
経営者なら知っておきたい!いまさら聞けない「選択肢効果」って何?
商品やサービスを提案するとき、「AかBか、どちらにしますか?」と聞くと、意外とすんなり決まることがあります。これは単なる偶然ではなく、心理学的な原理が働いている場合があります。その原理こそが、今回のテーマ「選択肢効果」です。行動経済学の中でも有名な理論ですね。
1. 選択肢効果とは?
ズバリ言います。
選択肢効果とは、お客様に複数の選択肢を提示することで、購入や契約に至りやすくなる心理的効果のことです。
人は「買うか・買わないか」の二択では迷いが長引き、結局「買わない」という結論に落ち着きやすくなります。しかし、「AかBかどちらにするか」と聞かれると、「買う」という前提で考えるため、意思決定が早まりやすいのです。
2. ビジネスでの典型例
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プラン提示
「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」の3段階プランから選ばせる。 -
商品の組み合わせ
コーヒー1杯か、ケーキセットかを選ばせる。 -
契約期間の選択
月契約か年契約かを選ばせる。
このように、複数の選択肢を用意することで、お客様は「どれを選ぶか」に意識が向き、「買わない」という選択肢が後回しになる傾向があります。
3. なぜ経営者が知っておくべきか?
経営者にとって、選択肢効果は売上・成約率・客単価のすべてに関わる武器です。
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成約率アップ
二択から三択にするだけで契約率が上がることがあります。 -
単価アップ
中間価格帯を魅力的に設定することで、多くのお客様がそこを選ぶ傾向が生まれます。 -
満足度向上
自分で選んだという感覚が、顧客満足度やリピート率を高めます。
4. 活用のステップ
私が経営者向けに提案している「選択肢効果」の設計は、次の流れです。
① 選択肢の数は基本3つ
選択肢が多すぎると「選択麻痺」が起こり、逆に意思決定が遅れます。3つが心理的にちょうどよいバランスです。
② 中間の選択肢を本命に
価格・内容ともにバランスの取れた中間プランを設定します。多くの顧客は極端を避けるため、真ん中を選びやすい傾向があります(妥協効果)。
③ アンカリングと組み合わせる
最も高い選択肢をアンカーとして提示し、中間の選択肢を割安に見せます。
④ 比較しやすくする
表やアイコンで違いを明確にし、一目で判断できるようにします。
5. よくある失敗パターン
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選択肢が多すぎる
「7種類のプラン」などは逆効果。選べずに離脱します。 -
差別化が不十分
違いが分からない選択肢は迷いを生み、結論を先延ばしにします。 -
本命が割高に見える
中間プランの価値説明が弱いと、安いプランばかり選ばれます。
6. 成功事例
ある学習塾では、月謝を「週1回」「週2回」「週3回」の3段階に変更。それまでは単一プラン(月1回)で契約率が50%でしたが、導入後は75%に。特に中間の「週2回」コースが人気となり、売上が約30%アップしました。
また、地方の美容院では、カットのみ・カット+カラー・カット+カラー+トリートメントの3つのコースを設定。結果、真ん中のコースが全体の6割を占め、平均単価が15%上昇しました。
7. 今日からできる実践チェックリスト
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自社の商品やサービスは「買うか・買わないか」の二択になっていないか?
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提示する選択肢は3つ以内か?
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中間の選択肢が最も魅力的になるよう設計しているか?
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選択肢ごとの差が一目で分かるか?
まとめ
選択肢効果は、お客様の意思決定を促し、成約率と単価を同時に上げるシンプルかつ強力な心理テクニックです。
経営者として大切なのは、単に選択肢を増やすのではなく、迷わず選びたくなる設計をすること。これにより、価格競争に巻き込まれずに売上を伸ばすことができます。
明日からの商談や提案資料に、ぜひ「選択肢効果」を組み込んでみてください。きっと数字が変わります。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。