
フィットネスジムのFC加盟金は創業融資に含められるのか|費目別に見る資金使途と返済期間
フィットネスジムをフランチャイズで開業するとき、最初にまとまった支出になるのが本部へ支払う加盟金です。マシンや内装の見積もりは業者から出てきますが、加盟金は契約書の中の一行として提示されるため、「これは融資の対象になるのだろうか」と迷う方が多い費目です。
結論から言えば、事業に必要な支出であれば資金使途として説明できます。ただし本当に効いてくるのは「含められるか」ではありません。その費目を設備資金と運転資金のどちらに置くかで、返済期間が2倍近く変わるという点です。この記事では、FC開業時に本部へ支払うお金を分解し、返済負担がどう動くかを数字で見ていきます。
なお本文の制度・数字は執筆時点(2026年8月)のもので、日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」を利用する場合の内容です。申請時は最新の公式情報をご確認ください。
本部へ支払うお金は、性格の違う費目の集まりです
「加盟金」とひとくくりにされがちですが、FC契約で開業前後に発生する支払いは、性格の異なる複数の費目に分かれています。
- 加盟金:ブランド使用や開業支援の対価として、契約時に支払うもの
- 保証金:契約上の担保として預けるもの。契約終了時の取り扱いは契約内容によります
- 研修費:開業前に受ける本部研修の費用
- 広告分担金・システム利用料:開業後に継続して発生するもの
- 開業前の準備費用:物件取得、内装、マシン、初期の販促など
このうち、開業後に毎月かかっていくものは、開業時の資金計画ではなく月次の収支に置くのが自然です。逆に、契約時に一括で出ていくものは、開業資金として資金調達の対象に入ってきます。まずこの仕分けをしないまま「加盟金は融資に含まれますか」と考えても、答えが定まりません。
💬 執筆者の多胡から一言
公庫で支店長をしていたころ、減額の理由は大きく2つに分かれていました。資金使途の妥当性と、資金調達の代替性です。加盟金のように契約で金額が決まっている費目は動かしようがありませんが、その周りにある内装や什器は動きます。必要なものだけを緻密に見積もっておくと、全体の説明が通りやすくなります。
設備資金か運転資金かで、返済期間は2倍変わります
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合、返済期間は資金使途によって次のように分かれます。
- 設備資金:返済期間20年以内/据置期間5年以内
- 運転資金:返済期間は原則10年以内/据置期間5年以内
融資限度額は7,200万円で、そのうち運転資金は4,800万円です。ここで押さえておきたいのは、同じ金額を借りても、置く区分によって月々の返済額が変わるという構造です。
たとえば本部への支払いが合計300万円だったとして、利息を除いた元金部分だけを単純に割ると、20年(240か月)なら月あたり約1万2,500円、10年(120か月)なら月あたり約2万5,000円になります。実際には利息が加わり、返済期間は審査と条件で決まりますので目安に過ぎませんが、区分の違いがそのまま毎月のキャッシュフローの差になることは分かります。
ジムは会員数が積み上がるまで売上が伸びにくい業態です。開業直後の月々の負担が1万円単位で変わることは、資金繰りの余裕に直結します。加えて据置期間を5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いになりますので、この2つを組み合わせて設計することになります。
どの費目をどちらの区分に置くかは、支出の性格と事業の実情によって変わります。判断に迷う部分は、自己判断で決めずに申請先や専門家に確認しながら組み立ててください。なお、加盟金の会計上・税務上の取り扱いは融資の資金使途とは別の話になりますので、そちらは税理士にご相談ください。
FC加盟の融資でよく見かける3つの誤解
誤解1:法定開示書面が融資の必要書類だと思っている
法定開示書面(フランチャイズ・ガイドラインに基づく重要事項説明書)は、FC本部が加盟希望者に交付する書類であって、公庫融資の申請に必要な書類ではありません。融資側で中心になるのは、創業計画書、自己資金のエビデンス、見積書、本人確認書類などです。必要書類の一覧に混ざっていることがありますが、別の話として整理しておいてください。
誤解2:本部の実績が自分の実績として評価されると思っている
審査で問われるのは、本人が事業として創業した実績の有無です。FCはブランドや業態としての実績が本部側にありますが、それは申込者本人の創業実績とは別のものです。もっとも、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されますので、実績がないこと自体が申し込みを妨げるわけではありません。
また、創業融資だからといって決算書をまったく見ないわけでもありません。新しく設立した会社であっても一期でも決算が締まっていればその決算書が確認されますし、代表者が別に会社を経営している場合はその会社の決算書も確認の対象になります。
誤解3:自己資金は総額の何割と決まっていると思っている
制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。かつての新創業融資制度にあった自己資金の要件は、同制度が2024年3月に廃止されたことでなくなっています。ただし自己資金の額は審査の重要な判断材料で、多いほど有利になりやすい点は変わりません。面談の時点で口座に確認できる形にしておくのが基本です。
💬 執筆者の多胡から一言
加盟金や研修費は、それ自体が何かを生み出す設備ではないので、効果を数字で見せにくい費目です。審査する側から見ると、この投資でどれだけ売上が上がり収益がどれだけ出るのかまで書かれているかで、受け取り方が変わります。製造業の機械のように生産能力で示せない分、本部の標準モデルをそのまま貼らず、自分の商圏の数字に置き直しておくことになります。
支払いのタイミングと融資実行のズレをどう埋めるか
FC加盟でつまずきやすいのが時間軸です。加盟金は契約時に支払いが発生する一方、融資は書類提出後おおむね3週間から1か月で実行されます。創業計画書や自己資金のエビデンス、見積書をそろえる準備期間を含めると、合計で2か月程度を見込んでおくのが安全です。
契約を先に進めてしまうと、支払いが融資実行より前に来ます。手元資金から立て替えることになれば、その分は開業後の運転資金が薄くなります。加盟の意思が固まった段階で、契約日と融資の申し込み時期を同じカレンダーの上に置いて逆算するのが実務的な進め方です。
なお、創業前に自費で取得した資格・設備や備品の購入、テストマーケティングの費用などは、みなし自己資金として一定範囲で評価されることがあります。領収書を必ず保管しておいてください。
金利と引下げの目安
2026年6月1日現在の基準利率は、創業期(税務申告を2期終えていない時期)に利用する場合で年3.45〜5.15%です。創業期の方が利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性がありますが、適用可否は利用する制度や審査・条件により異なるため、必ず下がると考えず申請先で確認してください。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いとなります。
よくある質問
フランチャイズだと審査が厳しくなりますか
FCであること自体で審査の基準が変わるという整理はされていません。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。本部から示される標準的な収支モデルをそのまま提出するのではなく、出店予定の商圏に置き換えた数字で説明できる状態にしておくことが実務上の要点になります。
すでに1店舗を運営していて、2店舗目をFCで出す場合も創業融資ですか
創業期の方とは、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を指します。すでに2期を終えている場合は、創業期の枠ではなく通常の融資として検討することになります。どちらに当たるかは申告の状況で決まりますので、まずそこを確認してください。
まとめ
フィットネスジムのFC加盟金は、事業に必要な支出であれば資金使途として説明できます。ただし判断の中心は「含められるか”ではなく、本部へ支払うお金を費目ごとに分解し、設備資金と運転資金のどちらに置くかを決めることです。設備資金は20年以内、運転資金は原則10年以内という返済期間の差が、開業直後の月々の負担にそのまま表れます。
あわせて、法定開示書面を融資の必要書類と取り違えないこと、本部の実績と自分の創業実績を分けて考えること、契約日と融資実行のタイミングを逆算しておくことの3点を押さえておくと、準備の順番が整理しやすくなります。V-Spiritsグループの創業融資支援は712件(2026年6月時点)で、そのうちフランチャイズ支援は85件・11.9%を占めます。判断に迷う部分は、ひとりで抱えずご相談ください。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























