
フランチャイズで借りるのは創業融資か通常融資か|制度の境目を3つで判定
フランチャイズに加盟して開業しようとすると、「創業融資」という言葉と「事業融資」「通常の融資」という言葉が両方出てきます。加盟前の説明会で創業融資の話を聞き、金融機関の窓口では通常の融資の案内を受ける、という順番になることもあります。どちらの話をされているのか分からないまま準備を進めると、必要な書類も金利の目安もずれたまま動くことになります。
この記事では、フランチャイズ加盟で開業を考えている方に向けて、創業融資と通常融資が何によって分かれているのか、そして自分がどちらに乗るのかを判定する順番を整理します。数字は2026年8月時点の社内資料と公表値にもとづくもので、実際の適用は制度や審査、条件によって変わります。
2つは「資金の使い道」で分かれているわけではありません
まず前提をそろえます。創業融資と通常融資は、設備に使うか運転に使うかといった資金の使い道で分かれているのではありません。分かれ目は申込む人が事業のどの時期にいるかです。
日本政策金融公庫の国民生活事業では、創業期の方を対象に、新規開業・スタートアップ支援資金をはじめとする各種の創業融資が案内されています。ここでいう創業期の方とは、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を指します。この時期を過ぎた方の借入は、決算の実績をもとに見る通常の融資の枠組みで進みます。
ちなみに、かつて無担保・無保証の特例だった新創業融資制度は2024年3月に廃止されています。現在の主力は新規開業・スタートアップ支援資金で、〜2024年3月の名称は新規開業資金でした。古い制度名で覚えている方は、窓口で話が噛み合わないことがあります。
では、フランチャイズ加盟の場合に自分がどちらなのかを、3つの境目で見ていきます。
境目1:税務申告を2期終えているか
いちばん分かりやすい境目です。これから初めて事業を始めるのであれば創業期にあたります。すでに事業を始めていても、税務申告を2期終えていなければ創業期のままです。
会社員をしながらフランチャイズ加盟を検討している方は、原則としてここに入ります。一方、副業として個人事業を数年続けていて確定申告を何期も済ませている方が、その事業の延長線上でフランチャイズに加盟する場合は、創業期の枠から外れる可能性があります。
この2期という区切りは、金利の水準にも直接効いてきます。2026年6月1日現在の利率マトリクスでは、無担保で税務申告2期以上を完了している場合の基準利率が年3.50〜5.20%、無担保で2期未了の場合が年3.45〜5.15%と、2期未了の側が一律0.05%低く設定されています。
境目2:法人成りか、別事業での新設法人か
法人を作って加盟する場合は、もう一段の判定が入ります。
個人事業主が今の事業をそのまま法人化する法人成りの場合、原則として創業融資の対象外です。すでに事業実績があるとみなされ、通常の融資の扱いになります。一方で、個人事業主が営んでいる事業とは別の、新しい事業を行う法人を新たに設立する場合は、その新法人にとっては創業にあたるため創業融資を使えます。
フランチャイズの加盟では、この2つが混ざりやすい場面があります。今やっている事業と同じ業態のフランチャイズに加盟して法人化するのか、まったく別の業態に踏み出すために法人を作るのかで、乗る制度が変わります。加盟契約を結ぶ前に、どちらの形で進めるのかを決めておくと、後から借入の前提を組み直さずに済みます。
境目3:すでに店舗を持っている状態で加盟する場合
3つ目は、すでに事業を営んでいる方が新しくフランチャイズに加盟するケースです。境目1と境目2の組み合わせで決まりますが、実務上は次のように整理できます。
- 個人事業を2期未了の段階で営んでいて、同じ主体でフランチャイズ加盟の店舗を出す場合は、まだ創業期の枠内で検討できます
- 個人事業を何期も続けている方が、同じ主体で加盟する場合は通常の融資側になります
- 別業態のフランチャイズを新設法人で始める場合は、その法人にとっての創業として扱えます
自分がどこに当てはまるか分からない段階でも、加盟予定の業態が今の事業と同じかどうか、そして誰の名義で契約するのかを決めておけば、相談の場で判定してもらえます。
💬 執筆者の小峰から一言
創業期の利率引下げを、無担保で借りる人だけの優遇だと受け取っている方にときどき出会います。案内上、この引下げは担保の有無を問わず創業期の方が対象です。担保を入れるかどうかと、引下げの対象かどうかは別々の話として考えてください。適用可否は制度や審査、条件で変わるため、申請先での確認は必要です。
どちらに乗るかで変わること
制度の土俵が決まると、次の4点が変わります。
無担保・無保証人での借入
創業期の方は、原則として無担保・無保証人で各種の融資制度を利用できると案内されています。
金利
2026年6月1日現在の基準利率は、創業期に利用する場合で年3.45〜5.15%です。さらに創業期の方が利用する場合は、原則0.65%、雇用の拡大を図る場合は0.9%の引下げが適用される可能性があります。ただし適用可否は利用する制度や審査、条件により異なるため、必ず下がると考えず申請先で確認してください。なお有担保の場合は基準利率が年2.50〜4.80%と別の水準になります。
返済期間と据置
新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の例では、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が原則10年以内です。元金返済の据置はいずれも5年以内で設定され、据置中は利息のみの支払いになります。フランチャイズは加盟金や内装費の支払いが開店前に集中するため、この据置をどう置くかで開店直後の資金の流れが変わります。
提出する書類の重心
創業期は営業実績が乏しいため、創業計画書の作り込みが結果に影響します。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。通常の融資側に乗る場合は、決算書の内容が判断材料の中心に移ります。
判定の順番
迷ったときは、次の順で確認すると早く決まります。
- これから事業を始めるのか、すでに始めているのか
- すでに始めている場合、税務申告を2期終えているか
- 法人で加盟するなら、今の事業の法人化なのか、別事業での新設法人なのか
- その結果として乗る制度で、金利・返済期間・据置・必要書類がどうなるか
限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)が目安で、申請から実行までは書類提出後おおむね3週間から1か月です。準備を含めると合計で2か月程度を見ておくと、開店予定日から逆算しやすくなります。
💬 執筆者の小峰から一言
創業融資だから決算書は関係ない、と考えている方がいます。新しく設立した会社でも、一期でも決算が締まっていればその決算書は見られます。代表者が別に会社を経営している場合は、その会社の決算書も確認の対象です。手元に決算が済んだ会社があるなら、内容を説明できる状態にして持っていくほうが話が早く進みます。
まとめ
創業融資と通常融資の違いは、借りたお金を何に使うかではなく、申込む人が事業のどの時期にいるかで決まります。フランチャイズ加盟の場合は、税務申告を2期終えているか、法人成りなのか別事業での新設法人なのか、という2点を先に確定させると、自分がどちらの土俵に乗るのかが見えます。
土俠が決まれば、金利の水準も、返済期間や据置の置き方も、揃える書類の重心も決まります。逆にここが曖昧なまま加盟契約や物件の話を進めると、後から前提を組み直すことになります。
制度や金利は変わりやすいため、ここに挙げた数字は2026年8月時点の情報として扱ってください。実際の適用可否や条件は個別の状況で変わるので、判断に迷う場面では申請先や専門家に確認しながら進めてください。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























