
お客様のペインとゲインを理解すれば、起業は成功する!
起業を考えるとき、多くの方が「どんな商品やサービスを売るか」からスタートします。
もちろんそれも大事ですが、もっと根本的で、成功の確率をぐっと高める方法があります。
それが「お客様のペイン(痛み)とゲイン(喜び)を深く理解すること」です。
ペインとゲインとは?
ズバリ言います。
ペイン(Pain)…お客様が抱える悩み、不便、不満、リスクなど「解消したいこと」
ゲイン(Gain)…お客様が得たいメリット、喜び、理想の状態など「実現したいこと」
ペインは「マイナスをゼロに戻す」ニーズ、
ゲインは「ゼロからプラスに伸ばす」ニーズとも言えます。
なぜペインとゲインの理解が重要なのか?
理由はシンプルです。
お客様は「商品そのもの」を買っているのではなく、商品によって得られる結果を買っているからです。
① ペイン解消は「今すぐ客」を動かす
痛みや不満は放置しづらく、「早く解決したい」という心理が働きます。
たとえば腰痛に悩む人は、多少高くても信頼できる治療院に行くでしょう。
② ゲイン実現は「将来の夢」を叶える
ゲインはモチベーションやワクワクを喚起します。
例えば「3カ月で英語を話せるようになる」という未来像は、多くの人を行動に駆り立てます。
顧客が抱えるペインの主な種類
顧客のペインは、単に「困っていること」だけではありません。お金、時間、不安、失敗のリスク、人間関係など、さまざまな形で現れます。
商品やサービスを考える際は、顧客がどの種類のペインを抱えているのかを具体的に整理することが重要です。複数のペインが重なっている場合も多いため、表面的な悩みだけで判断せず、その背景まで深掘りしましょう。
金銭的なペイン
金銭的なペインとは、費用負担や収入減少、無駄な出費など、お金に関する悩みです。
たとえば、「料金が高くて利用できない」「毎月の固定費が負担になっている」「思うように売上が伸びない」「無駄なコストが発生している」といった悩みが該当します。
このような顧客に対しては、単に価格を下げるだけでなく、費用対効果を高める、無駄な支出を減らす、将来的な収入増加につなげるといった価値を提示することが重要です。
時間や手間に関するペイン
時間や手間に関するペインとは、作業に時間がかかる、手続きが複雑、何度も同じ作業を繰り返しているといった負担です。
たとえば、「毎日の事務作業に追われている」「必要な情報を探すのに時間がかかる」「申し込みや入力作業が面倒」といった悩みが挙げられます。
このようなペインを解消するには、自動化、簡略化、代行、ワンストップ対応などが有効です。顧客がどの作業を特に面倒に感じているのかを把握できれば、商品やサービスの価値を明確に打ち出しやすくなります。
不安やストレスに関するペイン
不安やストレスに関するペインとは、将来が見えない、判断に自信が持てない、失敗するかもしれないといった心理的な負担です。
たとえば、「何から始めればよいか分からない」「この選択で本当に正しいのか不安」「専門知識がなく、手続きを進めるのが怖い」といった悩みが該当します。
このような顧客には、分かりやすい説明、専門家によるサポート、実績や事例の提示、相談しやすい体制などが安心感につながります。機能だけでなく、「安心して進められる」という価値を提供することが大切です。
失敗やリスクに関するペイン
失敗やリスクに関するペインとは、損失が発生する、期待した成果が得られない、トラブルにつながるといった不安です。
たとえば、「高い費用を払って効果が出なかったらどうしよう」「手続きに不備があって申請が通らないかもしれない」「導入後に使いこなせないかもしれない」といった悩みが挙げられます。
このようなペインに対しては、保証制度、導入前の説明、アフターフォロー、無料体験、返金対応、実績の提示などが有効です。顧客がどのような失敗を最も恐れているのかを具体的に把握することが重要です。
人間関係や評価に関するペイン
人間関係や評価に関するペインとは、周囲からの見られ方、職場や家庭での関係、社会的な評価などに関する悩みです。
たとえば、「上司や取引先から評価されない」「家族に理解してもらえない」「人前で自信を持てない」「周囲と比べて遅れていると感じる」といった悩みが該当します。
このようなペインに対しては、成果を見える化する、周囲から評価されやすい状態をつくる、自信を持てる体験を提供するなどの工夫が有効です。商品やサービスによって、顧客自身の立場や印象がどのように良くなるのかを伝えることも大切です。
ペインとゲインの探し方
ステップ① ヒアリング
既存顧客や見込み客に直接インタビュー。
「何に困っていますか?」「理想は何ですか?」という質問が効果的です。
ステップ② 行動観察
お客様が商品やサービスを利用する様子を観察。
実際の使い方や不満点は、本人の口からは出てこないことも多いのです。
ステップ③ 口コミ・レビュー分析
競合商品のレビューからもヒントが得られます。
「よかった点=ゲイン」「不満点=ペイン」として整理します。
ペインとゲインを事業に落とし込む
① 商品・サービス設計
ペインを解消する機能、ゲインを得られる特徴を盛り込みます。
② マーケティングメッセージ
広告やLPのキャッチコピーに「あなたの○○の悩みを解決」「○○な未来が手に入る」といった具体的な価値を打ち出します。
③ 顧客体験設計
購入から利用までのプロセス全体で、ペインを減らし、ゲインを増やす工夫をします。
成功事例
A社(フィットネスジム)
ペイン:運動不足で健康不安
ゲイン:引き締まった体と自信
→ 短時間・低負荷で効果の出るプログラムを開発。広告は「20分で変わるカラダ」という未来像を打ち出し、入会率アップ。
B社(オンライン教育)
ペイン:英語が苦手、勉強が続かない
ゲイン:海外旅行で会話できる自分
→ 毎日5分でできる学習法と進捗管理アプリを提供。「海外旅行で困らない英語力」というゲインを全面に出して集客成功。
ペインとゲインを考えるときの注意点
ペインとゲインを整理するときは、顧客の本当の悩みや理想を正確に捉えることが重要です。自社の商品を売りたいという気持ちが先行すると、顧客が実際に求めている価値との間にずれが生じることがあります。
顧客の声を集めるだけでなく、行動や購入実績も確認しながら、商品やサービスへ反映させましょう。
商品の特徴だけを語らない
商品やサービスを説明するときに、「高性能」「低価格」「機能が豊富」といった特徴だけを伝えても、顧客の心には十分に届かないことがあります。
顧客が知りたいのは、その商品を利用することで、自分の悩みがどのように解消され、どのような理想の状態を実現できるのかという点です。
たとえば、「処理速度の速い会計ソフト」と説明するだけでなく、「毎月の入力作業を短縮し、本業に集中できる」と伝えることで、顧客が得られる価値をイメージしやすくなります。商品の特徴は、ペインの解消やゲインの実現と結び付けて伝えましょう。
自分の想像だけで顧客ニーズを決めない
起業者自身が「きっと顧客は困っているはず」「この機能があれば喜ばれるはず」と考えていても、それが実際の顧客ニーズと一致しているとは限りません。
自分の経験や感覚は事業のヒントになりますが、それだけで商品やサービスを設計すると、顧客が必要としていない機能に時間や費用をかけてしまう可能性があります。
見込み客へのヒアリング、アンケート、試作品の提供、テスト販売などを行い、実際の反応を確認しましょう。仮説を立てたうえで顧客の声や行動によって検証することが大切です。
ペインとゲインを抽象的な言葉で終わらせない
「不便を解消したい」「仕事を楽にしたい」「生活を豊かにしたい」といった表現だけでは、顧客が具体的に何に困り、何を求めているのかが分かりません。
たとえば、「仕事を楽にしたい」というニーズであれば、「毎月10時間かかっている請求書作成を短縮したい」「担当者しかできない作業を誰でも行えるようにしたい」など、場面や状況まで具体化します。
誰が、いつ、どのような場面で困っているのか、その問題によってどのような負担が生じているのかまで深掘りすると、提供すべき価値が明確になります。
ターゲットを曖昧にしない
同じ商品やサービスであっても、顧客の年齢、職業、生活環境、利用目的などによって、抱えているペインや求めるゲインは異なります。
たとえば、「起業したい人」と広く設定するだけでは、会社員の副業起業、飲食店の開業、法人化を考えている個人事業主など、異なるニーズが混在してしまいます。
誰にでも当てはまる商品を目指すと、かえって誰にも強く響かなくなる可能性があります。まずは、最も価値を届けたい顧客像を具体的に設定しましょう。
すべてのペインを一つの商品で解決しようとしない
顧客が抱える悩みを調べると、さまざまなペインが見つかります。しかし、そのすべてを一つの商品やサービスで解決しようとすると、機能や内容が複雑になり、何を提供する商品なのかが分かりにくくなります。
また、開発費や運営コストが膨らみ、事業者側の負担が大きくなる可能性もあります。
顧客にとって緊急性や重要性が高く、自社の強みを生かして解決できるペインを優先しましょう。最初は提供価値を絞り、顧客の反応を見ながら段階的にサービスを広げる方法も有効です。
声の大きい一部の顧客だけを基準にしない
強い要望や厳しい意見を伝える顧客の声は目立ちやすいものです。しかし、その意見がターゲット顧客全体に共通するニーズとは限りません。
一部の顧客の要望だけを基準に商品を変更すると、多くの顧客にとって使いにくくなったり、本来の商品の良さが失われたりする可能性があります。
個別の意見を参考にしつつ、同じ要望を持つ顧客がどれくらいいるのか、実際の利用状況や購買行動にも表れているのかを確認しましょう。複数の顧客から継続的に寄せられる声を重視することが大切です。
実際にお金を払うほどのニーズか確認する
顧客が「欲しい」「あれば便利」と答えたとしても、実際にお金を払って購入するとは限りません。興味があることと、対価を支払ってでも解決したいことには大きな違いがあります。
商品化する前に、現在その問題を解決するために顧客が何をしているのか、どれくらいの時間や費用を負担しているのかを確認しましょう。すでに何らかの費用を支払っている場合は、ニーズの強さを判断する材料になります。
試作品の有料販売、先行予約、少人数向けのテスト提供などを行い、実際に購入されるかを確かめることも有効です。言葉だけでなく、顧客の行動からニーズの強さを判断しましょう。
今日からできる実務チェックリスト
- あなたの商品が解消するペインは何か?
- あなたの商品が提供するゲインは何か?
- そのペイン・ゲインは数値や事例で説明できるか?
- ターゲット顧客の顔がはっきり浮かぶか?
まとめ
起業の成否は、商品やサービスの良し悪しだけでなく、お客様の本当の望みを理解しているかにかかっています。
ペインとゲインを明確にし、それを商品設計・マーケティング・顧客体験に反映させれば、売れる仕組みが自然とできあがります。
経営者としては、「どう売るか」よりも「誰のどんな悩みや夢を叶えるか」を最優先に考えること。
これが、起業を成功に導く最短ルートです。
【無料相談のご案内】
弊社では、中野裕哲を中心とした所属専門家チーム(起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、中小企業診断士、FP、元日本政策金融公庫支店長、元経済産業省系補助金審査員など)が一丸となって、幅広い起業支援・経営支援を行っております。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。





























