
コンサルタントは担保なし・保証人なしで融資を受けられる?対象条件と金利の注意点
担保も保証人もないコンサルタントが創業融資を使うには|対象条件と見落としやすい注意点
コンサルタントとして独立を考えるとき、「自宅兼事務所でパソコン1台。担保に入れられる資産もないし、保証人も頼めない。そもそも融資は受けられるのだろうか」と不安になる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、日本政策金融公庫の創業融資では、原則として無担保・無保証人での借入が可能です。ただし「誰でもいつでも」ではなく、対象として案内されている条件があります。この記事では、独立を準備しているコンサルタントの方に向けて、無担保・無保証人で借りられる条件と、あまり語られていない金利面のトレードオフ、そしてコンサルタント特有の落とし穴を整理します。なお融資の制度・金利は変わりやすいため、本記事は執筆時点(2026年)の情報として、実際の申込み前には必ず最新の公式情報をご確認ください。
結論:創業期であれば原則として無担保・無保証人で利用できます
日本政策金融公庫(国民生活事業)では、創業期の方を対象に、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できる枠組みが用意されています。担保に入れる不動産がないことや、保証人を頼める人がいないことが、それだけで申込みの入口を閉ざすわけではありません。
コンサルタント業は設備投資が小さく、担保にできる資産をほとんど持たないまま創業するケースが一般的です。そうした業種でも創業融資が選択肢になるのは、この無担保・無保証人の枠組みがあるためです。
「無担保・無保証人」の対象は「創業期の方」と定義されています
ここで正確に押さえておきたいのが、無担保・無保証人の対象が「創業期の方」と定義されている点です。具体的には、次のいずれかに当てはまる方を指します。
- 新たに事業を始める方
- 事業開始後、税務申告を2期終えていない方
つまり、独立を準備している段階の方や、開業して間もない方が対象です。逆に言えば、開業から時間が経ち、税務申告を2期終えた後は、この創業期向けの枠組みからは外れていきます。「いずれ落ち着いたら融資を検討しよう」と考えていると、対象の期間を過ぎてしまうことがある、という点は意識しておきたいところです。
利率の引下げも「創業期の方」が対象です
創業期の方が利用する場合、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の利率引下げが案内されています。なお「雇用の拡大を図る場合」は対象者の区分ではなく、引下げ幅が大きくなる条件にあたります。これは案内文上の一般的な説明ですので、実際の適用可否は利用する制度・審査・条件により異なる可能性があります。必ず引下げが適用されるとは考えず、申請先で確認してください。
主力制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」です(古い情報に注意)
創業融資を調べていると「新創業融資制度」という名前を目にすることがありますが、この制度は2024年3月に廃止されています。現在は各融資制度に無担保・無保証人の枠組みが組み込まれる形になりました。
現在の主力制度は新規開業・スタートアップ支援資金です。2024年3月までの名称は「新規開業資金」で、2024年4月から現在の名称に改称・拡充されました。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、コンサルタントの独立規模であれば十分にカバーできる設計です。
この制度を利用する場合の返済期間は、運転資金が原則10年以内、設備資金が20年以内で、いずれも据置期間を5年以内で設定できます。据置期間中は利息のみの支払いになりますので、受注が安定するまでの資金繰りに余裕を持たせやすくなります。ネット上には廃止済みの制度名のまま解説している情報も残っていますので、制度名と年度は必ず確認してください。
見落としやすいトレードオフ:無担保のほうが金利は高めに設定されています
無担保・無保証人で借りられることは大きな安心材料ですが、その分だけ金利は高めに設定されています。この点に触れている記事は多くありません。2026年6月1日現在の基準利率は次のとおりです。
| 区分 | 基準利率(年率) |
|---|---|
| 無担保・税務申告2期未了(創業期など) | 3.45〜5.15% |
| 無担保・税務申告2期以上完了 | 3.50〜5.20% |
| 有担保 | 2.50〜4.80% |
有担保と比べると、無担保はおおむね1%前後高い水準です。金利の幅は返済期間や据置期間の有無、制度ごとの規定によって決まります。また、国の政策目標に合致する制度が適用される場合には、基準利率より低い特別利率が適用されることもあります。
コンサルタントの場合、そもそも担保に入れる資産がないことが多いため、実務上は無担保が前提になります。ただ「無担保だから金利は少し高い」という構造を理解しておくと、借入額を必要な範囲に絞る判断がしやすくなります。担保がないこと自体を悲観する必要はありませんが、金利差を織り込んだ返済計画を立てておくと安心です。
コンサルタント特有の落とし穴:フリーランスからの「法人成り」は創業融資の対象外です
ここはコンサルタントの方に特に確認していただきたい点です。すでにフリーランスのコンサルタントとして活動していて、その事業をそのまま法人化する「法人成り」の場合は、原則として創業融資の対象外になります。すでに事業実績があるとみなされ、通常の融資として扱われるためです。
担保・保証人がなくても、審査では何を見られるのか
担保も保証人もない分、審査では別の材料で判断されることになります。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。
自己資金に「○分の1必須」という決まりはありません
自己資金について、「融資希望額の10分の1が必須」といった説明を見かけることがありますが、現行制度では自己資金の額や割合の要件は決まっていません。かつての新創業融資制度にあった固定要件が、そのまま残っているかのように紹介されているケースです。
ただし、自己資金の額が審査の重要な判断材料であることに変わりはなく、多いほど有利になりやすいのが実情です。自己資金は面談時点で口座に確認できる形にしておきましょう。あわせて、創業前に自費で取得した資格や備品の購入、テストマーケティングの費用などは「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがありますので、領収書は必ず保管しておいてください。コンサルタントは開業前に資格取得や学習に費用をかけている方が多く、ここが効いてくる場面があります。
実績のなさは「体制」で補います
コンサルタント業は形のある商品がなく、売上の見通しを示しにくい業種です。未経験の分野で創業する場合は、事業計画書の中でどう経験不足を補うかが論点になります。「同業のメンターから定期的に助言を受けている」「経理や専門技術を業務委託でプロに任せている」といった対策は、経営そのものへの関与としては弱く、有効なカバー策とは言えません。事業経験者を役員として迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整えるほうが説得力が出ます。
なお、法人の場合、代表者への役員報酬は事業活動に必要な経費として運転資金の対象になります。資金使途はあくまで事業に必要な支出であることが前提ですので、個別の支出が資金使途として認められるか判断に迷う場合は、申請先や税理士等の専門家に確認しながら計画を整えてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 担保も保証人もなければ、審査で必ず不利になりますか?
創業期の方は原則として無担保・無保証人で利用できる枠組みが用意されていますので、担保や保証人がないこと自体が不利に働く前提ではありません。ただし、無担保の場合は有担保より金利が高めに設定されています。
Q. 一度審査に落ちると、次回の審査に影響しますか?
公庫内には審査に落ちた記録が残ります。そのため次の審査では、落ちたことを考虑に入れた形になるため、慎重に扱われる可能性があります。
Q. 否決された直後にすぐ再申請してもよいですか?
原因を潰さずに再申請しても、結果は変わりません。自己資金不足、事業計画の説得力不足、業界未経験への対策不足など、否決の理由を具体的に特定し、そこを改善したうえで再申請することが必要です。
Q. 申込みから融資実行までどのくらいかかりますか?
書類提出後おおむね3週間〜1か月程度が目安です。創業計画書や自己資金のエビデンスなどを整える時間を含めると、合計で2か月程度を見ておくと安全です。独立の時期から逆算して準備を始めてください。
まとめ
コンサルタントのように担保にできる資産を持たない業種でも、日本政策金融公庫の創業融資は原則として無担保・無保証人で利用できます。ただし対象は「新たに事業を始める方」「税務申告を2期終えていない方」といった創業期の方と定義されており、時期を逃すとこの枠組みからは外れていきます。無担保は有担保より金利が高めに設定されている点、そしてフリーランスからの法人成りは原則として創業融資の対象外になる点は、準備段階で必ず押さえておきたいポイントです。自己資金に割合の要件はありませんが審査の重要な判断材料になりますので、独立の時期から逆算して、計画と資金の両方を早めに整えていきましょう。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























