
いまさら聞けない「アンゾフのマトリクス」ってなに?
〜ビジネス成長の選択肢を“見える化”してみましょう〜
「今後どうやって売上を伸ばそうか…」
「新しいことを始めたいけど、何から手をつければ…?」
そんなとき、頭の中のモヤモヤをスッキリ整理してくれるのが「アンゾフのマトリクス」という戦略フレームワークです。
このマトリクスは、事業の成長戦略を“4つの選択肢”に分けて考えるためのツールで、特に起業家、中小企業や個人事業主の方が「次の一手」を明確にする際に役立ちます。
それでは、この「アンゾフのマトリクス」が何を示し、どう使えばいいのか、実務に即した形でやさしく解説していきましょう。
アンゾフのマトリクスとは?
「アンゾフのマトリクス」は、製品と市場という2つの軸で、成長の方向性を整理するものです。
既存市場 | 新規市場 | |
---|---|---|
既存製品 | 市場浸透戦略 | 市場開拓戦略 |
新規製品 | 製品開発戦略 | 多角化戦略 |
このように、製品(既存 or 新規)× 市場(既存 or 新規)の組み合わせによって、4つの戦略を考えることができます。
各戦略の特徴と注意点
① 市場浸透戦略(既存製品 × 既存市場)
今ある商品・サービスを、今いるお客様にもっと届ける戦略です。
たとえば…
-
SNS広告を強化する
-
キャンペーンで購入頻度を上げる
-
顧客満足度を向上しリピーターを増やす
【ポイント】
リスクは最も低いですが、限界も早く訪れがちです。
② 市場開拓戦略(既存製品 × 新規市場)
今ある商品・サービスを、これまで届けていなかった“新しいお客様”に広げる戦略です。
たとえば…
-
地方や海外などエリアを広げる
-
ターゲット層を変える、拡げる(学生→主婦など)
-
業界や用途を変えて売る
【ポイント】
製品に自信がある場合、新規顧客層の開拓でチャンスが広がります。
③ 製品開発戦略(新規製品 × 既存市場)
今のお客様に、新しい商品やサービスを届ける戦略です。
たとえば…
-
派生商品やセット商品の開発
-
サブスクプランやメンテナンスなどの追加サービス
-
お客様の要望から新商品を作る
【ポイント】
お客様のニーズを熟知していれば効果的。ただし開発コストがかかる場合も。
④ 多角化戦略(新規製品 × 新規市場)
まったく新しい商品を、新しい市場に届ける戦略です。
たとえば…
-
飲食店が雑貨販売やオンライン教室を始める
-
建築業者が不動産仲介に参入する
【ポイント】
最も難しく、最もチャレンジングな選択肢で、しっかりとした市場調査と準備が不可欠です。
どんな時に使える?
アンゾフのマトリクスは、次のような場面で活躍します。
-
売上が頭打ちになってきたとき
-
新商品を考える必要が出てきたとき
-
競合との差別化を図りたいとき
-
融資や補助金申請の際、成長戦略を整理したいとき
視覚的に整理できるので、経営者仲間やチームとの意見交換にも最適です。
活用のステップ
-
現在の製品と市場の状況を確認
どこに強みがあり、どこが伸びしろかを把握しましょう。 -
4つの象限にアイデアを書き出す
頭の中の構想を、マトリクスに落とし込んで整理してみましょう。 -
リスクと効果を比較し、優先順位を決める
資金や人手、実現性をもとに方向性を絞り込みます。 -
小さくテストして、反応を見る
一気に進めず、まずは“試してから伸ばす”戦略が安全です。 - 補助金を活用する
新しい取り組みに補助金を活用すれば、チャレンジするためのコストやリスクを抑えられます。
まとめ:次の一手に「迷い」があるなら使ってみよう
アンゾフのマトリクスは、「今あるもの」と「これからの可能性」を整理し、戦略の方向性を明確にしてくれるツールです。
特に起業家や個人事業主、中小企業の方にとって、限られたリソースで「どの方向に伸ばすか」を考える場面は多いですよね。そんなとき、このマトリクスを使えば、冷静に判断し、効果的な打ち手を見つけやすくなります。
「今ある商品をもっと売るのか?」
「新しい顧客に届けるのか?」
「新商品で勝負するのか?」
「それとも、新市場へ飛び込むのか?」
迷ったときは、ぜひこの4つの視点から考えてみてくださいね。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。