費
ものづくり補助金の補助対象経費には、機械装置・システム構築費(必須)のほか、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費などが含まれます。食品加工機械そのものは「機械装置費」として中心的な対象になります。
一方で、次のようなものは対象になりにくい、または対象外となる点に注意が必要です。
- 汎用的なパソコン・タブレット・スマートフォンなどの汎用品
- 単なる老朽設備の同等品への買い替え(生産性向上の根拠が乏しいもの)
- 土地・建物の取得費、不動産にかかる費用
- 申請・交付決定の前に発注・契約してしまった設備(原則として交付決定後の発注が条件)
特に「交付決定の前に発注してはいけない」というルールは、知らずに先に機械を発注して対象外になってしまう失敗が多いポイントです。スケジュールには十分に注意しましょう。
申請から入金までの流れ
補助金は、申請してすぐにお金が振り込まれるわけではありません。一般的な流れは次のとおりです。
- 1. 公募要領の確認・事業計画書の作成:補助金の目的に沿って、導入する機械と期待できる効果を計画書にまとめます。
- 2. 電子申請(GビズIDが必要):多くの補助金はjGrants等の電子申請で受け付けられます。GビズIDプライムの取得には日数がかかるため早めに準備します。
- 3. 審査・採択発表:事業計画の内容が審査され、採択・不採択が決まります。
- 4. 交付決定 → 発注・導入:交付決定の通知を受けてから、機械を発注・購入します。
- 5. 実績報告 → 補助金の入金(精算払い):導入完了後に実績を報告し、確認を経て補助金が支払われます。
ポイントは、補助金が原則「後払い(精算払い)」であることです。機械の代金はいったん自社で立て替える必要があるため、その間の資金繰りも計画に入れておく必要があります。立て替え資金が不足しそうな場合は、つなぎの融資とあわせて検討すると安心です。
採択されやすくするためのポイント
同じ機械を導入するのでも、計画書の書き方次第で採択結果は変わります。食品加工機械の補助金で押さえたいポイントを挙げます。
- 導入の目的と効果を数字で示す:「生産量が何%増える」「作業時間が何時間減る」など、定量的に書くと説得力が増します。
- 人手不足・賃上げとの関連を示す:省力化補助金では、削減できる労働時間や、その分をどう付加価値や賃上げにつなげるかが評価されます。
- 食品衛生・品質面の向上にも触れる:食品加工では、衛生管理や品質安定も投資効果として説明できます。
- 賃上げ要件を確認する:補助金の多くは給与総額や最低賃金の引き上げを要件・加点としています。自社で対応できるか事前に確認します。
計画書は審査員に「この投資なら成果が出る」と納得してもらうための書類です。現場の課題と機械導入の効果を、具体的な言葉でつなげることが採択への近道になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 中古の食品加工機械でも補助金の対象になりますか?
A. 補助金によって取り扱いが異なります。中古設備を対象外とする制度や、複数見積もりなど条件を満たせば認める制度があります。公募要領で確認が必要です。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
A. 多くの補助金は、中小企業だけでなく個人事業主も対象に含まれます。ただし開業届の提出など事業実態が前提になります。
Q. 複数の補助金を同時に使えますか?
A. 同じ設備・同じ経費に対して複数の補助金を重複して受けることは原則できません。ただし、対象経費を分けるなど制度ごとに使い分けることは可能な場合があります。
Q. 申請すれば必ず採択されますか?
A. 補助金は審査がある制度のため、必ず採択されるとは限りません。事業計画の質が結果を大きく左右します。
まとめ
食品加工機械の導入には、「ものづくり補助金(2026年度から新事業進出・ものづくり補助金へ再編)」と「中小企業省力化投資補助金」を中心に、補助金を活用できる可能性があります。新商品開発や技術の高度化を狙うならものづくり補助金、人手不足の解消・省力化を狙うなら省力化補助金、という選び方が基本です。対象経費や交付決定前の発注禁止ルール、精算払いによる立て替え資金など、実務上の注意点を押さえたうえで、自社に合った制度を選びましょう。制度は変更が多いため、申請前には必ず最新の公募要領を確認し、判断に迷う場合は補助金に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























