
AI事業の創業融資はどう審査される?無形ビジネスで公庫の融資を通すポイント
AIを活用したサービスで起業したいものの、「形のないビジネスで融資は受けられるのか」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。AI事業は在庫や大型設備を持たないことが多く、仕入等も発生しないことから、飲食店や小売店とは異なる難しさがあります。一方で、事業計画と将来性がしっかり伝われば、無形のサービス業でも融資が決定する事例は数多くあります。本記事では、AI・IT系サービスで起業する方に向けて、創業融資の基本と審査で重視されるポイントを、起業初心者にもわかりやすく解説します。なお融資制度や金利は変更されることがあるため、最新の条件は必ず日本政策金融公庫など公式情報で確認してください。
AI・IT起業の創業融資は「無形ビジネス」ならではの難しさがある
創業融資の審査では、「貸したお金がきちんと返ってくるか」が最大の関心事です。飲食店であれば、内装や厨房設備といった目に見える資産が残り、売上の見通しもイメージしやすいものです。これに対してAIサービスやSaaS、受託開発などの無形ビジネスは、次のような特徴から審査担当者にとって評価が難しい面があります。
- 担保になる資産が少ない:設備投資が小さく、形に残るものが少ない
- 事業内容が伝わりにくい:専門用語が多く、ビジネスモデルがイメージしづらい
- 売上が立つまで時間がかかることがある:開発期間や契約獲得までのリードタイムが読みにくい
裏を返せば、これらの「伝わりにくさ」を事業計画書と説明で解消できれば、審査担当者の不安は大きく下がります。無形ビジネスだからこそ、計画の説得力が結果を左右します。
創業融資の基本|日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金
創業時の資金調達先としてまず検討したいのが、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、原則として担保・保証人がなくても申し込める点が、資産の少ないAI事業と相性が良い制度です。
融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。なお、かつての「新創業融資制度」は2024年3月に廃止され、現在はこの制度に一本化されています。制度上は自己資金の明確な数値要件はなくなりましたが、実務では自己資金をどれだけ準備できているかが、本気度や計画性を示す材料として依然として重視されます。
AI事業の審査で重視される4つのポイント
1. 事業内容を専門用語なしで説明できているか
審査担当者は必ずしもITの専門家ではありません。「誰の、どんな課題を、AIでどう解決し、誰がいくら払うのか」を、専門用語に頼らず一言で説明できることが第一歩です。難しい技術の話よりも、ビジネスとして成立する仕組みが伝わるかどうかが見られます。
2. 収益モデルと売上根拠が具体的か
月額課金(サブスク)なのか、受託開発なのか、従量課金なのかといった収益モデルを明確にし、「単価 × 件数」で売上の根拠を示しましょう。「市場が伸びているから」といった一般論ではなく、自社が獲得できる顧客数の裏付けが求められます。
3. 経歴・実績との一貫性があるか
これまでの職務経験や開発実績が、起業する事業と結びついているかは大きな加点要素です。前職でのスキルや受注の見込み、すでにある引き合いなどは、返済能力を裏づける材料になります。
4. 自己資金と資金使途が明確か
いくらを何に使うのか(開発外注費、人件費、広告費、運転資金など)を具体的に示します。自己資金をコツコツ貯めてきた経緯は、計画性の証明として評価されます。
事業計画書で押さえるべきこと
無形ビジネスでは、事業計画書の完成度がそのまま審査結果に直結すると言っても過言ではありません。次の点を意識して作成しましょう。
- サービスの全体像を図やたとえ話で示し、専門外の人にも伝わるようにする
- 売上予測は楽観・標準・保守の複数シナリオで根拠とともに示す
- 開発から収益化までのスケジュールと、その間の運転資金を明確にする
- 競合と比べた強み、参入障壁、継続利用される理由を書く
「必ず借りられる」という制度はありません。だからこそ、返済の裏づけを丁寧に積み上げることが、無形ビジネスの融資成功の近道になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 自己資金がほとんどなくてもAI事業で創業融資は受けられますか?
A. 制度上は自己資金ゼロでも申し込めますが、実務では一定の自己資金があるほうが計画性を示しやすく有利です。自己資金が少ない場合は、その分、事業計画と売上根拠で補う必要があります。
Q. まだ売上が立っていない開発段階でも申し込めますか?
A. 創業前・創業直後でも申し込めます。ただし売上実績がない分、見込み顧客や契約予定、経歴との一貫性など、将来の返済能力を示す材料を揃えることが重要です。
Q. 担保がなくても大丈夫ですか?
A. 公庫の創業融資には担保・保証人を必要としない仕組みがあります。資産の少ないAI事業でも、計画次第で融資は十分に可能です。
まとめ
AIを活用したサービスでの起業は、担保資産が少なく事業内容も伝わりにくいため、創業融資では「いかに計画の説得力を高めるか」が勝負どころになります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を軸に、事業内容のわかりやすい説明、具体的な収益モデルと売上根拠、経歴との一貫性、明確な資金使途を揃えれば、無形ビジネスでも融資の道は十分に開けます。準備に不安がある場合は、創業融資に強い専門家に相談しながら、事業計画書を磨き上げていくことをおすすめします。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























