
金融機関を納得させる借り方とは?資金使途別に見る正しい資金調達の考え方
前回のコラムでは、
「現金」と「選択肢」を増やすための借金そのものを、極度に嫌わないでください
というお話をしました。
借金というと、
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できれば避けたい
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増やすと危険
-
返済が怖い
といったイメージを持たれがちですが、
実務の現場では 「借金=悪」ではありません。
むしろ、
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現金を厚く持つ
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選択肢を増やす
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いざという時の対応力を高める
という意味では、
借金は経営の武器にもなります。
ただし、ここで次に出てくる重要な論点が、
「では、どう借りるのか?」
という点です。
目次
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金融機関が重視するのは「借り方」
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なぜ資金使途が重要なのか
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借金の使途による5つの基本的な借り方
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借入前に必ず整理すべきポイント
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借り方を変えるだけで得られる5つのメリット
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金融機関の「納得性」が与信を左右する
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よくある質問(FAQ)
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無料相談のご案内
金融機関が重視するのは「借り方」
「借りたい理由」より「使い道と返し方」
金融機関も企業経営の現実は理解しています。
「現金が多いほど、経営は安定する」
この考え方自体は、銀行員も否定しません。
しかし、審査の場面で、
「現金があった方が選択肢が増えるので貸してください」
と言われても、
それだけでは稟議は通りません。
金融機関が知りたいのは、
-
そのお金は何に使われるのか
-
使った結果、会社はどう良くなるのか
-
返済原資はどこから生まれるのか
という、具体的で再現性のあるストーリーです。
ここで重要になるのが、
資金使途と事業計画の整合性です。
なぜ資金使途が重要なのか
資金使途は「返済設計そのもの」
金融機関は、
資金使途ごとに適切な返済方法がある
と考えています。
例えば、
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日々の商売で回るお金
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将来のための投資
-
一時的に必要な資金
これらをすべて同じ借り方で処理してしまうと、
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返済が実態に合わない
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毎月の返済が重くなる
-
キャッシュフローが歪む
といった問題が起きやすくなります。
つまり、
資金使途を整理すること=借金を整理すること
なのです。
借金の使途による5つの基本的な借り方
借金は「5つの箱」に分けて考える
借金を考える際は、
「いくら借りるか」よりも先に、
**「どの箱に入るお金か」**を考えましょう。
代表的なものが、次の5つです。
経常運転資金
通常の商売をしていれば、
必ず発生する資金ギャップを埋めるお金です。
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仕入や外注費の支払いが先
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売上の入金は翌月・翌々月
このズレを放置すると、
黒字でも資金繰りが苦しくなります。
👉 基本的に元本返済なし
(当座貸越・極度額融資など)
長期運転資金
売上にすぐ結びつかない、
将来への投資に使われる資金です。
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人材採用
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教育・組織強化
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新規事業立ち上げ
👉 数年かけて、ゆっくり回収・返済する前提です。
設備資金
固定資産を取得するための資金です。
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車両
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機械
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工場
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倉庫
👉 減価償却と返済期間を合わせるのが基本です。
季節資金
特定の時期にだけ必要となる資金です。
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納税資金
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賞与資金
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繁忙期前の仕入
👉 一時的に借りて、期間を区切って返済します。
つなぎ資金
確実な入金が予定されている場合の資金です。
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大口受注の入金待ち
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補助金の入金待ち
👉 入金時に 一括返済 が前提です。
借入前に必ず整理すべきポイント
「説明できる借金」になっていますか?
借入を依頼する前に、
必ず次の点を整理しておきましょう。
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今回の借入は5つのどれか
-
返済原資は何か
-
既存借入はどの使途だったのか
これが説明できないと、
金融機関からは、
「借金の管理ができていない会社」
と評価されかねません。
借り方を変えるだけで得られる5つのメリット
借金の「中身」を整理する効果
実務で非常に多いのが、
すべてを長期運転資金で借りているケースです。
これを使途別に整理するだけで、
次のようなメリットが生まれる可能性があります。
【借り方を変えると得られる5つのメリット】
-
毎月の返済額が減る
(経常運転資金化により返済負担軽減) -
金融機関の与信枠が増える
(返済余力が見える) -
金利が下がる可能性
(リスクが下がる) -
保証人が外れる可能性
(一部または全部) -
担保が外れる可能性
(一部または全部)
金融機関の「納得性」が与信を左右する
納得性=リスクの低さ
金融機関の判断基準は、非常にシンプルです。
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納得できる
→ リスクが低い
→ 条件を良くできる
という構造です。
借金の使途と返済方法が整理されている会社は、
金融機関から見て 非常に「扱いやすい」会社 になります。
この記事をお読みの企業様、
次の借入は 納得性の高い借り方 になっていますか?
よくある質問(FAQ)
Q1. 借金は一本化した方が良いですか?
A. 一概には言えません。使途別に分けた方が評価が上がるケースも多いです。
Q2. 経常運転資金は必ず返済なしですか?
A. 原則はそうですが、金融機関や契約内容によります。
Q3. 借り方を見直すタイミングは?
A. 借換え時や追加融資の前が最適です。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























