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コラム

飲食店の創業融資で自己資金なしでも借りられますか

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飲食店の創業融資で自己資金なしでも借りられますか

「自己資金がほとんどないけれど、飲食店を開業するために創業融資を受けられるのだろうか」——これは、これから飲食店を始めようとする方からもっとも多く寄せられる悩みのひとつです。結論から言えば、2024年の制度改正によって自己資金が形式的な要件ではなくなったため、自己資金なしでも申し込み自体は可能になりました。ただし、実務上は自己資金の有無が審査結果を大きく左右します。この記事では、飲食店の創業融資における自己資金の扱いと、自己資金が少ない場合に審査を通すための具体的な準備を、これから開業する個人事業主の方にもわかりやすく解説します。

自己資金なしでも飲食店の創業融資は申し込める

かつて日本政策金融公庫には「新創業融資制度」があり、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意することが要件とされていました。しかし、この制度は2024年3月に廃止され、現在は「新規開業・スタートアップ支援資金(新規開業資金)」に一本化されています。この制度改正にともない、自己資金要件は撤廃され、返済期間の延長なども行われました。

つまり、制度のうえでは自己資金がゼロでも創業融資を申し込めるようになっています。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)と、飲食店の開業に必要な資金を十分にカバーできる規模です。ただし「申し込める」ことと「審査に通る」ことは別問題である点に注意が必要です。

制度上の要件と審査の実態は異なる

要件が撤廃されても、審査の現場では自己資金の額が重要な判断材料であり続けています。自己資金は、開業に向けてどれだけ計画的に準備をしてきたかを示す指標と見なされるためです。コツコツ貯めてきた自己資金は、事業への本気度や金銭管理能力の裏づけとして評価されます。逆に自己資金がまったくない場合、「準備不足ではないか」「返済原資は確保できるのか」という懸念を持たれやすくなります。

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V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

飲食店の融資審査で自己資金が重視される理由

飲食店は、内装工事費・厨房設備費・物件取得費(保証金や前家賃)など、開業時にまとまった初期投資が必要な業種です。さらに、開店後すぐに客足が安定するとは限らず、軌道に乗るまでの運転資金も求められます。こうした資金需要の大きさに対して自己資金がまったくないと、全額を借入でまかなうことになり、毎月の返済負担が重くなります。

金融機関は「貸したお金がきちんと返ってくるか」を最重視します。自己資金が一定額あれば借入額を抑えられ、返済の確実性が高まるため、審査でも有利に働きます。これが、制度上の要件が撤廃されても自己資金が重視され続ける理由です。

目安となる自己資金の割合

明確な基準が公表されているわけではありませんが、実務上は開業資金総額の2〜3割程度の自己資金があると審査を進めやすいといわれます。たとえば総額1,000万円で開業するなら、200万〜300万円程度が一つの目安です。自己資金が少ない場合でも、ゼロよりは少しでも用意できているほうが評価は高まります。

自己資金が少なくても審査を通すためのポイント

自己資金が十分でなくても、ほかの要素で事業の実現性を示せれば、融資を受けられる可能性は十分にあります。具体的には次のような準備が有効です。

  • 飲食業での実務経験を示す:同業種での勤務経験や店長経験は、開業後の経営を任せられる根拠として高く評価されます。
  • 精度の高い創業計画書を作る:売上の根拠(席数×回転数×客単価×営業日数)を具体的に示し、無理のない返済計画を組み立てます。
  • 資金の使い道を明確にする:設備資金と運転資金を分け、見積書をそろえて根拠を示します。
  • 「見せ金」を避ける:直前に他人から借りて一時的に入金したお金は、通帳の動きから把握され、かえって信用を損ないます。

自己資金以外の資金調達手段も組み合わせる

自己資金が足りない場合、創業者向けの補助金・助成金や、自治体の制度融資(信用保証協会付き融資)を併用する方法もあります。日本政策金融公庫の融資と地方自治体の制度融資を組み合わせることで、必要資金を分散して調達できるケースもあります。ただし併用には条件や審査があるため、早めに専門家へ相談しながら全体の資金計画を設計することが大切です。

飲食店の創業融資の申し込みに必要な主な書類

飲食店の創業融資を申し込む際は、おもに次の書類を準備します。

  • 創業計画書(事業の内容・見通し・資金計画)
  • 設備の見積書(内装・厨房設備など)
  • 物件の賃貸借契約書または物件資料
  • 自己資金を確認できる通帳のコピー
  • 飲食店営業許可に関する書類や資格(必要に応じて)

とくに創業計画書は審査の核となる書類です。自己資金が少ないケースほど、計画の説得力が結果を左右します。記載内容と裏づけ資料に矛盾がないよう、ていねいに作り込みましょう。

よくある質問

自己資金が本当にゼロでも融資は受けられますか

制度上は申し込めますが、審査では不利になりやすいのが実情です。少額でも計画的に貯めた自己資金があるほうが、事業への準備度を示せて有利になります。

家族から借りたお金は自己資金になりますか

返済義務のある借入金は、原則として自己資金とは見なされません。贈与として受け取った資金であれば自己資金に含められる場合がありますが、経緯を説明できるようにしておく必要があります。

まとめ

2024年の制度改正により、飲食店の創業融資は自己資金なしでも申し込めるようになりました。一方で、審査の現場では依然として自己資金が重要な判断材料であり、まったくない状態では不利になりやすいのが実情です。少額でも自己資金を準備しつつ、飲食業での経験や精度の高い創業計画書で事業の実現性を示すことが、融資成功への近道です。自己資金に不安がある場合は、補助金や制度融資の併用も含め、早い段階で融資の専門家に相談することをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
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  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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