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コラム

複合加工機に補助金は使える?2026年度の制度統合と、工程集約で対象外になる条件

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複合加工機の補助金は「工程集約」で判定が変わる|2026年度の制度と数字の読み方

旋盤とマシニングセンタで分けていた工程を1台にまとめる複合加工機は、1台で数千万円になることも珍しくない設備です。「これだけの金額なら、ものづくり補助金が使えるのではないか」と考えて情報を探すと、多くの記事が「対象になります」と書いています。

ところが実際に公募要領を開くと、複合加工機の導入でよく語られる導入目的が、そのまま対象外の規定に当たってしまう構造があります。しかも2026年度は制度そのものの名前が変わりました。この記事では、従業員十数名規模の機械加工業を想定して、制度名の現在地・対象判定の分かれ目・数字の読み方の3点を整理します。数字はすべて2026年度第1回公募の公募要領1.0版(令和8年6月)を根拠にしています。

「ものづくり補助金」という単独の制度は2026年度にありません

最初に用語を合わせます。2026年度(令和8年度)から、ものづくり補助金と新事業進出補助金は統合され、公募要領上の正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。かつて別々の制度として説明されていた2つが、いまは同じ制度の中の枠という関係です。

枠は次の3つです。

  • 革新的新製品・サービス枠
  • 新事業進出枠
  • グローバル枠

「複合加工機 ものづくり補助金」で検索して出てくる解説の多くは、統合前の制度を前提にしたまま更新されていません。上限額や要件がそのまま残っている記事も見かけます。読者側の言い方としては「ものづくり補助金」で通じますが、申請書や事務局とのやり取りでは枠の名前まで特定しないと話が噛み合いません。以下では、複合加工機の候補になる革新的新製品・サービス枠と、別系統の中小企業省力化投資補助金(一般型)を軸に見ていきます。

複合加工機の導入目的が対象外規定に当たりやすい理由

革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力等を活かして顧客等に新たな価値を提供する新製品・新サービスを開発する取組を支援する枠です。そのうえで、公募要領には対象外になる取組が明記されています。

  • 単なる設備・システム導入
  • 既存製品・サービスの生産等プロセス改善
  • 同業で既に相当程度普及している新製品・新サービスの開発

複合加工機を検討する理由として最初に挙がるのは、たいてい「2工程を1工程にまとめて段取り替えを減らしたい」「工程間の仕掛品の滞留をなくしたい」という内容です。これは今つくっている部品を、より少ない工程でつくるという話ですから、2つ目の既存製品・サービスの生産等プロセス改善に正面から当たります。設備の値段が大きいかどうかとは関係なく、この枠では入口で外れます。

3つ目の条件も見落とされがちです。複合加工機そのものは工作機械として広く普及していますので、「複合加工機を導入して精度を上げます」という書き方は、同業で既に相当程度普及している取組と受け取られやすくなります。

逆に、この枠に乗せられる可能性があるのは、複合加工機を手段としてこれまで受けられなかった形状・材質・精度の部品を新しく開発するケースです。判定の対象は機械ではなく、その機械で何を新しく生み出すのかという計画の中身になります。設備の導入それ自体が目的の書き方になっていないかどうかが、最初の分かれ目です。

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補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

数字で見る①:上限3,500万円は「最大規模+特例」の値です

多くの記事が上限額として3,500万円という数字を挙げていますが、これは誰でも届く金額ではありません。革新的新製品・サービス枠の補助上限は、従業員規模で次のように変わります。

  • 従業員1〜5人:750万円
  • 従業員6〜20人:1,000万円
  • 従業員21〜50人:1,500万円
  • 従業員51人以上:2,500万円

大幅賃上げ特例を適用すると、それぞれ850万円・1,250万円・2,500万円・3,500万円まで引き上がります。つまり3,500万円は、従業員51人以上かつ特例を適用した場合の最大値です。従業員十数名の会社であれば6〜20人の区分にあたり、基本は1,000万円、特例を使って1,250万円という水準になります。

補助率は中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者・再生事業者と地域別最低賃金引上げ特例の適用時が3分の2です。従業員十数名で補助率2分の1のとき、上限1,000万円に届かせるには補助対象経費が2,000万円必要になります。複合加工機1台の見積もりがこの水準を超えていても、補助されるのは上限までですので、自己負担の実額は競合記事が示す印象とかなり違ってきます。

なお大幅賃上げ特例は、給与支給総額の年平均成長率6.0%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賴金より50円以上高い水準にすることの両方が条件です。上限を引き上げる代わりに、達成できなかった場合は返還がありうる約束を背負う仕組みだと理解しておく必要があります。

数字で見る②:補助下限100万円と、下から外れるケース

上限と同じくらい見落とされるのが下限です。革新的新製品・サービス枠には補助下限100万円があります。補助率2分の1なら、補助対象経費が200万円ないと枠に乗りません。複合加工機本体を入れる計画であればまず問題になりませんが、周辺の治具や測定具だけを申請しようとすると下から外れます。

もう1つの枠である新事業進出枠は、補助下限が750万円です。補助率2分の1で計算すると、補助対象経費1,500万円規模の投資がないと下限に届きません。従業員20人以下の補助上限は2,500万円(特例適用時3,000万円)で、建物費が対象経費に入るのはこの枠だけという特徴もあります。ただし新事業進出枠は、既存事業と異なる新市場への進出が主軸の枠ですので、既存の受託加工を効率化する複合加工機の導入とは目的がずれます。新規設立や創業1年未満の事業者は対象外という条件もあります。

機械装置・システム構築費については、単価10万円(税抜)以上という要件があります。この経費区分が必須かつ主軸で、汎用パソコン・スマートフォン・車両・家賃・建物の単なる購入などは対象外です。

省力化投資補助金(一般型)に寄せる場合は「1台導入」の壁があります

工程集約による省力化が目的なら、中小企業省力化投資補助金(一般型)のほうが制度の主題に合います。こちらは既存事業の省力化・生産性向上が主題で、補助上限は1億円です。

ただしこの制度には、金額とは別の関門があります。設備投資の要件として単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れる必要がありますが、それを満たしても単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外とされています。対象になるのはオーダーメイド性のある設備で、判定は次のいずれかに該当するかで行われます。

  • 省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出す場合
  • 事業者の導入環境に応じて、周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合

複合加工機を1台だけ買って据え付ける計画は、この判定でいう単体導入に読まれやすい形です。ローダーやロボットによるワークの供給・取り出し、ツールプリセッタや工具管理システム、加工実績を吸い上げる仕組みまでを含めて、自社のレイアウトに合わせた構成として組み立てられているかどうかが見られます。機種選定より先に、工程のどこからどこまでを1つの構成として組むのかを決める作業が要ります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

よく受ける質問が「機械と一緒に買うものはどこまで入りますか」でした。パソコンなどの汎用品は基本的に補助金の対象になりません。複合加工機の見積書には工具や測定具、CAM用の端末が同じ一式として並ぶことがありますので、費目ごとに分けたうえで、どこまでが機械装置・システム構築費なのかを先に切り分けておくと、その後の相談が早く進みます。

数字で見る③:付加価値額+4.0%を複合加工機の何から出すか

どちらの制度を選んでも、事業計画では成長率の目標を立てます。革新的新製品・サービス枠は付加価値額の年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にすること、が基本要件です。省力化投資補助金(一般型)は労働生産性の年平均成長率4.0%以上が要件になります。

複合加工機でこの数字を組むとき、加工時間そのものの短縮だけを根拠にすると計画が薄くなりがちです。工程集約の効果は、加工中ではなく加工していない時間に出るためです。根拠として拾える要素を挙げます。

  • 段取り替えの回数と時間:2工程を1工程にまとめると、段取り替えの回数そのものが減ります。1回あたりの時間と月間の回数で積み上げます
  • 工程間の運搬と仕掛品の滞留:旋盤からマシニングセンタへ運んで待たせていた時間は、リードタイムとして数字にできます
  • 芯出し・段取り精度に起因する手直しと不良:ワークを掴み直す回数が減ることで変わる部分です
  • 人の再配置:2台に張り付いていた人員をどこへ動かすのかを、省力化の効果として具体的に書きます

賃上げの要件は、補助金を受けた設備の周辺だけでなく会社全体で背負う約束です。革新的新製品・サービス枠も省力化投資補助金(一般型)も、未達の場合は返還が発生しうる制度です。投資の効果と賃上げの原資が計画の中でつながっているかを、申請時期を決める前に社内で確認しておく必要があります。

申請前に確認しておく共通の落とし穴

制度をまたいで共通する注意点を整理します。

  • 交付決定前の発注・契約・購入は対象外です。工作機械は納期が長く、商談が先に進みやすい設備ですので、内示や口頭の発注も含めて順番を守る必要があります
  • 事業計画は申請者自身が作成します。外部への丸投げは不採択や取消の対象とされています
  • 国や公的制度との二重受給はできません。同じ経費を複数の補助金に載せていないか確認します
  • 電子申請にはGビズIDプライムが必要です。取得には時間がかかりますので、公募開始を待たずに準備できます
  • 補助事業の実施期間は、革新的新製品・サービス枠で交付決定日から10か月以内(ただし採択発表日から12か月以内)です。長納期の機械では実施期間内に据付と検収まで終えられるかを確認します

2026年度第1回公募のスケジュールは、公募開始が2026年6月29日、申請の締切が2026年9月30日18時、採択発表が2026年12月頃です。回次によって要件が改訂されることがありますので、申請時点の公募要領で最新の内容を確認してください。また、設備投資に伴う税務上の取扱いについては税理士へご相談ください。

まとめ

複合加工機と補助金の関係を、この記事では次のように整理しました。

  • 2026年度から制度は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に統合され、枠まで特定して考える必要があります
  • 工程集約による効率化は、革新的新製品・サービス枠の「既存製品・サービスの生産等プロセス改善」に当たりやすく、金額の大小とは別の理由で外れます
  • 上限3,500万円は最大規模かつ特例適用時の値で、従業員6〜20人であれば1,000万円(特例で1,250万円)が目安です。補助下限100万円という下側の線もあります
  • 省力化が主目的なら中小企業省力化投資補助金(一般型)が制度の主題に合いますが、1台の単体導入は対象外で、構成としてのオーダーメイド性が問われます
  • 成長率の要件は、加工時間ではなく段取り替え・運搬・滞留・人の再配置から積み上げると計画に落とし込みやすくなります

どの枠で申請するかは、機械の型番ではなく投資の目的と規模で決まります。自社の計画がどちらに寄っているか判断がつきにくい場合は、見積もりを取る前の段階でご相談ください。本記事の内容は2026年8月時点の公募要領に基づくものです。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
お問い合わせフォーム https://v-spirits.com/contacts

三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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