
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「交通発生源」ってなに?
起業や新規出店の成功を左右するのは、家賃や面積、周辺人口だけではありません。
「人の流れ」を読み解くことこそ、立地戦略の本質です。
そして、この人の流れを生み出す起点となるのが「交通発生源」です。
1. 交通発生源とは?
ズバリ言います。
交通発生源とは、人や車の移動を発生させる施設や場所のこと。
特定の場所に多くの人や車が集まり、そこから周辺に移動するための起点になるポイントです。
代表例としては…
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鉄道駅、バスターミナル
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大学、学校
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大型ショッピングモール
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観光地、イベント会場
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病院や公共施設
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大規模オフィスビルや工業団地
- 大規模タワーマンション
2. なぜ経営者に重要なのか?
理由はシンプル。交通発生源は潜在顧客の通過・滞在ポイントだからです。
① 集客に直結
交通発生源の近くに店舗を構えると、自然と人通りが多くなります。
特に駅前や大型商業施設周辺は、無意識に立ち寄る顧客を獲得しやすい。
② ターゲット層が明確
交通発生源の種類によって、人の属性や行動パターンがある程度予測できます。
例:大学→若者層、病院→高齢者層、ビジネス街→会社員層。
③ 商圏形成の核
交通発生源は周辺エリアの商圏中心になることが多く、他業種との相乗効果も期待できます。
3. 交通発生源の分類
(1)恒常型
一年中、人や車の流れを生み続けるもの。
例:駅、オフィス街、住宅地(大型タワーマンションなど)、大型病院。
(2)季節型
季節や時期によって集客力が変わるもの。
例:観光地、海水浴場、スキー場。
(3)イベント型
短期間で大量の人を集めるもの。
例:スタジアム、展示会場、フェス会場。
4. 実際のビジネス影響例
事例① 駅近カフェの成功
駅の乗降客数が1日10万人の立地で、改札出口から30秒の場所にカフェを出店。通勤・通学客のテイクアウト需要で売上安定。
事例② イベント会場近くの飲食店
イベント開催日は満席だが、平日は閑散。結果、家賃負担に耐えられず撤退。
→ 季節・イベント型交通発生源は「平日対策」が必須。
5. 交通発生源を活かす立地戦略
① 種類と規模を把握
単に「駅がある」ではなく、乗降客数や利用者層を調べる。
行政統計や駅利用者データが参考になります。
② 動線を観察
交通発生源から人がどの方向に流れていくのかを現地で確認。
同じ駅でも出口ごとに通行量が全く異なることもあります。
③ ターゲットとの一致度を確認
交通発生源の利用者層が、自社のターゲットとマッチしているかを見極める。
④ 時間帯変動を読む
朝・昼・夜、平日・休日で人の流れは変わります。
営業時間や販促計画に反映しましょう。
6. 注意すべき落とし穴
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見かけの人通りに惑わされる:通行人が多くてもターゲット層でなければ集客に繋がらない。
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季節・イベント依存:一時的な人出に頼ると、安定経営が難しい。
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交通遮断帯との併発:交通発生源が近くても、道路や線路で分断されていると来店が難しい。
7. 今日からできるチェックリスト
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店舗・オフィス候補地の半径500m以内に交通発生源はあるか?
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その交通発生源の利用者数や属性は把握しているか?
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利用者の動線上に立地しているか?
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季節・時間帯の変動データを確認したか?
まとめ
交通発生源は、立地戦略において「人の流れの源泉」です。
これを正しく理解し、種類・規模・利用者属性・動線まで分析すれば、立地の失敗リスクを大幅に減らせます。
経営者としては、「人の流れを作る場所」から逆算して立地を決めることが、長期的な集客力を確保する鍵です。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。