
設備投資で税金を安くする方法|国が進める生産性向上策とは
みなさん、こんばんは。
三浦です。
いま国は、企業の設備投資をこれまで以上に強力に促進しています。
ニュースや行政資料を見ると「賃上げ」「生産性向上」「中小企業の競争力強化」といった言葉が頻繁に出てきますが、その中心にあるのが 設備投資 です。
国が企業に求めているのは、
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古くなった設備をそのまま使い続けるのではなく
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性能の高い設備へ入れ替え
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IT化・自動化を進め
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少ない人数でも効率よく稼げる体制を作ること
という流れです。
つまり、
「設備を入れ替えて生産性を上げてください。その代わり、税金面で応援しますよ」
というのが、今の国のスタンスなのです。
目次
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なぜ国は設備投資を促進しているのか
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設備投資で税金を安くする制度とは
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法人税を下げる「経営力向上計画」
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固定資産税が免除される「先端設備等導入計画」
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赤字企業が不利だったこれまでの減税制度
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固定資産税に着目した制度強化の流れ
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注目の制度「先端設備等導入計画」とは
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まとめ|設備投資と税制優遇はセットで考える
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よくある質問(FAQ)
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次回予告
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無料相談のご案内
なぜ国は設備投資を促進しているのか
まず押さえておきたいのが、
なぜ、ここまで国が設備投資を後押ししているのか という点です。
背景には、次のような日本全体の構造問題があります。
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人口減少・少子高齢化
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中小企業の人手不足
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国際競争力の低下
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賃金がなかなか上がらない構造
これらをまとめて解決する「切り札」として、国が期待しているのが 設備投資による生産性向上 です。
人を増やせないなら、
設備で補うしかない。
この考え方は、もはや一時的な政策ではなく、
今後も長く続く国の基本方針 と言ってよいでしょう。
設備投資で税金を安くする制度とは
設備投資を促進するために、国はさまざまな制度を用意していますが、
実務で特に使われているのが、次の2つです。
設備投資に関連する代表的な税制優遇制度
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法人税の税額を下げられる制度
→「経営力向上計画」 -
固定資産税の減免が受けられる制度
→「先端設備等導入計画」
この2つは性質が異なり、
会社の状況(黒字・赤字)によって向き不向きがはっきり分かれます。
法人税を下げる制度|経営力向上計画とは
経営力向上計画の基本的な考え方
経営力向上計画は、
「自社の経営をこう改善します」「この設備で生産性を上げます」
という計画を作成し、国の認定を受ける制度です。
認定されると、
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設備の 即時償却
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法人税の 税額控除
といった、法人税に直接効く優遇 を受けられます。
どんな会社に向いている制度か
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すでに利益が出ている
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今後も安定的に黒字が見込める
こうした会社にとっては、非常に使い勝手の良い制度です。
赤字企業が不利だったこれまでの減税制度
一方で、ここに大きな問題がありました。
それは、
赤字企業がほとんど恩恵を受けられない
という点です。
経営力向上計画を含め、従来の設備投資減税は、
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法人税を減らす
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税額控除を行う
といった仕組みが中心でした。
しかし、
赤字企業はそもそも 法人税を払っていません。
その結果、
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黒字企業 → 税金が下がって大きなメリット
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赤字企業 → 制度はあっても実質メリットなし
という、やや不公平な状況が続いていました。
固定資産税に着目した制度強化の流れ
そこで国が目を向けたのが、固定資産税 です。
固定資産税は、
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赤字・黒字に関係なく発生する
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設備を持っている限り毎年かかる
という特徴があります。
つまり、
ここを減免すれば、赤字企業でも確実に効果が出る。
この発想から、固定資産税を軸にした制度設計が進められました。
経営力向上計画でも固定資産税の軽減はありましたが、
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自治体によって対象業種が限定される
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減免期間・割合が小さい
など、実務上は「やや物足りない制度」だったのが正直なところです。
注目の制度|先端設備等導入計画とは
先端設備等導入計画の位置づけ
こうした背景を受けて登場したのが、
先端設備等導入計画 です。
この制度は、
固定資産税の減免をメインに据えた、設備投資促進制度
と考えていただくとわかりやすいでしょう。
最大のメリットは「固定資産税の免除」
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認定を受けた自治体内での設備投資が対象
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条件を満たせば
👉 固定資産税が最大3年間免除
設備投資後に毎年かかる税金がゼロになるインパクトは、非常に大きいです。
特に、
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赤字企業
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創業間もない会社
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小規模事業者
にとっては、現金流出を確実に抑えられる制度 と言えるでしょう。
※実際には、ほとんどの自治体が認定を受けており、使い勝手はかなり良くなっています。
まとめ|設備投資と税制優遇はセットで考える
設備投資を考える際、
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「この設備はいくらかかるか」
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「本当に必要か」
だけで判断してしまうのは、非常にもったいないです。
必ず、
「この設備で、どの税制優遇が使えるか」
という視点を持ってください。
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黒字企業 → 経営力向上計画
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赤字・小規模企業 → 先端設備等導入計画
この考え方だけで、
同じ設備投資でも手元に残るお金が大きく変わります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 赤字企業でも本当にメリットがありますか?
はい。固定資産税の免除は、赤字・黒字を問いません。
Q2. 経営力向上計画と併用できますか?
ケースによっては可能です。事前の制度設計が重要です。
Q3. 申請のタイミングはいつがベストですか?
設備の発注・契約前が原則です。順番を間違えないことが重要です。
次回予告
次回は、
「どのような設備が先端設備等導入計画の対象になるのか」
具体例を交えながら、実務目線で解説します。
【無料相談のご案内】
弊社では、
中野裕哲を中心とした所属専門家チーム
(起業コンサルタント®、経営コンサルタント、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、中小企業診断士、FP、元日本政策金融公庫支店長、元経済産業省系補助金審査員など)が一丸となり、
起業・設備投資・補助金・税制優遇を ワンストップで支援 しています。
-
自社の設備は対象になる?
-
どの制度を使うのが一番得?
-
申請の順番は合っている?
こうした疑問について、無料でアドバイスしています。
「まだ検討段階」という方でも大丈夫です。
ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























