
「卵を一つのカゴに盛るな」|独立後の取引先依存リスク
独立して事業を始めると、最初にできた取引先との関係を、何よりも大切にしたくなるのは自然なことです。しかし、投資の世界で使われる「卵を一つのカゴに盛るな」という格言は、独立後の商売にも、大切な教えを与えてくれます。今回は、この言葉から、取引先一社に頼りすぎるリスクについて考えていきます。
「卵を一つのカゴに盛るな」とは、どういう意味か
この格言は、卵をすべて一つのカゴに入れてしまうと、そのカゴを落としたときに、すべての卵が割れてしまうという意味です。投資の世界では、資産を一つの対象だけに集中させず、複数に分けておくことの大切さを説く言葉として使われています。この考え方は、独立後の取引先との付き合い方にも、そのまま当てはまります。
取引先一社への依存が生む、リスク
独立後、特定の取引先一社からの仕事が、収入の大部分を占めている状態は、とても危険です。その取引先の経営状況が悪くなったり、取引そのものが終わってしまったりすると、収入が一気に失われてしまいます。安定しているように見える関係でも、将来にわたって続くという保証はありません。
一社への依存に、気づきにくい理由
一つの取引先との関係が良好で、安定した仕事が得られていると、新しい取引先を探す必要性を感じにくくなります。目の前の仕事に追われているうちに、気づかないまま一社への依存度が高まっていくことは、決して珍しいことではありません。依存のリスクは、安定しているときほど見えにくいものです。
複数の取引先を、少しずつ育てておく
一社への依存を避けるためには、早い段階から、複数の取引先と関係を築いておくことが役立ちます。一つの取引先からの仕事が安定しているときこそ、余力のある範囲で、新しい取引先を探す活動を続けておきましょう。すぐに大きな取引にならなくても、小さなつながりを複数持っておくことが、将来の安心につながります。
依存度を、定期的に確認する
自分の収入のうち、どれくらいの割合を一つの取引先に依存しているのかを、定期的に確認する習慣を持っておきましょう。依存度が高くなっていることに気づいたら、新しい取引先を探す活動を、意識的に増やすきっかけにすることができます。数字として把握しておくことで、感覚だけに頼らず、客観的に判断できます。
一社に頼ることが、必ずしも悪いわけではない
起業したばかりの時期には、一つの取引先との関係を軸に事業を進めることも、現実的な選択です。大切なのは、その状態をいつまでも続けるのではなく、少しずつ複数の取引先に広げていく意識を持っておくことです。今の状況を否定せず、次の一歩として、取引先を増やす視点を持っておきましょう。
取引先以外の「カゴ」も、考えておく
「卵を一つのカゴに盛るな」という考え方は、取引先だけに当てはまるものではありません。収入源そのものを複数持っておくこと、特定のお客さんだけに頼らない商品構成にしておくことなど、さまざまな場面で「カゴを分ける」という発想が活かせます。一つの視点に縛られず、広い範囲でリスクを分散させる考え方を持っておきましょう。
新しい取引先との関係も、丁寧に育てる
依存を避けるために新しい取引先を増やすことは大切ですが、数を増やすことばかりに意識が向いてしまうと、一つひとつの関係が浅くなってしまうこともあります。新しい取引先とも、丁寧に関係を育てていく姿勢を忘れないようにしましょう。数を増やすことと、質を保つことの両方を、意識しておくことが大切です。
起業準備の今から、人脈を広げておく
取引先を増やす準備は、実際に起業してから始めるのでは、遅くなってしまうことがあります。起業準備の段階から、業界のイベントや交流会に参加するなど、さまざまな人とつながっておくことで、起業後にすぐ動ける人脈の土台をつくっておくことができます。今のうちから、少しずつつながりを広げておきましょう。
一つの取引先に、不安を感じたときの対処
すでに一つの取引先への依存度が高いと気づいた場合は、焦って一気に状況を変えようとするのではなく、計画的に進めることが大切です。新しい取引先を少しずつ増やしながら、現在の取引先との関係も大切にし続けることで、無理のない形で依存度を下げていくことができます。急激な変化は、思わぬトラブルにつながることもあるため、慎重に進めましょう。
💬 執筆者の坂井から一言
相談の場でも、一つの取引先との関係に安心してしまう方は多いですが、依存度を一緒に数字で確認すると、早めに動き出せる方が多いという印象を、これまでの数多くの相談を通しても、より一層強く持ち続けています。
よくある質問
Q. どれくらいの依存度なら安心といえますか
A. 一概には言えませんが、一つの取引先への依存度が高すぎると感じたら、新しい取引先を探す活動を増やすきっかけにしてみましょう。
Q. 新しい取引先を探す時間がない場合は、どうすればいいですか
A. 小さな時間からでも始めてみましょう。少しずつでも継続することが、将来の選択肢を広げることにつながります。
まとめ:今日からできること
今日は、自分の収入のうち、一つの取引先にどれくらい依存しているかを、一度確認してみてください。「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉が、独立後の安定した商売を続けるための指針になります。
【無料相談のご案内】
弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、中小企業診断士・元補助金審査員の三浦をはじめとした専門家チームが、業種を問わない幅広い起業・新規事業のご相談に対応しております。何から始めればいいかわからないという段階でも、適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひ一度ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
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- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
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