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コラム

創業融資 事業計画書の書き方|金融機関に評価される計画書の作り方

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創業融資の審査の中心となるのが「事業計画書」です。書類が揃っていても、事業計画書の質が低いと審査で評価されません。逆に、自己資金が多少少なくても、事業計画書の論理性・数字の根拠・経営者の経験との整合性が高ければ、審査通過の可能性は十分にあります。

本記事では、創業融資の事業計画書について、金融機関が見ている評価ポイントと、説得力のある計画書を仕上げるための実務的な書き方を整理します。

金融機関が事業計画書で見ている5つのポイント

1. 事業内容の理解と差別化

「何を、誰に、どこで、どのように売るのか」が明確に書かれているか。市場・競合の認識、自社の差別化要素が言語化されているかが見られます。「○○系の店をやります」だけでは事業として薄く、競合との違い・顧客にとっての価値を具体的に示せると評価が上がります。

2. 経営者の経験と事業の整合性

「この事業を、この人が本当にやり遂げられるか」は審査の根幹です。経営者の職歴・スキル・人脈・資格が、創業する事業とつながっているかが評価されます。同業経験の有無、関連業界での実績、資金管理経験などが特に重視されます。

3. 数字の根拠と整合性

売上・経費・利益の数字が「ありえるレベル」か、根拠を示せるかが評価されます。客数×客単価×営業日数の計算、原価率の妥当性、固定費の積み上げ、業界平均との比較などが問われます。

4. 必要資金と調達方法の整合性

「必要な資金」と「調達方法」の合計が一致していることは基本中の基本です。必要資金の内訳(設備資金・運転資金)と、調達方法の内訳(自己資金・公庫借入・その他)が論理的にかみ合っているか、無駄な借入になっていないかが確認されます。

5. 返済原資の確保

事業計画の損益が黒字化し、返済原資となるキャッシュフローが安定的に出る見通しを示せるかが、金融機関にとって最も重要な観点です。創業初年度の赤字は珍しくないですが、いつ黒字化するのか、その根拠は何かを説明できる必要があります。

創業計画書の構成と各項目の書き方

公庫所定の創業計画書を例に、各項目の書き方のコツを整理します。

1. 創業の動機

「いつから準備を始めたか」「なぜこの事業か」「これまでの経験との結びつき」を時系列で書きます。曖昧な情熱表現ではなく、具体的なエピソードと数字(準備期間・自己資金の積立期間など)を交えると、本気度と準備度合いが伝わります。

NGの例:「以前から独立したいと思っていました。○○業に魅力を感じています」
OKの例:「会社員時代に○○業務を6年経験し、その間に顧客から『独立してこの業務を提供してほしい』という声を複数いただきました。2024年から準備を始め、毎月10万円ずつ自己資金を積み立て、関連資格を取得した上で、2026年に独立を決断しました」

2. 経営者の略歴

過去の職歴を時系列で並べ、最後に「これらの経験が今回の事業にどう活きるか」を一文で結びつけます。

  • 同業経験:年数・担当業務・成果
  • 関連業務:会計・営業・人事など、創業後に役立つスキル
  • 資格:業務に関連する資格・免許
  • 人脈:仕入先・販売先・協力会社との関係

3. 取扱商品・サービス

商品・サービスの内容・特徴・価格帯・販売チャネルを具体的に書きます。「メイン商品で売上の70%」「サブ商品で30%」のように、売上構成も示すと事業全体が理解しやすくなります。

4. 取引先・取引関係

仕入先・販売先を実名で書けるとベストです。「これから営業して開拓する」では弱く、すでに見込みのある先・契約済みの先・内定済みの顧客などを具体的に書きます。

5. 従業員

創業時点の雇用人数、創業後の採用予定を書きます。雇用がない場合は「当面は経営者1人で運営」と明確に書きます。

6. お借入の状況

個人の住宅ローン・自動車ローン・カードローンなど、現在の借入残高と毎月返済額を正確に書きます。隠そうとすると信用情報照会で必ず発覚するため、ありのままを記載するのが鉄則です。

7. 必要な資金と調達方法

創業計画書の中で最も慎重に書く項目です。

  • 設備資金:機械装置・什器・内装工事・敷金保証金など、内訳ごとに金額を示す
  • 運転資金:仕入・人件費・家賃・広告費など、当面の必要額を月数ベースで積み上げ
  • 自己資金:通帳で確認できる金額
  • 公庫借入:希望融資額
  • その他:親族借入・自治体制度融資など

「必要資金の合計=調達方法の合計」になるよう、最後に必ず突き合わせを行います。

8. 事業の見通し

創業当初と軌道に乗った後の売上・経費・利益を数値で示します。月別の収支計画(最低12ヶ月、できれば24〜36ヶ月)を別紙で添付すると、説得力が増します。

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数字計画の組み立て方

1. 売上計画は「客数×客単価×頻度」で組む

業種別の組み立て方の例:

  • 飲食店:席数×回転数×客単価×営業日数
  • 小売店:来店客数×購買率×客単価×営業日数
  • BtoB:取引社数×平均取引額×取引頻度
  • サービス業:顧客数×サービス単価×利用頻度

業界平均データ(中小企業実態基本調査、TKC経営指標など)と比較して、極端な数字になっていないか確認します。

2. 原価率は業界平均を参照

業種別の原価率の目安:

  • 飲食店:原価率30〜35%程度(業態により変動)
  • 小売:仕入価格に応じて変動。50〜70%程度が多い
  • サービス業:人件費・外注費が原価の中心

業界平均から極端に低い原価率(高い粗利)を計画すると、根拠を問われます。

3. 固定費は積み上げで試算

家賃・人件費・光熱費・通信費・広告費・リース料・保険料などを、見積書や契約書ベースで月額試算します。「概算で月○万円」ではなく、項目ごとに積み上げると説得力が出ます。

4. 月別収支計画で資金繰りを見る

年間の年計だけでは創業初期の資金繰りが見えません。月別の収支計画を作り、月末キャッシュ残高がいつまで保つかを試算します。借入返済を入れた状態でもキャッシュが回るかが、最終的な確認ポイントです。

事業計画書の書き方でよくある失敗

  • テンプレートのコピペ:自分の言葉で書き直さないと、面談で説明できず審査評価を落とす
  • 数字に根拠がない:売上計画が業界平均から極端に高い、原価率が低すぎる、などはすぐ指摘される
  • 本文と数値表がずれている:本文では「月100万円の売上」と書きながら、数値表では「月150万円」になっている等
  • 必要資金と調達方法が合致しない:合計が一致していない、内訳が不明瞭
  • 創業初年度から黒字計画:根拠なしの楽観計画は信頼性を落とす。初年度赤字でも、いつ黒字化するかを明示する
  • 計画書に矛盾がある:人を雇わない計画なのに人件費が計上されている、開業日と仕入時期がずれている等

計画書を仕上げる3ステップ

ステップ1:手書き or テキストで構成を整理

いきなり公庫所定様式に書き始めず、まずは手書きやテキストで全項目の中身を書き出します。情報が出揃ってから整理し直すと、整合性が取りやすくなります。

ステップ2:エクセル等で数値計画を試算

売上・原価・固定費・損益・資金繰りを、月別シートで試算します。複数パターン(標準・楽観・悲観)を作っておくと、面談で「もし計画より売上が下回ったら?」という質問に答えやすくなります。

ステップ3:公庫所定様式に転記、最終確認

手書き原稿・エクセル試算を踏まえ、公庫所定様式に清書します。最後に、本文と数値表の整合性・必要資金と調達方法の合計一致・誤字脱字を再確認します。専門家にチェックしてもらうのも有効です。

面談で計画書を「自分の言葉で語れる」状態にする

事業計画書を専門家に作成支援してもらうのは一般的ですが、面談では計画書の中身を自分の言葉で説明できる必要があります。次の質問への回答を準備しておきます。

  • 創業の動機(時系列で)
  • 商品・サービスの差別化(競合との違い)
  • 売上計画の根拠(数字の組み立て)
  • 計画より売上が下回った場合の対応
  • 自己資金の積立経緯
  • 返済原資の見通し
  • 家族の理解・生活費の確保

よくある質問

Q. 事業計画書は手書きでもいいですか?

はい、公庫の創業計画書は手書きでも問題ありません。読みやすい字で丁寧に書けば、字の上手下手は審査に影響しません。電子作成のほうが修正が容易なため、初めての場合は電子作成→印刷をおすすめします。

Q. 創業初年度から黒字計画にすべきですか?

無理に黒字計画にする必要はありません。創業初年度の赤字は珍しくないため、根拠なしに黒字を作るほうが信頼性を落とします。いつ黒字化するのか、その根拠は何かを明示する計画のほうが評価されます。

Q. 事業計画書の作成支援を専門家に頼むと採択率は上がりますか?

計画書の論理性・数字の根拠・記載の精度が上がる分、結果として採択されやすくなるケースは多くあります。ただし、自分が中身を把握していないと面談で説明できず逆効果になるため、丸投げではなく協働で作成するのが基本です。

Q. 業種データはどこで調べればいいですか?

中小企業庁の「中小企業実態基本調査」、TKCの「TKC経営指標」、業界団体の公開データ、日本政策金融公庫の業種別データなどが参考になります。図書館・公庫窓口・商工会議所などでも入手できます。

まとめ

創業融資の事業計画書は、書類が揃っているだけでは評価されません。重要なのは次の3点です。

  • 「経営者の経験」と「事業内容」と「数字」の3つが一貫したストーリーで結びついていること
  • 数字に根拠があり、業界平均との整合性が取れていること
  • 計画書の中身を自分の言葉で語れる状態になっていること

「自社の事業計画書の論理性に自信がない」「数字の根拠の立て方が分からない」と感じる場合は、一度専門家に相談すると、計画書の構成と数値計画の質を両立して整理しやすくなります。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

中野裕哲紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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