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コラム

個別指導塾フランチャイズの創業融資|加盟金とロイヤリティを踏まえた返済計画

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個別指導塾のフランチャイズ開業で加盟金は創業融資にどう扱われるか

個別指導塾のフランチャイズ(FC)加盟を検討していると、資料請求の段階で「加盟金」「保証金」「研修費」といった、独立開業では見慣れない費目が並びます。そして次に出てくる疑問が、 この加盟金は創業融資で借りたお金から払えるのかという点です。

FCと創業融資について書かれた記事は多いのですが、加盟金まわりの扱いや、FC加盟だからこそ誤解されやすい審査の考え方まで踏み込んでいるものは意外と少ないです。この記事では、個別指導塾のFC加盟で開業する方に向けて、費目ごとの資金の組み立て方、審査でつまずきやすい「実績」の考え方、そしてロイヤリティを織り込んだ返済計画の立て方を整理します。なお、融資制度の数字は執筆時点(2026年7月)の公表情報にもとづくものですので、申請の際は最新の情報をご確認ください。

個別指導塾のFC開業資金は何にいくらかかるのか

まず全体像を押さえます。各社が公開している加盟条件を見ると、個別指導塾のFC開業資金はおおむね500万〜800万円が目安とされています。内訳は次のような構成です。

  • 加盟金:100万〜300万円程度
  • 保証金:50万円程度(本部に預ける一時金)
  • 研修費:50万〜60万円程度
  • 教室関連費:300万〜400万円程度(物件取得費、内装、机・椅子、ホワイトボード、PC・タブレット等の ICT機器など)

金額はブランドや教室規模、地域によって大きく変わりますので、上記は目安として読んでください。個人で塾を開くより初期費用が高くなりやすいのは、この加盟金・保証金・研修費という本部に払う費用が乗るためです。

ここで押さえておきたいのは、費目の性格がそれぞれ違うということです。教室の内装やICT機器は形に残る設備ですが、加盟金や研修費は形に残らない支出です。同じ「開業に必要なお金」でも、資金計画上の見え方は変わってきます。

加盟金・保証金・研修費は資金使途としてどう扱われるか

結論からお伝えすると、個別の支出が資金使途として認められるかどうかは、案件ごとの個別判断になります。ここで「加盟金は必ず借入対象になります」と言い切っている記事があれば、少し慎重に読んだほうがよいです。

前提として、融資の資金使途はあくまで事業に必要な支出であることが求められます。そのうえで、判断のために大事になるのが金額の根拠を示せる状態にしておくことです。

  • 加盟契約書(または加盟条件が示された本部の資料)で、加盟金・保証金・研修費の金額と支払時期がわかる形にしておく
  • 教室の内装、机・椅子、ICT機器は、業者からの見積書で金額を裏づけられるようにしておく
  • 費目ごとに「何に、いつ、いくら払うのか」を一覧にして、資金計画と対応させておく

判断に迷う支出がある場合は、自己流で処理せず、申請先の窓口や専門家に確認しながら計画を整えることをおすすめします。FCは本部ごとに費用の設計が違うため、一般論だけで決め打ちしないほうが安全です。

支払いのタイミングと融資実行のタイミングがずれる

もうひとつ、FC開業で見落とされやすいのが時間軸のズレです。

FCの流れは、説明会や面談を経て加盟契約を結び、そこから研修に入り、物件を決めて教室を作る、という順番で進みます。一方で創業融資は、書類提出後おおむね3週間〜1か月で実行され、準備期間を含めると合計で2か月程度を見ておくのが安全な水準です。

つまり、加盟契約や研修費の支払いが、融資が実行される前に到来するケースがあるということです。ここを読み違えると、「融資が下りたら払う」つもりだった支出を、手元の自己資金で先に払うことになります。開業前の段階で自己資金が想定より減ると、面談時に説明できる自己資金額そのものが変わってしまいます。

本部との契約スケジュールと融資の申請スケジュールは、必ず並べて確認してください。逆算して、どの支出をどの資金で払うのかを先に決めておくことが、FC開業では特に効きます。

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FC加盟でいちばん誤解されやすい「実績」の話

ここが、この記事でもっともお伝えしたい点です。

FC加盟を検討している方から、「本部には長年の運営実績と成功事例があるので、審査は通りやすいはずだ」というお話をよく聞きます。ブランドの知名度や本部の生徒募集ノウハウは確かに事業の強みですが、審査で問われているのは本部の実績ではありません

審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。ここでいう実績は、申請者ご本人が事業として創業した経験の有無です。事業モデル(ブランド・業態)に実績があることと、ご本人に創業の実績があることは別の話として扱われます。

ですから、「本部のパッケージがあるので計画書は本部の資料で足りるだろう」という進め方は避けたほうがよいです。商圏の子どもの数、近隣の競合塾、想定できる生徒数と月謝、講師の採用計画といった要素を、ご自身の言葉と数字で説明できる状態にしておくことが必要になります。判断材料は事業計画書と自己資金のほかにもありますので、どれかひとつを揃えれば通るという考え方はしないでください。

業界未経験の場合はどう補うか

塾業界の経験がない状態でFC加盟する方も少なくありません。その場合、事業計画書のなかで経験不足をどう補うかが論点になります。

ここで注意したいのは、補い方として弱いパターンがあることです。「同業のメンターから定期的に助言を受けている」「経理や専門技術は業務委託でプロに任せている」といった対策は、経営そのものへの関与としては弱く、有効なカバー策とは言えません。

より説得力を持たせるには、事業経験者を役員として迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整えることが有効です。FCの場合は本部の研修やスーパーバイザーの支援があることも事実ですが、それを「自分の関与の代わり」として説明するのではなく、自分が運営の主体であることを前提に組み立ててください。

必要書類に「法定開示書面」は入りません

FC創業融資の解説記事でよく見かける誤りをひとつ挙げておきます。必要書類として「法定開示書面(フランチャイズ・ガイドラインに基づく重要事項説明書)」を挙げている記事です。

法定開示書面は、FC本部が加盟希望者に交付する書類であって、公庫融資の申請に必要な書類ではありません。加盟の判断材料として非常に重要な書類ですので必ず読み込んでいただきたいのですが、融資の必要書類リストに混ぜて考えると準備の優先順位を取り違えます。

融資側で中心になるのは、創業計画書、自己資金のエビデンス、設備等の見積書、本人確認書類などです。加盟契約書は金額の根拠を示す資料として役に立ちますが、法定開示書面とは役割が違うものとして整理しておいてください。

公庫の創業融資の基本条件を確認する

制度名は「新規開業・スタートアップ支援資金」

創業時の代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、個別指導塾1教室の開業資金は十分にカバーできる範囲に収まります。

制度名には注意してください。2024年3月までは「新規開業資金」という名称で、2024年4月に「新規開業・スタートアップ支援資金」へ改称・拡充されました。また、無担保・無保証の特例だった「新創業融資制度」は2024年3月に廃止されています。FC融資の解説記事で「新創業融資制度」を現役の制度として紹介しているものは、情報が更新されていないと判断できます。

金利・据置期間・返済期間

2026年6月1日現在の基準利率は、創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき年3.45〜5.15%です。創業期の方が利用する場合は、原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。なお「雇用の拡大を図る場合」は対象者の区分ではなく、引下げ幅が大きくなる条件にあたります。実際の適用可否は利用する融資制度・審査・条件によって異なりますので、詳細は申請先でご確認ください。

創業期の方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。返済期間は、新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の例として、設備資金が20年以内、運転資金が原則10年以内、いずれも据置期間は5年以内とされています。据置期間中は利息のみの支払いになります。

ロイヤリティを織り込んだ返済計画にする

個別指導塾のFCでもう一段考えておきたいのが、ロイヤリティです。相場としては1か月あたり売上の10%程度とされることが多く、これは開業後ずっと続く負担になります。

独立開業なら「毎月の返済+固定費」で考えるところを、FC加盟では毎月の返済+固定費+ロイヤリティで考える必要があります。個別指導塾は開校直後から満席になる業態ではなく、生徒が学期の切り替わりごとに積み上がっていく形になりますので、立ち上がり期間の設計が特に重要です。

ここで効いてくるのが据置期間です。据置期間中は元金の返済が止まり利息のみの支払いになりますので、生徒数が積み上がるまでの数か月から1年程度を、ロイヤリティと固定費に集中できる形にできます。据置を何か月に設定するかは、生徒数の立ち上がり見込みと合わせて決めてください。

「加盟金が安いFC」が有利とは限らない

加盟条件を比較していると、加盟金が抑えられているブランドが魅力的に見えます。ただし、加盟金が安い代わりにロイヤリティ率が高く設定されているケースもあります

加盟金は開業時の一度きりの支出で、融資で調達すれば返済期間に分散されます。一方ロイヤリティは売上に比例して毎月かかり続けます。教室が伸びればロイヤリティの絶対額も増えていきますので、数年単位で見ると、初期費用の差は逆転しうるということです。

比較するときは、加盟金・保証金・研修費という初期費用の合計と、ロイヤリティ率を分けて並べ、開業3年目・5年目の想定売上でどちらの負担が重いかを試算してみてください。融資の申請でも、この試算が返済計画の説得力につながります。

自己資金はどう考えるか

自己資金については、制度上、額や割合の要件は決まっていません。旧「新創業融資制度」にあった自己資金1割といった固定要件は、現行制度にはありません。ただし自己資金の額は審査の重要な判断材料になりますので、多いほど有利になりやすいと考えてください。

自己資金は、面談の時点で口座に確認できる形にしておきます。あわせてみなし自己資金も整理しておきましょう。創業前に自費で取得した資格や、先に購入した備品、テストマーケティングにかかった費用などは、一定の範囲で自己資金として評価されることがあります。領収書は必ず保管しておいてください。FC加盟の準備段階で自費で払った費用がある場合は、記録を残しておく価値があります。

V-Spiritsのフランチャイズ支援実績

V-Spiritsグループは、これまでに712件(2026年6月時点)の創業融資を支援してきました。そのうちフランチャイズ支援は85件(構成比11.9%)で、飲食・美容関連に次ぐ規模になっています。FC特有の費用構造や本部との契約スケジュールを踏まえた資金計画の組み立ては、この積み上げのなかで蓄積してきた領域です。

よくある質問

Q. 加盟金は自己資金で払うべきでしょうか、融資で賄うべきでしょうか

どちらが正解と決まっているものではなく、資金全体のバランスと支払時期から逆算して決める話になります。ポイントは2つです。ひとつは、加盟契約の支払期日が融資実行より前に来る場合があること。もうひとつは、自己資金の額が審査の判断材料になるため、手元の自己資金をどこまで先に使うかは全体設計に影響することです。個別の支出をどう扱うかで迷う場合は、申請先や専門家に確認しながら決めてください。

Q. 保証金は本部に預けるお金なので、返ってくる前提で計画してよいですか

返還の有無や条件、返還までの期間は、本部との加盟契約の内容によって異なります。契約書の該当条項を確認したうえで、返還を前提にした資金計画にするかどうかを判断してください。返還時期が読めない場合は、返ってこない前提で組んでおくほうが資金繰りは安全側に振れます。

Q. 塾業界で働いた経験がなくても融資は受けられますか

経験がないこと自体で判断が決まるわけではありませんが、事業計画書のなかで経験不足をどう補うかが論点になります。事業経験者を役員に迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整える方向で補うのが有効です。本部の研修制度があること自体は事実として書けますが、それだけを根拠にせず、ご自身が運営の主体である前提で計画を組んでください。

Q. 2教室目を出すときも創業融資が使えますか

創業融資は創業期の方を対象とした制度です。事業開始後に税務申告を2期終えていない段階であれば創業期として扱われますが、それを過ぎている場合は通常の融資として、1教室目の運営実績をもとに検討することになります。1教室目の返済が続いている状態での追加借入になりますので、返済の重なりを含めた資金計画が必要です。

まとめ

個別指導塾のFC開業では、加盟金100万〜300万円、保証金50万円程度、研修費50万〜60万円という本部への費用が、教室関連費に上乗せされます。これらが資金使途としてどう扱われるかは個別判断になりますので、加盟契約書や見積書で金額の根拠を示せる形にし、判断に迷う支出は申請先や専門家に確認してください。

審査で問われるのは本部の実績ではなく、ご本人が事業として創業した実績の有無です。事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されますので、商圏や生徒数の見立てを自分の言葉で説明できる状態にしておくことが必要です。また、FC融資の必要書類に法定開示書面は入りません。役割の違う書類として整理しておいてください。

そして加盟金の安さだけでブランドを選ず、ロイヤリティ率と合わせて数年単位で負担を比較する。返済とロイヤリティが同時にかかる構造を前提に、据置期間で立ち上がり期間を支える。この設計ができていれば、開業後の資金繰りは大きく安定します。融資制度の数字はいずれも執筆時点(2026年7月)の情報ですので、申請時は日本政策金融公庫の最新の公表情報をご確認ください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。


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