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コラム

太陽光施工へ進出する建設会社が使える補助金|新事業進出に該当するかの判定基準

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太陽光発電の施工に参入する建設会社が、補助金の前に確かめる新規性の条件

屋根・板金・外装の工事を続けてきた会社が、太陽光発電設備の設置施工を新しい柱にしようと考えたとき、まず調べるのが補助金です。ところが「太陽光 補助金」で出てくる情報のほとんどは、パネルを載せる側、つまり施主や自家消費を目的とする事業者に向けた制度の一覧です。施工サービスを提供する側が参入時に使う制度は、そこには並んでいません。

施工側が候補にするのは、経済産業省・中小企業庁系の事業者向け補助金です。そしてこの領域では、機材の見積を集める前に「太陽光施工は自社にとって新しい事業といえるのか」という判定が最初の関門になります。この記事では、その判定基準を質問形式で切り分けながら、金額のレンジや事業者の条件までを整理します。記載は2026年8月時点の情報です。

参入時に軸になる制度は2つです

施工事業への進出という文脈で軸になるのは、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の2つの枠です。

  • 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出が対象
  • 革新的新製品・サービス枠:革新的な新製品・新サービスの開発を伴う投資が対象

これ以外の制度は、参入という目的とは方向が違ってきます。中小企業省力化投資補助金(一般型)は既存事業の省力化・生産性向上が主題ですので、新しい事業を始める投資が主役だと制度選択として無理が出ます。省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)は、自社が使う設備を省エネ化・非化石化する投資を支援する制度で、施工サービスを他社に提供するための投資とは目的が異なります。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、施工管理や見積のシステム側を整える場面で候補になります。

Q1. 屋根工事をしてきた会社にとって、太陽光施工は「新市場」になりますか

ここが最初の関門です。新事業進出枠で補助対象になるには、新たに製造・提供する製品等が申請者にとって新規性を有し、かつその市場が申請者にとって新たな市場である必要があるとされています(公募要領1.0版・令和8年6月 p.7)。日本初・世界初である必要はなく、あくまで申請者にとっての新規性です。

気をつけたいのは、この判定が二段構えになっている点です。製品・サービスが新しいだけでは足りず、売る先の市場も新しいかどうかが問われます。公募要領では、既存事業と同一市場、既存製品の増産・再製造、単なる製法変更、単なるメニュー追加、単に商圏が違うだけといった内容は「新事業進出」に該当しないと整理されています。

屋根の改修工事で付き合ってきた同じ工務店・同じ管理会社に、屋根工事の一環として太陽光の設置を足すという組み立てだと、既存市場の延長と読まれる余地が残ります。逆に、これまで取引のなかった自家消費型の設備を検討する事業所や、EPCの元請として発電事業者に対して提供するといった形であれば、市場が変わる説明が立てやすくなります。

Q2. 「新市場」で押し切れないときは、どうすればよいですか

新事業進出枠の審査では、「新市場性」(社会的に普及・認知度が低い)または「高付加価値性」(同分野で高水準の高付加価値化・高価格化)のいずれかで新規事業として筋が通るかが山になるとされています(公募要領 p.42)。新市場性で押しにくい場合は、高付加価値性で組み立てることになりますが、その場合は相場との比較と、価値の源泉の説明が必要です。

もう一つの選択肢が革新的新製品・サービス枠です。ただし、こちらには太陽光施工と相性の悪い規定があります。公募要領では、単なる設備・システム導入、既存製品・サービスの生産プロセス改善に加えて、同業ですでに相当程度普及している新製品・新サービスの開発は対象外とされています(p.6)。太陽光の設置施工そのものは建設業界で広く行われているため、「太陽光施工を始めます」という説明のままでは、この規定に触れやすくなります。

この枠を使うのであれば、施工そのものではなく、たとえば特定の屋根形状や既存構造物に対する架台・工法の開発、点検から施工までを一体で提供する仕組みの構築など、自社の技術で何を新しく作るのかを説明できる形に落とし込む必要があります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

審査する側にいたころ、書き手が誰かは文章の細部に出ていました。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領では、事業計画は申請者自身が作成することとされ、外部への丸投げは不採択や取消の対象と明記されています。支援者に相談すること自体が妨げられているわけではありませんので、施工体制と数字をご自身の言葉で説明できる状態にしてから、書き方の相談に進む順番だと無理がありません。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

Q3. 投資額はいくらから枠に乗りますか

制度には補助下限が設定されており、投資が小さいと入口で外れます。

  • 新事業進出枠:補助下限750万円。補助上限は従業員規模別で、1〜20人2,500万円/21〜50人4,000万円/51〜100人5,500万円/101人以上7,000万円(大幅賃上げ特例の適用時は各3,000/5,000/7,000/9,000万円)。補助率は中小企業者2分の1(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は3分の2)。この枠だけは建物費も対象経費になります(建物の単純購入・賃貸は対象外)
  • 革新的新製品・サービス枠:補助下限100万円。補助上限は1〜5人750万円/6〜20人1,000万円/21〜50人1,500万円/51人以上2,500万円(大幅賃上げ特例の適用時は各850/1,250/2,500/3,500万円)。補助率は中小企業者2分の1、小規模企業・小規模事業者・再生事業者は3分の2

補助下限は「補助金として受け取る額」の下限です。新事業進出枠で補助率2分の1なら、補助対象経費で1,500万円規模の投資が必要になる計算になります。高所作業車、施工用の工具・治具、資材置き場や倉庫の整備、施工管理システム、施工要員の技術習得までを一つの事業として束ねられるかどうかで、この枠に届くかが変わります。上限額は最大の従業員規模と特例を適用した場合の数字ですので、自社の規模の行を見てください。

Q4. 会社を作ったばかりでも申請できますか

新事業進出枠では、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外とされ、最低1期分の決算書が必要です(公募要領 p.20)。太陽光施工のために新会社を立ち上げてから申請しようとすると、この条件で外れます。既存の建設会社の中で新規事業として立ち上げるのか、別法人にするのかという判断は、補助金の使い方にも影響します。

あわせて、不動産賃貸・駐車場経営など実質的な労働を伴わない事業や資産運用色の強い事業は対象外とされています。自社で発電所を保有して売電収入を得る形は、施工サービスの提供とは性格が異なりますので、事業の主体をどちらに置くのかを整理しておく必要があります。

Q5. 自社の工場や事務所に太陽光を載せる場合はどうなりますか

それは施工事業への進出ではなく、自社の設備投資です。省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)が近い領域になりますが、この制度は事業区分(設備単位型/GX設備単位型/電化・脱炭素燃転型/エネルギー需要最適化型)ごとに補助上限・補助率・対象経費が大きく異なります。数字を確認するときは、どの区分で申請するのかを先に決めてください。

また、国・公的制度との二重受給はできません。自社屋根への設置と、施工事業のための投資を同じ経費で二重に計上することはできませんので、どちらの目的で何を買うのかを見積の段階から分けておくことになります。

Q6. 賃上げの要件はどのくらい効きますか

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には、枠を問わない基本要件が置かれています。

  • 付加価値額:事業計画期間(3〜5年)で年平均成長率4.0%以上
  • 一人当たり給与支給総額:年平均成長率3.5%以上(交付申請時までに従業員へ表明。未達は返還)
  • 事業場内最低賃金:毎年、地域別最低賃金より30円以上高い水準(未達は返還)

上限額を引き上げる大幅賃上げ特例を使う場合は、給与支給総額の年平均6.0%以上、事業場内最低賃金は地域別最低賃金より50円以上という水準になります。施工要員を採用して人数が増える前提の計画では、一人当たりの給与をどう伸ばすのかという説明が必要になりますので、採用計画と賃金計画は同時に組むことになります。未達時に返還が生じうる設計ですので、計画の置き方が制度選択そのもののリスクにつながります。

着手する前に決めておく3つのこと

  1. 誰に売るのかを一文で言えるようにする:新規性の判定は、この一文で説明が立つかどうかにかかっています。既存の取引先に既存の工事の延長として提供するのか、これまで接点のなかった相手に提供するのかを先に決めてください
  2. 交付決定前に発注しない:交付決定前の発注・契約・購入は対象外です。参入の話が具体化すると、先に高所作業車や工具を押さえたくなりますが、その分は補助の対象から外れます
  3. 公募日程から逆算する:2026年度の第1回公募は、公募開始2026年6月29日、申請受付開始2026年8月31日、申請締切2026年9月30日18時、採択発表は2026年12月頃とされています(公募要領 p.34)。電子申請でGビズIDプライムが必要ですので、アカウントの用意も日程に含めてください

まとめ

太陽光施工への参入で補助金を検討するときは、次の順番で確かめると判断が早くなります。

  1. 設置する側向けの制度ではなく、事業者向けの制度を見ているかを確認する
  2. 提供先の市場が自社にとって新しいかどうかで、新事業進出枠に乗るかを判定する
  3. 新市場性で押しにくければ、高付加価値性、あるいは革新的新製品・サービス枠での組み立てを検討する
  4. 投資総額を補助下限(750万円/100万円)と補助率に当てて、枠に届くかを確認する
  5. 創業からの期間、賃上げ要件、交付決定前発注、公募日程を計画に織り込む

制度の要件も公募日程も回次ごとに変わります。ここに挙げた数字は2026年8月時点で公表されている公募要領等にもとづくものですので、実際の申請にあたっては最新の公募要領で確認し、自社の事業計画が新規性の説明として成り立つかどうか、判断に迷う部分は専門家にご相談ください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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