
Web制作・IT系の創業融資を通すための5つのコツ|審査で見られるポイントを解説
「パソコン1台で始められるから資金はあまり要らない」と思われがちなWeb制作・IT系の起業。ところが、いざ創業融資を申し込もうとすると「設備投資が少ない」「自己資金が貯まりにくい」「形のあるものを売る商売ではない」といった理由で、審査のハードルを感じる方が少なくありません。本記事では、Web制作・システム開発・IT系で独立する個人事業主・中小企業の方に向けて、創業融資を通しやすくするための5つのコツを、審査で見られるポイントとあわせて解説します。なお、金利や融資限度額などの具体的な条件は変わることがあるため、申込み前に必ず日本政策金融公庫など各機関の最新情報を確認してください。
Web制作・IT系の創業融資が「難しい」と言われる理由
IT・Web系の事業は、製造業や飲食店のように大きな設備を必要としないことが多く、「何にお金を使うのか」が金融機関に伝わりにくい特徴があります。また、在宅・少人数で始められるぶん自己資金が小さくなりがちで、無形のサービスは売上の根拠を示しづらいという面もあります。とはいえ、これらは工夫次第で十分にカバーできます。難しいとされる理由を裏返せば、そのまま準備すべきポイントになります。
コツ1|自己資金を計画的に準備する
創業融資では、自己資金の額そのものだけでなく「どうやって貯めてきたか」も見られます。毎月コツコツ貯めてきた通帳の履歴は、計画性と本気度を示す材料になります。逆に、申込み直前に一時的に口座へ入金された資金(いわゆる見せ金)は、評価につながりにくいだけでなくマイナスに働くこともあります。IT系は初期費用が小さいぶん自己資金も少額になりがちですが、可能な範囲で計画的に準備しておくことが、融資全体の信頼性を高めます。
コツ2|これまでの実務経験・スキルを示す
IT・Web系の創業では、代表者本人のスキルと実務経験が事業の柱になります。前職での制作実績、担当したプロジェクトの規模、保有資格やポートフォリオなどは、「この人なら事業を回せそうだ」と判断してもらうための重要な材料です。同じ業界での経験年数が長いほど、計画の説得力は増します。経験を客観的に示せる資料を、事業計画書に添えて準備しましょう。
コツ3|受注見込み・取引先を具体的に示す
無形サービスのIT・Web系では、「本当に売上が立つのか」が審査の最大の関心事です。すでに受注が見込める取引先がある、前職からの引き合いがある、業務委託の継続が決まっているといった具体的な見込みは、計画の現実味を一気に高めます。可能であれば、見積書・発注書・基本契約書・取引予定先からのメールなど、客観的に裏づけられる資料を用意しましょう。口頭の見込みだけよりも、紙やデータで示せるかどうかが差になります。
コツ4|数字の根拠がある事業計画書を作る
「月商○○万円を目指します」という数字だけでは、金融機関は判断できません。単価×件数×稼働率といった積み上げで売上を組み立て、その前提を説明できるようにしておくことが大切です。たとえば「1件あたりの制作単価が○万円、月に何件受注できる見込みで、その根拠は前職の実績と問い合わせ状況」といった形です。経費や生活費も含めた資金繰りを月単位で示し、借入金をどのスケジュールで返済するのかまで落とし込めると、計画の完成度が大きく上がります。
コツ5|自社に合った融資制度を選ぶ
創業期の代表的な選択肢が、日本政策金融公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金など)です。創業間もない時期でも申し込みやすい制度として広く使われています。このほか、自治体と金融機関・信用保証協会が連携する制度融資も選択肢になります。どの制度が自社の状況に合うか、必要書類や申込みの流れは制度ごとに異なるため、早めに情報を集めて準備を進めましょう。なお「必ず借りられる」という制度はなく、審査は事業計画と返済可能性をもとに行われます。
よくある質問
自己資金がほとんどなくても創業融資は受けられますか
自己資金が少ないと審査では不利になりやすいものの、実務経験や受注見込み、計画の精度でカバーできる余地はあります。一概に「不可能」ではありませんが、準備の丁寧さがより重要になります。
設備投資が少ないと借りられる金額も少なくなりますか
IT・Web系は設備資金より運転資金(当面の生活費や外注費など)が中心になります。運転資金の必要額を具体的に積み上げて示すことで、必要な範囲の融資を相談しやすくなります。
事業計画書は自分で作るべきですか、専門家を頼るべきですか
自分の言葉で事業を語れることが前提ですが、数字の組み立てや見せ方には専門的なコツがあります。不安があれば、創業融資に詳しい専門家のサポートを受けながら作り込むのも有効です。
まとめ
Web制作・IT系の創業融資は、設備が少なく無形サービスである分「難しい」と感じられがちですが、ポイントを押さえれば十分に道は開けます。鍵となるのは、(1)計画的な自己資金、(2)実務経験・スキルの提示、(3)受注見込みの具体化、(4)数字の根拠がある事業計画書、(5)自社に合った融資制度の選択、の5つです。いずれも「事業として成り立つことを、根拠をもって示す」という一点に集約されます。準備に不安がある場合は、融資に詳しい専門家に相談しながら進めることで、採択の可能性を高めやすくなります。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























