
動物病院も使える主な補助金
動物病院は中小企業基本法の対象事業者(多くは小規模事業者・中小企業)として、一般の中小企業向け補助金を活用できます。
新事業進出・ものづくり補助金
2026年度より「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」が統合された制度です。動物病院では、高額医療機器の導入や新サービスの立ち上げに使われるケースがあります。
- 対象例:CT、MRI、超音波画像診断装置、臨床化学分析装置、内視鏡 など
- 補助率:1/2〜2/3
- 新サービス(夜間救急、専門外来、ペットドックなど)の立ち上げに伴う設備投資も対象になり得る
小規模事業者持続化補助金
従業員数が少ない動物病院(おおむね5名以下のサービス業相当)が対象になる場合があります。
- 対象例:ホームページリニューアル、看板・チラシ、新規顧客獲得施策、店舗改装の一部
- 補助率:原則2/3
- 補助上限:通常50万円、特別枠で200万円前後
集患・販路拡大に向けた小規模投資に向きます。
人材開発支援助成金
スタッフ(獣医師、動物看護師など)の研修・育成に対する助成金です。
- 対象:OJT、Off-JT、専門研修、資格取得支援 など
- 助成率:制度・コースにより異なる
- 厚生労働省所管の助成金で、要件を満たせば原則受給可
設備投資ではなく人材育成費を補助したい場合に活用します。
事業承継・引継ぎ補助金
動物病院の事業承継、M&A、廃業に伴う支援制度です。承継後の経営革新としての設備投資にも使えます。
動物病院で対象になる経費・ならない経費
対象になりやすい経費
- 医療機器の購入費(事業に直結し、汎用品ではない専門機器)
- 電子カルテ・予約システム等の専用ソフトウェア
- システムの初期構築費、設定費
- 専門家の指導料・コンサルティング料
対象になりにくい経費
- 汎用PC、タブレット、スマホ(業務に転用可能な機器)
- 消耗品(医療消耗品、文房具)
- 物件の購入費・建築費
- 恒常的な保守費・運用費
- 採択前に発注した経費すべて
特に「医療機器に付随するメンテナンス契約・サブスクリプション」は、初期費用は対象、運用費は対象外と分かれることが多く、見積書の段階で切り分けが必要です。
【無料相談のご案内】
弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが補助金支援を行っております。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
医療機器導入で補助金を使うときのポイント
1. 革新性・新サービスとセットで語る
ものづくり補助金など多くの設備投資系補助金は、「単なる機器更新」では採択が難しいのが現実です。導入する機器で何が変わるのか――新しい検査が提供できる、診断精度が上がる、これまで紹介していた他院への転院が減る、新しい外来が立ち上がる――というレベルで事業計画を組み立てます。
2. 売上効果を数字で示す
「新しい機器を入れたら忙しくなる」ではなく、「この機器によるN件の新規検査 × 平均単価P円 = 年間売上Z円増」のように、検査件数・単価・回数で積み上げます。診療報酬体系がある一般診療所と違い、動物病院は自由診療のため、自院の単価設定で計算できる利点があります。
3. 競合・地域性を分析する
「近隣の動物病院に導入機器を用いた手術実績がない」など、地域での自院の位置づけを示します。地域医療ニーズに応える視点が、政策的にも評価されやすくなります。
予約システム・電子カルテ導入のポイント
1. 業務効率化の効果を時間で示す
「電話対応の時間がZ時間/週削減」「カルテ作成時間がY%短縮」など、業務時間の削減効果を数字で出します。労働時間削減はそのまま付加価値額・賃上げの原資につながるストーリーで語れます。
2. 既存業務との連携を明示
予約システム単独ではなく、電子カルテ・会計システムとの連携で生まれる効果を示します。「予約→受付→カルテ→会計→次回予約」までの一連の業務フローがどう変わるかを書きます。
動物病院が補助金申請でつまずきやすいポイント
1. 「医療業」は補助金で除外されている場合がある
一部の補助金で「医療業」が対象外と明記されていることがあります。ただし、これは主に人の医療を指す「医療業」の分類で、獣医療は対象になるケースが多くなっています。公募要領で対象業種を必ず確認します。
2. 「中小企業」の定義に該当するか
中小企業の定義は資本金・従業員数で決まります。動物病院は多くが小規模事業者または中小企業に該当しますが、複数院展開で従業員数が増えている場合は、事前確認が必要です。
3. 個人開業と法人で要件が変わる
個人開業の動物病院でも申請できますが、補助金によっては「法人優遇」「個人事業主優遇」など要件差があります。
よくある質問
Q. 動物病院専用の補助金はありますか?
A. 国の主要補助金で「動物病院専用」のものは基本的にありません。中小企業向けの一般的な補助金を活用するのが基本です。地方自治体や業界団体が独自に支援制度を設けている場合もあります。
Q. 開業準備中でも補助金は使えますか?
A. 一部の創業期向け補助金(小規模事業者持続化補助金<創業型>など)で対象になる場合があります。創業時の設備投資・販路開拓に活用できます。
Q. 動物用CT、MRIなど高額機器は補助金で買えますか?
A. ものづくり補助金等で対象になり得ます。ただし、革新性・収益性・実行体制が説得力を持って語れる事業計画が必要です。
まとめ
動物病院で活用できる補助金は次のとおりです。
- 新事業進出・ものづくり補助金:高額医療機器・新サービス立ち上げ
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓・小規模投資
- 人材開発支援助成金:スタッフ研修・育成
- 事業承継・引継ぎ補助金:承継・経営革新
専用補助金はありませんが、一般の中小企業向け補助金を上手に組み合わせることで、医療機器投資・デジタル投資・人材育成まで幅広く支援を受けられます。事業計画の段階で、どの補助金とどう組み立てるかを専門家と整理しておくのが、確実な活用への近道です。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。




























