
ベンチャーデットと銀行融資、何が違う?向いている会社の特徴とは
シリーズBに向けた資金調達を検討していると、通常の銀行融資とは別に「ベンチャーデット」という言葉を見かけることがあります。実際にどのような仕組みで、銀行融資とはどこが違うのか、次のようなご質問をいただきました。
通常の銀行融資のほかに、「ベンチャーデット」という方法があると聞きました。銀行融資と何が違い、どんな会社に向いているのでしょうか?

回答者
三浦高
創業支援一筋で日本政策金融公庫について誰よりも詳しい中小企業診断士
ベンチャーデットとは、融資(デット)に新株予約権を組み合わせた資金調達の方法です。新株予約権とは、将来一定の条件のもとで株式を取得できる権利のことで、この権利を融資の条件の一部として組み込むことで、通常の銀行融資や出資とは異なる設計の資金調達が成り立っています。シリーズBのような成長期の資金調達では選択肢の一つとして名前が挙がることが増えてきましたが、まずは銀行融資・出資・ベンチャーデットという三つの選択肢それぞれの性質の違いを整理すると理解しやすいと思います。
通常の銀行融資は、返済能力そのものを重視し、担保や保証を軸に審査が行われる仕組みです。すでに安定した収益基盤や実績がある会社であれば受けやすい一方で、まだ大きな利益を出していない成長段階の会社にとっては、担保や保証の面でハードルが高くなりやすく、希望する金額を調達しきれないことも少なくありません。審査では直近の業績や事業計画の確実性が重視される傾向にあります。
一方の出資は、株式等を渡すことで資金を受け取る方法で、返済義務がないという大きな利点があります。ただし株式等を渡す以上、既存株主の持ち分が希薄する場合があり、資金調達を重ねるたびに創業者や経営陣の比率が下がっていくのが一般的です。その結果、経営の意思決定に関わる持ち分や将来の売却益にも影響が及ぶ可能性がある点は、あらかじめ意識しておく必要があります。
ベンチャーデットは、この二つの中間に位置する第三の選択肢と考えると分かりやすいです。基本的には融資であるため返済が前提になりますが、融資する側にとっては新株予約権という将来的なリターンの可能性があることから、まだ大きな利益を出していない成長中の会社であっても、通常の銀行融資よりは利用しやすい設計になっているケースがあります。出資のように多くの株式を手放すことなく資金を確保できる点が、銀行融資・出資のどちらとも異なる特徴だと私は考えています。資金の使い道としては、事業拡大のための投資や、次の資金調達までの運転資金の確保などに充てられることが多いようです。
向いているのは、すでに出資を受けて事業を伸ばしている一方でまだ大きな収益化には至っておらず、次の資金調達の実行までの期間を乗り切るつなぎ資金が必要な会社や、ここでさらに株式を手放す希薄化はできる限り抑えたいと考える会社だと感じます。反対に、安定した収益があり通常の銀行融資で必要な資金を十分に確保できる会社であれば、無理にベンチャーデットを選ぶ必要はないはずです。自社がどちらに近いのかを見極めることが、最初の判断材料になります。
なお、新株予約権が発生する条件や、返済スケジュールと紐づく契約の細かな取り決めは案件ごとに大きく異なります。実際に検討する段階では、弁護士などの専門家に契約内容を確認してもらいながら進めることをお勧めします。
銀行融資・出資・ベンチャーデットそれぞれの特徴を理解したうえで、自社の成長段階や資本構成に合った資金調達の方法を選んでいただければと思います。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























