
経営安定資金(経営安定型)|売上減少を乗り越える中小企業向け融資制度
目次
制度の概要
「経営安定資金(経営安定型)」は、売上や売上総利益が一定以上減少しており、経営の安定に不安を抱える中小企業および個人事業主を対象とした公的融資制度です。市内で継続的に事業を営んできた事業者が、売上環境の変化に対応するための資金繰りを支援することを目的としています。
近年、国内外の経済変動、消費動向の変化、さらには自然災害や感染症の影響などにより、多くの事業者が売上減少や利益圧迫を経験しています。こうした状況下で、固定費の支払い、仕入れの継続、設備・システムの改修といった経営の基盤整備を後回しにすることは、将来的な成長や収益確保の観点からリスクとなり得ます。
本制度では、こうした「環境変化による一時的な売上・利益の減少」に対応して、運転資金・設備資金を柔軟に借り入れることで、経営基盤を整えながら再成長に向けた体制を構築する支援を行います。つまり、単にピンチを乗り切るための資金だけでなく、次のステージを見据えた「安定化→成長」への橋渡しとして有効です。
融資要件
この制度を利用するためには、以下の3つの要件すべてを満たしている必要があります。
- 市内で1年以上にわたって同一事業を継続して営んでいること
- 市税(住民税・事業税など)を完納していること
- 次のいずれかの条件に該当していること:
- 最近3カ月の売上高または売上総利益の平均が、過去3年間のいずれかの年の同月比で3%以上減少していること
- 最近6カ月の売上高または売上総利益の平均が、過去3年間のいずれかの年の同期間比で3%以上減少していること
売上の減少要件を満たしているかどうかを確認する際には、売上帳簿・月次試算表・会計ソフトのデータなどを用いて、過去の実績と比較する必要があります。また、「同一事業を1年以上継続」という条件は、事業の場所・内容が大きく変更されていないことも含まれる場合があるため、事前に担当窓口で確認することをおすすめします。
例えば、この1年以内に事業内容を大きく変更した、あるいは新規開業して間もないという場合にはこの制度の対象外となる可能性があります。したがって、現在売上が減少していると感じられている方は、まず自社の「事業継続年数」「市税納付状況」「売上データ」を整理し、申請準備を始めるとスムーズです。
資金使途と限度額
この制度では、以下の資金使途が対象として認められています。
- 運転資金:仕入代金、家賃、給与、広告宣伝費、光熱費など、日々の事業運営に必要な資金繰り全般を補うために活用できます。
- 設備資金:店舗や工場の改装、老朽機械の更新・追加導入、IT/システム設備の導入、車両購入(ただし車種・用途には一定の制限があります)など、将来的な収益向上に直結する設備投資が対象となります。
運転資金と設備資金を併用して申請でき、最大で3,000万円までの融資が可能です。使途の詳細については、見積書や事業計画書により「何に・いくら・いつ導入するか」を示すことが望まれます。設備資金を含める場合は、特に将来の収益改善に向けた導入計画を明確にしておくと審査上有利です。
また、運転資金だけではなく設備投資を組み合わせることで、単に現状を維持するだけでなく、環境変化に対応した再成長を見据えた資金運用が実現できます。申請をお考えの方は、「この設備を導入したら何%コスト削減できるか」「どれくらいで回収できるか」といった視点も併せて検討しておくと良いでしょう。
融資条件(利率・返済期間など)
| 融資利率 | 年1.5%以内(固定利率・変動利率は制度・時期により異なります) |
|---|---|
| 返済期間 | 通常5年以内、用途や資金内容によっては7年以内 |
| 据置期間 | 最大12か月(元金払開始を据置。利息は据置期間中も支払対象となる場合があります) |
| 返済方法 | 割賦返済(毎月一定額を返済) |
据置期間を設けることで、借入直後に返済が始まらず、一定期間を経て事業回復を図る時間を確保できます。この間に新たな販路の確保、設備立ち上げ、業務見直しを進めることが可能となります。
利率が「年1.5%以内」というのは、非常に有利な条件です。とはいえ、審査内容・資金使途・借入額などによって実際の利率が変動することもありますので、申請時に担当窓口で最新の条件を必ず確認してください。
必要書類と申請先
この融資制度に申請する場合、申請先と提出する書類を事前に整理しておくことが重要です。申請窓口は、通常、市役所5階の「商業観光課」または「工業振興企業誘致課」となっています。訪問前には担当窓口の開庁時間・受付条件を確認しておくと安心です。
提出書類一覧
- 中小企業融資申込書
- 経営安定型融資要件調査書(売上減少要件関連)
- 売上高等を証する財務書類(最近3カ月・6カ月の月次試算表、売上帳簿、決算書など)
- 市税完納証明書(住民税・事業税・市民税など)
- 借入残高が確認できる書類(既存借入がある場合)
- 見積書(設備資金申請を含む場合のみ)
「中小企業融資申込書」「経営安定型融資要件調査書」は、市役所の公式ウェブサイトからダウンロードできることが多いです。申請前に取得し、事業内容・資金使途・返済計画を整理してから訪問・郵送すると手続きがスムーズです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 過去の融資がまだ残っていますが申請可能ですか?
はい、申請可能な場合があります。ただし、既存の借入残高・返済状況・自己資本率などが審査対象となります。返済負担が過大にならないかどうかを事前に整理しておくことが望ましいです。
Q2. 設備資金として車両購入は可能ですか?
はい、可能ですが車両の用途・車種には制限があります。例えば営業用車両や運搬車両など事業用途が明確なものは対象となりやすく、私用車や高級車などは対象外となることがあります。事前に窓口で用途の確認をしておくと安心です。
Q3. 必要書類はデジタル提出できますか?
現時点では、紙媒体での提出が基本となっている場合が多いです。郵送や窓口持参どちらでも可能ですが、郵送の際には返信用封筒・レターパックを同封するなどの配慮が必要です。事前に窓口に問い合わせて提出方法を確認してください。
Q4. 利率はどのように決まりますか?
制度上の上限は「年1.5%以内」とされていますが、実際の利率は申請時期、金融機関、借入額、事業内容および返済能力によって異なる場合があります。申請前に最新の利率情報を確認し、返済シミュレーションを行うことをおすすめします。
Q5. 売上減少が4%未満ですが申請できますか?
要件として「3%以上の減少」というラインが設けられていますので、4%未満の場合は対象外となる可能性があります。ただし、例外や特例制度がある場合もありますので、窓口で個別相談することが重要です。
まとめ|まずは現状確認から
経営安定資金(経営安定型)は、売上の減少という一時的な経営課題を乗り越えるために設けられた重要な制度です。特に、資金繰りの改善や事業の立て直しを図るタイミングでは、低利・長期返済といった公的融資の条件が大きな助けとなります。
「資金繰りに不安がある」「最近の売上が落ちてきた」「設備更新を含む再構築を考えている」と感じたら、まずは自社の売上推移をデータで確認して、制度の対象かどうかをチェックしてみてください。そして、申請準備は一人で抱え込まず、商工課・金融機関・専門家(税理士・行政書士・中小企業診断士など)に相談しながら進めることをおすすめします。
本制度を有効活用して、経営の安定と再成長への第一歩を踏み出しましょう。あなたの事業が一段と成長されることを心より願っております。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























