
リフォーム会社の設立・建設業許可・融資申請は、どの順番で進めると詰まらないのか
個人事業でリフォーム工事を数年続けてきた方が、元請けからの受注を増やすために法人を設立し、建設業許可も取ろうとする。このとき、会社設立・許可申請・融資申請の3つを同時に進めようとして、途中で順番の問題に気づくケースがあります。
この3つは、それぞれ別の役所・別の機関が判断するため、時間軸も判断基準もそろっていません。この記事では、順番を決めずに走り出したときに起きる3つのつまずきを整理し、最後に自分の順番を決めるための確認項目をまとめます。数字や制度は執筆時点(2026年8月)のもので、条件により結論が変わるため、実際の判断は申請先や専門家に確認してください。
前提:3つの手続きは同じ時間軸に乗っていない
会社設立、建設業許可、融資申請は、どれも「開業の準備」としてひとまとめに語られがちですが、実際には次のように性格が違います。
- 会社設立:法人という器を作る手続き。ここで決まる設立日が、後の税務申告の起算点になります
- 建設業許可:一定規模以上の工事を請け負うための許可。人の要件(経営業務の管理責任者・専任技術者)と、お金の要件(財産的基礎)の両方を満たす必要があります
- 融資申請:金融機関の審査。日本政策金融公庫の場合、書類提出後おおむね3週間から1か月で実行というのが目安で、書類の準備期間を含めると合計2か月程度を見ておく必要があります
この3つのうち、順番を最初に決めておかないと後戻りできないのが融資です。以下、実際に噛み合わなくなるパターンを見ていきます。
つまずき1:法人成りしてから「創業融資」を申し込む
もっとも見落とされやすいのがここです。個人事業でやってきたリフォーム工事を、そのまま法人にする「法人成り」の場合、原則として創業融資の対象外になります。すでに事業実績があるとみなされ、通常の融資として扱われるためです。
一方で、個人事業で営んでいる事業とは別の、新しい事業を行う法人を新たに設立する場合は、その新法人にとっては創業にあたるため、創業融資を使うことができます。「法人を作った=創業」ではなく、「その法人にとって新しい事業か」で分かれます。
もう一段前提があります。日本政策金融公庫が案内している「創業期の方」とは、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を指します。個人事業でリフォーム工事を数年続けてきた方は、この時点ですでに2期を終えていることが多く、法人成りかどうかにかかわらず創業期の枠から外れている可能性があります。
創業期の方が利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性がありますが、適用可否は利用する制度や審査・条件により異なるため、必ず下がると考えず申請先で確認してください。この引下げは担保の有無を問わず対象になります。自分が創業期に当たるかどうかで、想定できる条件が変わってきます。

💬 執筆者の小峰から一言
信用金庫で融資を出す側にいたころの感覚で補足すると、新しく作った会社だから見る資料が無い、ということにはなりません。設立した法人でも一期でも決算が締まっていればその決算書は確認されますし、代表の方が別に会社を経営していれば、そちらの決算書も確認の対象になります。法人を作る順番を考えるときは、決算がいつ締まるかも一緒に見ておくと話がずれません。
つまずき2:2つの「500万円」を同じものだと思っている
建設業まわりには500万円という数字が2か所に出てきます。この2つはまったく別物で、混同すると準備するものを間違えます。
1つ目:許可が必要かどうかを分ける500万円(請負金額)
建設業許可がなくても請け負える「軽微な建設工事」は、建築一式工事以外の工事では請負代金が500万円未満のものを指します。建築一式工事の場合は1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150平方メートル未満が基準です。
この金額は消費税込みで判定され、発注者が材料を提供する場合はその材料費も含めて計算します。税抜490万円の見積でも、消費税10%を加えると539万円となり、500万円以上のため許可が必要な工事にあたります。リフォームは単価がこのラインの前後に集まりやすいため、受注計画の段階で確認しておく必要があります。
2つ目:許可の要件としての500万円(財産的基礎)
もう一方は、許可を取るときに求められる財産的基礎です。一般建設業の許可では、自己資本が500万円以上あること、500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明等で示す)、直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があることのいずれかを満たす必要があります。
こちらは工事を請け負うために動かすお金ではなく、「工事の途中で行き詰まらない体力があること」を示すための金額です。請負金額の500万円とは判定するものが違います。
つまずき3:許可が下りてから資金の話を始める
「許可が取れてから金融機関に行こう」と考えると、着工に間に合わないことがあります。融資は書類提出後おおむね3週間から1か月、創業計画書や見積書などの準備を含めると合計2か月程度を見ておくのが目安です。許可申請にも各都道府県ごとの標準処理期間があり、これも同時に進みません。
資金の側には、時間を調整できる仕組みがあります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が原則10年以内で、いずれも据置期間を5年以内で設定できます。据置期間中は利息のみの支払いになるため、受注が安定するまでの期間を返済負担の軽い状態で通すことができます。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。
金利については、2026年6月1日現在の基準利率が、創業期(税務申告を2期終えていない時期)に無担保で利用する場合で年3.45〜5.15%です。一般的な紹介記事で見かける「固定金利で年2〜3%台」という表現は古い目安なので、条件と時点を確認したうえで試算してください。

💬 執筆者の小峰から一言
金融機関側から見ると、自己資金についてよく誤解が残っています。旧制度にあった10分の1という要件が今も生きていると思われがちですが、現行制度には自己資金の額や割合の要件そのものがありません。ただし判断材料としては見られる部分なので、要件として身構えるより、いくらをどう積んできたかを説明できる状態にしておくほうが、順番の設計としては効きます。
順番を決めるときに確認する4つのこと
1. 受けようとしている工事の請負金額(税込)はいくらか
500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)で回せる範囲なら、許可を取らずに事業を始めること自体は可能です。元請けが取引条件として許可を求めているのか、金額の面で必要なのかを分けて確認してください。
2. 法人化は「同じ事業の法人成り」か「別事業の新設」か
ここで創業融資が使えるかどうかが決まります。同じリフォーム事業をそのまま法人化するのか、これまでやっていない事業を新法人で始めるのかを、資金相談の最初に伝えると話が早く進みます。
3. 財産的基礎をどの方法で示すか
自己資本で示すのか、資金調達能力で示すのかによって、法人設立時の資本金の考え方や、金融機関とのやり取りの時期が変わります。許可要件の詳細な判断は行政書士等の専門家に確認してください。
4. 資金が必要になるのはいつか
材料の仕入れ、車両、外注費、人の採用。それぞれ必要になる時期が違うので、設備資金と運転資金に分けて、返済期間と据置期間の設計につなげます。手続きの完了日ではなく、支払いが発生する日から逆算するのが実務的です。
まとめ
リフォーム会社の設立・建設業許可・融資申請は、それぞれ判断する主体が違うため、同時に進めても勝手にはそろいません。順番を決めるうえで効くのは、法人化が法人成りなのか別事業の新設なのかという区別と、請負金額の500万円と財産的基礎の500万円という2つの数字の切り分けです。
この2点を先に確定させておくと、融資の相談も許可の準備も、やり直しなしで進められます。資金の側は据置期間や返済期間で時間を調整できる余地があるので、許可の完了を待ってから動くより、必要な支払いの時期から逆算して並行で組み立てるほうが現実的です。
なお、本記事の数字・要件は執筆時点(2026年8月)のものです。制度や利率は変わるため、実際の申請にあたっては日本政策金融公庫や許可行政庁の最新情報、および専門家の確認を前提にしてください。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























