
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「クロスセル・アップセル戦略」って何?
「もっと売上を伸ばしたい…でも新規客の獲得はコストがかかる」
そう感じている経営者の方は多いはずです。実は、売上アップの近道は今いるお客様にあります。そこでカギとなるのがクロスセルとアップセルです。
1. クロスセルとアップセルの違い
ズバリ言います。
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クロスセル
お客様が購入した商品やサービスに関連する別の商品を提案して販売すること。
例:プリンター購入者にインクや用紙を提案。 -
アップセル
お客様が検討している商品やサービスより、上位グレードや高価格のものを提案して販売すること。
例:通常プランからプレミアムプランへの変更提案。
どちらも「既存顧客の購買単価を上げる」ための戦略ですが、アプローチの角度が違います。
2. なぜ経営者が知っておくべきか?
新規顧客獲得には広告費や営業コストがかかります。一方、既存顧客への提案は信頼関係があるため、成約率が高く、コストも低い。
実務的には、
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新規客への販売コスト:既存客の5倍
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既存客の購入率:新規客の3〜5倍
というデータもあります。つまり、クロスセル・アップセルは客単価を高め、結果的に利益率を高める最短ルートなのです。
3. クロスセルの活用例
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飲食店:メイン料理にサイドメニューやデザートを提案。
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ECサイト:「この商品を買った人はこんな商品も買っています」表示。
- 不動産屋:仲介契約をしたお客様に引っ越しサービスもご案内。
重要なのは「関連性の高さ」。無関係な商品を提案すると逆効果になります。
4. アップセルの活用例
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宿泊業:スタンダードルームからスイートルームへのアップグレード。
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サブスクサービス:無料プランから有料プランへの誘導。
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教育事業:基礎講座から応用講座・個別指導への提案。
アップセルは「より良い体験」や「成果の向上」を理由に提案すると効果的です。
5. 実践ステップ
私が経営者に提案するときの流れは次の通りです。
① 顧客の購入データを分析
どの商品やサービスが一緒に買われやすいか、どのタイミングで上位プランに移行しているかを把握します。
② 提案のタイミングを決める
クロスセルは購入直後や利用開始時、アップセルは利用中の満足度が高まった時期が狙い目です。
③ 提案内容を絞る
一度に多くの提案をすると迷わせてしまいます。関連性の高い1〜2点に絞ります。
④ 価値を具体的に示す
「これを追加すると○○が改善されます」「上位プランだと○○が可能になります」と成果や体験の差を明確にします。
6. よくある失敗パターン
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押し売り感が出る
お客様のニーズを無視した提案は信頼を損ないます。 -
タイミングが早すぎる/遅すぎる
購入前にアップセルを押しすぎると離脱、遅すぎると熱が冷めます。 -
関連性が低い商品提案
クロスセルは「必要そうだから買う」という流れが自然です。
7. 成功事例
地方の美容院では、カットだけのお客様に「カット+ヘッドスパ」を提案。カット料金4,000円に対してスパは2,000円ですが、提案後の実施率が40%を超え、売上が15%アップしました。
また、あるコンサルティング会社では、月額顧問料5万円の顧客に「成果保証付きプレミアム顧問(8万円)」を提案。移行率は25%でしたが、単価アップ効果で年間売上が数百万円増加しました。
8. 今日からできる実践チェックリスト
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自社商品で自然に組み合わせられるものは何か?
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上位プランやオプションの魅力を明確に説明できているか?
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提案するタイミングは適切か?
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顧客データを分析し、よくある購入パターンを把握しているか?
まとめ
クロスセル・アップセル戦略は、既存顧客との関係を深めながら売上を伸ばす最短ルートです。
経営者としては、「どうやって新しいお客様を取るか」だけでなく、「どうやって既存のお客様の満足度と単価を上げるか」にも目を向けることが大切です。
大切なのは、お客様にとって本当に価値のある提案をすること。それが押し売りとの決定的な違いです。
明日からの商談や販売で、ぜひクロスセル・アップセルを意識してみてください。数字が変わるはずです。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。