
起業前に知っておきたい信用情報の話|日々の支払いが将来の資金調達にどう関わるか
クレジットカードの支払いや、スマートフォンの分割払い。毎月当たり前のように済ませているこうしたお金のやりとりは、実は「信用情報」という形で、あなた自身の記録として少しずつ積み重なっています。起業を考え始めたタイミングで、一度その記録に目を向けてみませんか。
毎日の支払いが、知らないうちに記録されている
クレジットカードやスマートフォンの分割払い、各種ローンなどを利用すると、その契約内容や支払い状況は信用情報機関に記録されます。日本には主にCIC、JICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)という指定信用情報機関があり、金融機関や信販会社、通信会社などがそれぞれ加盟して情報をやりとりしています。
支払いを期日どおりに終えている間は、特に意識することのない記録です。一方で、支払いの遅れが続いた場合は「延滞」として記録が残ります。普段の生活で特別なことをする必要はありませんが、自分の支払いの履歴がこうした形で蓄積されているという事実は、起業を考え始めたタイミングで一度知っておく価値があります。
「塵も積もれば山となる」—小さな積み重ねが信用になる
「塵も積もれば山となる」という言葉があります。ごくわずかな塵でも積み重なれば山のように大きくなる、小さなことの積み重ねが大きな結果につながる、という意味で古くから使われてきた言い回しとされています(出典には諸説あり、ここでは広く知られた意味として紹介します)。
信用情報は、この言葉と似た構造を持っています。一回ごとの支払いはどれも小さな出来事ですが、それが数年単位で積み重なることで「この人はきちんと支払いを続けてきた」という記録になっていきます。逆に、支払いの遅れが積み重なれば、それもまた記録として残ります。起業の資金計画を考えるうえで、この「積み重ね」の感覚をあらかじめ持っておくと、後になって慌てる場面を減らせます。
会社員として働いている間は、給与からの自動振替などで支払いが滞りにくい仕組みになっている方も多いものです。その環境が当たり前だと感じているうちに、自分の支払いの履歴がどんな状態になっているかを、一度まとめて確認しておく。それだけで、独立後の資金計画に向けた土台が一つ整います。起業の準備というと、事業計画や資金の額に目が向きがちですが、こうした地味な積み重ねの確認こそ、会社員のうちにしかやりにくい準備のひとつです。

💬 執筆者の小峰から一言
信用金庫で融資を出す側にいたころ、申込者の普段の支払い状況は面談の前に確認する項目のひとつでした。大きな金額だけでなく、毎月の支払いを期日どおりに続けているかという小さな積み重ねが、担当者の印象を左右することもあります。
起業の資金調達にどう関わるのか
創業にあたって日本政策金融公庫などから融資を受ける場合、申込者の信用情報が確認されることは広く知られています。審査では事業計画の内容や自己資金の状況、資金の使い道など複数の材料が合わせて見られますが、支払いに関する記録もそのひとつとして扱われます。制度や審査の詳細な運用は、申込先の最新の案内で確認してください。
だからといって、過去に一度支払いが遅れた経験があるからもう起業できない、というわけではありません。延滞などの記録にも一定の保存期間があり、記録の種類によって重さや残る期間は異なります。気になる経験がある場合は、まず自分の状況を正確に把握することが次の一歩になります。
資金調達の場面では、信用情報だけがすべてを決めるわけではなく、事業計画の具体性や自己資金の形成過程など、複数の観点から合わせて判断されます。一つの記録だけを気にしすぎて動けなくなるより、自分の全体像をそろえていくほうが、結果として準備は前に進みやすくなります。
自分の信用情報は、自分でも確認できる
実は、信用情報は本人からの申込みがあれば、自分自身で開示を請求して内容を確認することができます。CIC・JICC・KSCのそれぞれに窓口があり、インターネット、郵送、窓口など複数の方法が用意されています。手数料や申込方法は変更されることがあるため、最新の情報は各機関の公式サイトで確認してください。
起業の準備を始めたタイミングで一度、自分の記録を自分の目で見ておく。それだけでも、資金計画を立てるときの安心材料のひとつになります。
よくある質問
Q. 信用情報に記録が残っていると、融資は受けられませんか?
A. 記録の有無だけで結果が決まるわけではありません。事業計画や自己資金の状況など、他の材料も合わせて見られます。気になる記録がある場合は、自分の情報を開示請求して状況を確認し、申込先に相談してみてください。
Q. 信用情報の開示請求にはお金がかかりますか?
A. 各機関で手数料が設定されています。インターネット、郵送、窓口のどの方法を使うかによっても金額は変わるため、最新の金額は各機関の公式サイトで確認してください。
まとめ:今日からできること
起業までまだ時間があるという方も、まずは自分の支払い状況を振り返ってみてください。そして気になる方は、CIC・JICC・KSCのいずれかの公式サイトを一度開いて、開示請求の案内に目を通してみましょう。小さな確認の積み重ねが、将来の資金計画を支える土台になります。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
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- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
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