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コラム

自己資金150万円で1000万円の創業融資は可能?バランスを解説

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自己資金150万円で1000万円は希望額としてどう見られるか

不動産会社で営業職として経験を積み、独立に向けて創業融資の準備を始めている方から、こんなご相談をよくいただきます。

「不動産会社で営業をして2年目になります。独立に向けて創業融資を考えていて、自己資金150万円で1000万円ほど借りたいのですが、可能でしょうか?」

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

日本政策金融公庫で支店長を務めていた経験から、このご相談にお答えします。

まず数字だけを見て不安になる必要はありません。自己資金150万円に対して1000万円を希望すること自体を理由に、機械的に否決されるという決まりはないからです。創業融資では、自己資金の額や割合について固定の要件は定められていません。自己資金が総額の何分の1以上必要、といった数字上の決まりがあるわけではないという点は、まず押さえておいてよいところです。

ただし、要件がないことと、審査で自己資金が軽く見られることとは別の話です。審査では、同じ業種での勤務経験、自己資金、事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報などを合わせて見ています。このうち「資金使途と調達額の整合」、つまり希望している金額が事業の実態に見合っているかどうかは、自己資金とのバランスを考えるうえでとても重要な軸になります。自己資金が多いほど、事業への本気度や準備の積み重ねとして有利に働きやすいのも事実です。希望額だけを単独で判断されるのではなく、自己資金・経験・計画の具体性と合わせて総合的に見られている、とイメージしていただくとよいと思います。

希望額が自己資金に対して大きく見えるときにまず私が確認するのは、「その1000万円は本当に必要な金額なのか」という点です。金額の大小そのものより、その金額がどこから出てきたのかという根拠のほうを重く見ています。不動産仲介業であれば、事務所を借りるのか、どの程度の広さ・設備にするのか、内装や什器にどこまでお金をかけるのか、広告費をいくら見込むのか、開業後の運転資金を何か月分確保するのかによって、必要な金額は大きく変わります。まずは「物件取得費」「内装・什器費」「広告費」「システム・備品費」「運転資金」といった項目ごとに、見積書や相場を根拠にして金額を一つずつ積み上げてみてください。どんぶり勘定で先に大きな金額を決めてしまうと、自己資金との差が実際より大きく見えてしまい、計画全体の説得力も下がります。

この棚卸しをすると、当初考えていた金額より必要資金が小さくなることも少なくありません。たとえば、開業当初は居抜きや小規模な事務所で始める、設備は中古や最低限のものにとどめる、人を雇うタイミングを後ろにずらす、といった見直しで、必要資金そのものが下がるケースがあります。逆に、見積もりを取ってみたら広告費や運転資金が想定より多くかかることが分かり、1000万円という希望額のほうが根拠として妥当だった、というケースもあります。どちらの結果になるにしても、感覚で決めた金額ではなく、項目ごとの根拠を示せる金額として組み立て直すことが大切です。見直した結果の金額が自己資金に対してなお大きい場合は、その分だけ計画の具体性(売上や原価の見積もり、返済の原資をどこから確保するか)で説明を厚くしていく、という考え方になります。

自己資金の側についても、見直せる部分があります。創業前に自費で取得した資格や、業務に使う設備・備品の購入、テストマーケティングにかけた費用などは、一定の範囲で自己資金として評価されることがあります。該当する支出があれば、領収書を保管しておき、自己資金としてきちんと説明できる形にしておくとよいでしょう。また、自己資金は面談時点で口座に確認できる状態にしておくことも、審査の材料として大切な準備のひとつです。

なお、融資限度額そのものは2026年9月1日時点で最大7200万円程度(制度による)となっており、1000万円という金額自体が枠を超えているわけではありません。問題になるのは枠の有無ではなく、自己資金とのバランス、そして金額の根拠がどこまで積み上げられているかです。

今回のご相談でいえば、不動産会社で2年ほど営業の経験を積んでいることは、審査で見られる「同じ業種での勤務経験」の面でプラスに働きやすい材料です。経験がある分、独立後にどのように仲介業務を進めていくのか、具体的なイメージを描きやすい立場にあるはずです。その経験を事業計画の中でどう活かすのかを、希望額の根拠とセットで説明できるようにしておくと、計画全体の説得力がさらに高まります。

必要資金の棚卸しや創業計画書の数字の整理は、慣れないうちは一人で抱え込むと時間がかかりますし、どこまで細かく積算すればよいのか判断に迷う部分も出てきます。そうしたときは、借入額の設計や融資準備を目的とした計画書作成の支援を受けながら、ご自身で項目ごとの根拠を整理していくと、精度を上げやすくなります。

自己資金と希望額の差に不安を感じたときほど、金額を大きく捉えすぎず、必要な支出を一つずつ積み上げて見直すことが近道になります。その積み上げの過程自体が、事業計画全体の説得力を高めることにもつながっていきます。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
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中野裕哲紹介画像


中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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